監修者:ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹波 里奈
世の中は空前の筋トレブーム。
少し前までは食べないダイエットに励む人も少なくありませんでしたが、ここ数年は「筋トレで体を引き締める」という健康的なダイエットに取り組む人が増えてきました。
そんな中で注目されるようになったのが「インナーマッスル」です。
みなさんも一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
しかし、インナーマッスルはどこにあるのか、どんな働きをしているのかまでは理解していないという人も少なくないでしょう。
そこで、今回はインナーマッスルの場所や働き、鍛え方について解説します。
インナーマッスルとは?
「インナーマッスル」とは、「inner=内側の」「muscle=筋肉」という名の通り、体の内側にある筋肉のことです。
もう少し噛み砕いて説明すると、体の奥深くにあって目では見えない筋肉のこと。
ちなみに、腕にある力こぶやお腹にあるシックスパックのように、表面から見える筋肉が「アウターマッスル」と呼ばれています。
そんなインナーマッスルの主な働きは、関節や内臓を支えて安定させること。
また、姿勢や動作のサポートも担っています。
アウターマッスルに比べると大きな力を発揮することはありませんが、なくてはならない筋肉なのです。
よく耳にする「コア」や「体幹」とは違うの?
トレーニングをしている人なら「コアトレーニング」や「体幹トレーニング」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
これらとインナーマッスルは混同されがちですが、似ているようで実は別物です。
「体幹」というのは、頭と手足を除いた胴体部分を指す言葉。
つまり、お腹も背中も胸も「体幹」の一部で、もちろんインナーマッスルも含まれます。
「コア」に関しては諸説ありますが、言葉そのものは「core=中心」という意味。
そのため「体の中心となる部分=体幹」を指すことが多いです。
よって「体幹≒コア」であり、「インナーマッスル」は全く別物であると覚えておきましょう。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
「インナーマッスル」というと、“特別なトレーニングを行っているアスリートにしかないもの”というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
しかし、インナーマッスルは老若男女問わず誰にでもあります。
むしろ、インナーマッスルがなければ日常生活を普通にこなすことはできないと言っても過言ではありません。
内臓が体の中に収まっていたり、自然に呼吸が続いていたりするのは、インナーマッスルがあるからこそ。
適度に鍛えることで毎日の生活がより快適になる可能性もあるため、アスリートでない方も積極的に鍛えましょう!
インナーマッスルはどこにある?
「インナーマッスルはお腹にある」と思っている人が多いですが、実はお腹だけではありません。
肩まわり、股関節まわり、背中・腰まわりなど、ほぼ全身にあります。
主なインナーマッスルを部位別にご紹介しますので、場所と名前をチェックしてくださいね。
肩・胸のインナーマッスル
棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、小胸筋など
主な役割
肩関節を安定させる
腹部のインナーマッスル
横隔膜、腹横筋、内腹斜筋など
主な役割
内臓を支える、呼吸を助ける、姿勢を保つ
背中・腰まわりのインナーマッスル
脊柱起立筋、多裂筋、骨盤底筋、腸腰筋など
主な役割
内臓を支える、姿勢を保つ
下半身のインナーマッスル
恥骨筋、長内転筋、短内転筋、小内転筋など
主な役割
股関節を閉じる、骨盤を安定させる
インナーマッスルを鍛える5つのメリット
インナーマッスルの強化には、様々なメリットがあります。
残念ながら、アウターマッスルのようにわかりやすい変化を感じることはできませんが、ダイエットや健康にうれしい変化がたくさん!
代表的なメリットを5つ紹介します。
姿勢が良くなる
インナーマッスルを鍛えるメリットの1つ目は、姿勢改善です。
私たちの体は常に重力の影響を受けているため、重たい頭部を支える、直立姿勢を保つために一定以上の筋力が必要とされています。
そこで重要になるのが、関節を安定させるインナーマッスル。
インナーマッスルを鍛えて関節を安定させれば、美しい姿勢を保つことができます。
姿勢が整えば、肩こりや腰痛など不定愁訴の改善にも効果的。
ただ一部ばかりを鍛えると、かえってバランスが悪くなってしまうため、鍛え方には注意が必要です。
内臓の働きが活性化される
2つ目のメリットは、内臓機能の働きが促進されること。
重力の影響を受けるのは姿勢だけでなく、内臓も同じです。
筋力が弱っていると内臓が下がってしまい、消化機能が衰えることがあります。
しかし、インナーマッスルを鍛えれば内臓が正しい位置に戻るため、各々の働きも正常に。
すると、消化不良や便秘など内臓由来の不調が改善されたり、呼吸がスムーズになることで自律神経が整ったりと、さらなるメリットを感じることができます。
基礎代謝が上がる
3つ目は基礎代謝の向上です。
基礎代謝とは、呼吸や体温調整など生命活動を維持するため、無意識のうちに行われる活動に必要とされるエネルギーのこと。
基礎代謝量は成人男性で1500kcal前後、成人女性は1100kcal前後と言われています。
この基礎代謝量は筋肉量と比例するといわれており、筋肉量が増えると基礎代謝量も増加します。
つまり、運動をしなくてもエネルギーが消費される「痩せやすい体」になるということ。
それゆえ「インナーマッスルを鍛えると痩せる」と言われるのです。
体温が上がる
4つ目のメリットは体温の向上です。
体の内側にあるインナーマッスルを鍛えれば、深部を流れる血流が促進されるため、体が温まりやすくなります。
体温が上がると冷え性が緩和されたり代謝が上がったりと、二次的なメリットもたくさん。
また、体温が上がると免疫力が高まるとも言われているため、風邪やウイルスに強い体づくりにも役立つでしょう。
動きやすい体になる
インナーマッスルは関節等だけでなく、アウターマッスルの動きもサポートします。
つまり、インナーマッスルを鍛えれば様々な動作がスムーズになるということ。
また、バランス感覚の向上にも効果的です。
野球やダンスなど何らかの競技に取り組んでいる人はもちろん、歩く・座るといった日常動作にも有効なので、インナーマッスルを鍛えることは老若男女問わずメリットがあるといえるでしょう。
インナーマッスルを鍛える方法
インナーマッスルは目で見えずとも、自分で鍛えることができます。
鍛え方は様々ですが、最も気軽に取り組める方法といえば「筋トレ」です。
ジム等でマシンやバーベルを使って行うウエイトトレーニングだけでなく、自宅等でできる自重トレーニングも有効な鍛え方です。
◇自宅でできる自重トレーニングについてはこちら!
筋トレが自宅で完結!?自重トレーニングを徹底解説!
また、バランスボールやピラティスボール等のトレーニンググッズを使った鍛え方もおすすめ。
自宅でもできるトレーニングについては次の項目で詳しく解説しますので、ぜひチェックしてください。
また、インナーマッスルは姿勢や動作をサポートする筋肉であるため、筋トレで集中的に鍛えるだけでなく実際に動きながら鍛えるのも効果的です。
そこでおすすめなのが「ヨガ」や「ピラティス」などのエクササイズ。
ヨガは不安定な体勢やポーズを安定させようとすることで、インナーマッスルが活性化されます。
ピラティスはインナーマッスルの強化を目的として生み出されたエクササイズであるため、どの動作もインナーマッスルの活性化に効果的。
黙々と筋トレをするのが苦手な人は、ヨガやピラティスから始めてみるといいでしょう。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
インナーマッスルを鍛える方法は、筋トレやヨガなど無限にあります。
といってもアウターマッスルとは違い、目で見たり「効いてるな〜」と実感しにくいのが難しいポイント。
トレーニングや解剖学の知識がないと、個人で鍛えるのはなかなか難しいです。
そんな時におすすめなのが、YouTubeやオンラインフィットネス等の動画。
「インナーマッスル 鍛え方」「インナーマッスル ヨガ」等の単語で検索すると、インナーマッスルを鍛える様々な方法を動画で学ぶことができます。
スポーツジムに通うよりもハードルが低く気軽に取り組めるため、毎日のケアにはぴったりです。
インナーマッスル強化に効くトレーニング
エクスターナル・ローテーション
「エクスターナル・ローテーション」は肩まわりのインナーマッスルを鍛えるトレーニング。
肩を外側に回す動作を強化することができ、肩の安定感アップ、怪我の予防に効果的です。
【やり方】
- 横向きで寝る
- 上にある手でダンベル等の重りを握る
- 2の手を90度に曲げて肘を体の横に添え、手はやや内側に曲げる
- 肘を開くようにダンベルを上に持ち上げる
- 3の状態に戻す
- 2-5を10回繰り返す
【ポイント】
- 体は常に床に向かって垂直にしておく
- 肘の角度は90度を保つ
- 元の位置に戻すときはゆっくり戻す
インターナル・ローテーション
「インターナル・ローテーション」も肩まわりのインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。
肩を内側に回す動作を強化することができ、肩の安定感アップ、怪我の予防等の効果があります。
【やり方】
- 横向きで寝る
- 下にある手でダンベル等の重りを握る
- 2の手を90度に曲げて肘を体に添える
- ダンベルを上に持ち上げる
- 3の状態に戻す
- 2-5を10回繰り返す
【ポイント】
- 体は常に床に向かって垂直にしておく
- 肘の角度は90度を保つ
- 元の位置に戻すときはゆっくり戻す
プランク
「プランク」は体幹のインナーマッスルや腕を鍛えることができるエクササイズです。
体幹の安定、ウエストの引き締め効果の他、お尻をキュッと締めることで骨盤底筋群にアプローチすることもできます。
【やり方】
- 四つん這いになり、肩の真下に手をつく
- 片足を後ろに伸ばし、床につま先を立てる
- 反対の足も後ろに伸ばし、両手とつま先で体を支える
- 頭頂から足を一直線にする
- 4の状態を30〜60秒キープする
【ポイント】
- 目線は両手の間かやや前に定める
- 腰が反らないように注意する
- 辛い場合は足幅を開いて行う
サイドプランク
「サイドプランク」はプランクの横バージョン。
体幹の安定やウエストの引き締め、バランス感覚の向上に効果的です。
【やり方】
- 四つん這いになり、肩の真下に手をつく
- 右足を後ろに伸ばし、床につま先を立てる
- 左手を天井に向かって伸ばし、体を左側に開く
- 左足を右足に添えるよう伸ばし、頭頂から足までを一直線にする
- 4の姿勢を30〜60秒キープする
【ポイント】
- 体が「く」の字にならないよう気をつける
- 肘は完全に伸ばさず、軽く曲げておく
- 辛い場合は足幅を開いて行う
バードドッグ
「バードドッグ」は腹横筋など体幹のインナーマッスルに加え、股関節付近にある腸腰筋や背中を通る多裂筋にもアプローチできるトレーニングです。
安定感やバランス感覚の向上、姿勢改善、股関節の動きをスムーズにする効果があります。
【やり方】
- 四つん這いになり、肩の真下に手首、股関節の真下に膝をつく
- 右手を正面に向かって伸ばし、やや持ち上げる
- 2と同時に左足を真後ろに向かって伸ばし、骨盤と同じ高さまで持ち上げる
- 手足を同時に戻し、四つん這いになる
- 2-4の動作を10回繰り返した後、反対側も同様に行う
【ポイント】
- 目線は正面に定める
- 不安定な場合は手のみ、もしくは足のみで行う
- 腰が反らないよう意識する
リバースクランチ
「リバースクランチ」は腹部のインナーマッスルに加え、腸腰筋を鍛えられるトレーニングです。
下腹の引き締め、腹筋全体を強化する効果があります。
【やり方】
- マット等に仰向けになる
- 手は自然に体側に添え、両膝は曲げて立てる
- 両足を床から離し、膝を胸に近づける
- ゆっくり2の姿勢に戻る
- 2-4を10回ほど繰り返す
【ポイント】
- 反動を使わず、体の力を意識しながら動く
- 膝が開かないようにしっかり締める
- 3の時はお尻が床から少し浮くのが理想的
ヒップリフト
「ヒップリフト」は腹部にある腹横筋、背中にある脊柱起立筋、骨盤付近にある骨盤底筋など様々なインナーマッスルを鍛えられるトレーニングです。
またお尻のアウターマッスルも使うため、ヒップアップ効果も期待できます。
【やり方】
- マット等に仰向けになり、手は自然に体側に添える
- 両膝を90度に曲げて立て、足幅を腰幅に合わせる
- かかとで床を押し、お尻を持ち上げる
- ゆっくり2の姿勢に戻る
- 2-4を10回ほど繰り返す
【ポイント】
- 背骨を一つ一つ動かすように丁寧に行う
- お尻は頭から膝が一直線になるあたりを目安に持ち上げる
- 動作中はお尻を床につけず、ギリギリのところまで下ろして動作を繰り返す
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
インナーマッスルは日常生活にかかわる筋肉です。
だからこそ、日常の動作で鍛えることができます。
特におすすめなのが、良い姿勢を保つことと深い呼吸を繰り返すこと。
腹横筋や内腹斜筋など、主に体幹部分のインナーマッスルを鍛えることができます。背骨をまっすぐ伸ばすイメージ、お腹や背中を使って深く呼吸するイメージを忘れずに保ちましょう。
すると、予想以上に疲労感を感じるはず。
それでもめげずに続ければ、適度にインナーマッスルを強化することができますよ。
また、それにより姿勢改善効果や自律神経を整える効果も期待できるでしょう。
まとめ
以上、インナーマッスルの場所や役割、鍛え方を紹介しました。
体幹やコアとの違いや、インナーマッスルを鍛えるメリット等お分りいただけたでしょうか?
インナーマッスルはアウターマッスルのように「腕が太くなった!」「お腹が割れてきた!」など見た目の変化がないため、鍛えがいを感じない方もいるかもしれません。
しかし、アウターマッスルを鍛えられるのはインナーマッスルがあるからこそ。
地味なトレーニングだと侮らず、積極的に鍛えましょう。
また、インナーマッスルはトレーニング初心者の方や運動をしない方にとっても大切な筋肉です。
ぜひジムや自宅で、できるトレーニングから取り組んでくださいね。
さらに、パーソナルジムを活用すれば、より効果的に手短に楽しく鍛えることができます!
◇インナーマッスルとアウターマッスルを効率よく鍛えたい方はこちら⤵
~地域別パーソナルジムの料金や店舗詳細~
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監修者プロフィール
★ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈
- フィットネス指導歴12年
- RYT200、RPYT85(マタニティヨガの資格)取得。
- レイキセラピスト取得
- 学生時代、4年間インストラクターとして活動。
- 現在は、ヨガインストラクターとしての活動以外にパーソナルトレーナーとしても活動。