監修者:管理栄養士 秋山真敏
「ダイエットを成功させたいけど、食事改善が続かない…」
「もっと健康な食生活を心がけたいけど、なかなかうまくいかない…」
「食欲を我慢ができず、カロリー制限が続かない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
もしかしたら、その悩みがいつまで経っても解決しないのは、タンパク質不足が原因かもしれません。
この記事では、タンパク質不足の症状や解消方法をわかりやすく紹介させてもらいます。
体内でタンパク質が不足している時に起こりやすい症状とは?
タンパク質不足の症状は大きく分けると、5つに分類されます。
タンパク質不足になると、健康を維持するのが難しい状態になってしまいます。
以下に当てはまる症状がある方は、タンパク質不足になってしまっているかもしれません。
タンパク質不足の症状①筋肉や内臓などが疲れやすくなる
タンパク質には、体の内側にある筋肉や内臓の機能を正しく保つ効果があります。
日々タンパク質を適切にとっていれば、筋肉や内臓を良い状態に保つことができます。筋肉や内臓を良い状態に保つことにより、高い基礎代謝を保つことができます。
逆に、タンパク質が不足した食事を継続していると、タンパク質不足になり、筋肉や内臓の状態が悪くなりやすくなり、基礎代謝も低くなる可能性が高くなります。
基礎代謝が低くなると、体重や体脂肪が増えやすくなったり、体の疲労が蓄積しやすくなります。
タンパク質不足の症状②肌や爪が弱くなる
タンパク質は、体の内側だけでなく、肌や爪など体の外側を丈夫にする作用があります。
日々タンパク質を適切にとっていれば、肌や爪などをきれいで丈夫に保つことができるので、高価なサプリメントや美容液を使わなくても見た目を良くすることができます。
逆に、タンパク質が不足した食事を続けている状態が続くと、タンパク質不足になり、肌や爪などがボロボロになりやすくなり、高価なサプリメントや美容液を使っても、あまり効果が実感できない状態になってしまう場合もあります。
肌や爪の状態の評価は、タンパク質がきちんと取れているかどうかの指標になりますので、タンパク質不足のチェックによく使われます。
肌の赤みが出やすい人や、爪が割れやすくなっている人は、タンパク質不足になってしまっている可能性があります。
タンパク質不足の症状③食欲をコントロールしにくくなる
人間の満腹感は、タンパク質を消化してできたアミノ酸から作られるホルモンや神経伝達物質によって調整されています。
タンパク質をしっかり摂取できていれば、食欲を調整するホルモンや神経伝達物質が十分に作られるため、自然と満腹感を感じやすくなり、間食の取りすぎや暴飲暴食を予防することが可能です。
逆に、タンパク質が不足した食事を続けてしまい、タンパク質不足になると食欲が正常に働かなくなり、全く食欲がなくなったり、急に暴飲暴食がしたくなったりと不規則な食生活になりやすくなってしまいます。
タンパク質を適切に摂取すると、タンパク質不足が解消され、食欲が正常化しやすくなり、規則正しい食生活が身に付きやすくなります。
タンパク質不足の症状④味覚が鈍感になる
人間の味覚は、タンパク質を消化してでき
たアミノ酸からできる、神経伝達物質によって調整されています。
タンパク質が十分に補給できていると、味覚が正常に働き、薄味な料理でも少量で満足できるようになりやすくなります。
逆に、タンパク質の不足が続き、タンパク質不足になると、味覚が鈍くなり、塩辛いものや、甘いものをたくさん食べても満足しにくい状態になってしまう可能性があります。
ついつい間食をしてしまう方や、お腹が空いていないのに甘いものが欲しくなってしまう形は、タンパク質不足になってしまっている可能性がありますので、タンパク質がしっかりとれているかを確認してみてください。
タンパク質不足の症状⑤姿勢や体型が乱れやすくなる
タンパク質は、筋肉の機能を正常に保つ効果があります。
筋肉は姿勢や体型を維持するために24時間無休で働いています。
タンパク質を適正にとれば、姿勢や体型を維持する筋肉がしっかり働くことにより、良い姿勢や健康な体型を維持しやすくなります。
逆に、タンパク質が不足している食生活が続き、タンパク質不足になってしまうと、姿勢や体型を維持する筋肉が正しく働かなくなり、猫背やポッコリお腹などの原因になってしまいます。
姿勢や体型維持を意識しているけど、なかなかうまくいかないという方は、タンパク質不足になってしまっているのかもしれません。
★管理栄養士 秋山真敏 コメント
タンパク質は体内での代謝をスムーズに行うために必須の栄養素です。
代謝は人間の体内で24時間休まずに行われており、代謝を正常に働かせるために、常に食べ物やサプリメントから補給したタンパク質が消費され続けています。
タンパク質質不足の食事が続き、体内でタンパク質が不足すると、基礎代謝や新陳代謝など、体型や健康を維持するための代謝が滞ってしまい、慢性化すると、筋肉や内臓の機能が正常に働かなくなってしまいます。
タンパク質を適切に補給すると、筋肉や内臓など体を内側が丈夫になり、ダイエットや健康管理の効果が出やすい状況になりますので、不足しないように毎日摂取するようにしてください。
タンパク質の不足がチェックできる20の質問
タンパク質不足をチェックするための20の質問があります。いくつ当てはまるか数えてみてください。
1 すぐ疲れる
2 へとへとだ
3 だるい
4 いつも不安だ
5 落ち着かない
6 憂鬱だ
7 何をするのも面倒だ
8 気が散漫になりやすい
9 やる気が出ない
10 風邪をひく回数が多い
11 むくみが気になる
12 理由もなくイライラしやすい
13 手足が冷たい
14 肩が張っている
15 緊張しやすく・ストレスを受けやすい
16 腹痛がある
17 いくら寝ても疲れがとれない
18 思考力・決断力が低下した気がする
19 お腹の調子が悪く、便秘が下痢の症状がある
20 肌は乾燥気味、髪はパサパサしている
当てはまる数が1個以下の方は、タンパク質が充分足りている可能性が高いと判断して良いでしょう。
今の食事を続けていただければ、タンパク質不足はかなりの確率で防げると思います。
当てはまる数が2個〜10個の方は、タンパク質不足になっている可能性が高いと判断して良いでしょう。
必要なタンパク質量を確認して補給するようにしてください。
当てはまる数が11個以上の方は、慢性的にタンパク質不足になってしまっている可能性が高いと判断して良いでしょう。
食べ物だけでは必要なタンパク質を補えない可能性が高いので、プロテインなど栄養補助食品を活用しながらタンパク質不足を解消するようにしてください。
★管理栄養士 秋山真敏 コメント
タンパク質が慢性的に不足すると、砂糖や菓子パンなどの「精製糖質」や、古くなったサラダ油や揚げ物などの「酸化した油」を好む食生活に自然と近づいてしまいます。
精製糖質と酸化した油の取りすぎは、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の原因の一つと言われています。
タンパク質を適切に補給すると、精製糖質と酸化した油を取りすぎない食生活に自然と近づく可能性が高くなり、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の予防にも繋がります。
ダメだとわかっていても、砂糖や菓子パンなどの「精製糖質」や、古くなったサラダ油や揚げ物などの「酸化した油」が食べたくなる原因は、タンパク質不足かもしれません。
タンパク質不足が起こってしまうのは、食事だけが原因ではない
健康に気をつけた食事をしているけど、チェックシートでタンパク質不足に当てはまってしまった方は、以下のようなことに当てはまっていないか確認してみてください。
・肉や卵を食べるのが苦手
日本人のタンパク質摂取の半分以上は、肉や卵などの動物性食品から摂取されています。
肉や卵を食べる量が足りていないと、自然とタンパク質不足になってしまいます。
肉や卵を食べるのが苦手な方は、胃腸の消化能力が低下してしまっている可能性があります。
胃腸の消化能力が低下していると、肉や卵を食べると胃が重くなったり、お腹にガスが溜まりやすくなったりしてしまいますが、少しずつ量を増やしていくと食べれるようになりますので、苦手でも少しずつ食べるようにしてみてください。
・炭水化物や脂質を制限しすぎている
炭水化物や脂質を制限しすぎると、筋肉や内臓を動かすエネルギー源が不足してしまいます。
エネルギーが不足している状態では、筋肉や内臓を緊急のエネルギー源としてタンパク質を消費してしまいます。
いつも通りタンパク質をとっていても、ダイエットなどで炭水化物や脂質を制限しすぎると、本来、筋肉や内臓を丈夫にするために使われるはずだったタンパク質を、筋肉や内臓のエネルギーを補うために使われてしまいます。
そのため、エネルギー不足の状態で、タンパク質だけをしっかり摂っても、タンパク質不足になってしまいます。
■ダイエットを始めてから、体に疲れが溜まりやすくなった
■タンパク質をしっかりとっているのに、食欲がなかなかコントロールできない
■タンパク質をしっかりとっているのに、肌や爪がボロボロになってしまった
といった方は、タンパク質がエネルギーに使われてしまい、タンパク質不足になってしまっているかもしれません。
適度に炭水化物や糖質を摂取することによって、タンパク質を効率よく吸収し、活用することができますので、炭水化物や脂質の制限しすぎによるタンパク質不足には注意してください。
★管理栄養士 秋山真敏 コメント
炭水化物は、「内臓や筋肉を正常に働かせるため」と「代謝を正常に働かせるため」に体内で消費されています。
炭水化物は、米、麺類、パン、もち、いも、果物などに多く含まれています。
代謝を正常に維持したい方は、これらのうちどれか1つを毎食握り拳1個分以上食べるようにしてください。
脂質は、「内臓や筋肉を正常に働かせるため」と「内臓や筋肉を丈夫にするため」に体内で消費されています。
卵、肉や魚の脂身、オリーブオイル、バター、生クリーム、アボカド、ナッツ、チーズなどに多く含まれています。
内臓や筋肉を丈夫にしたい方は、これらのうちどれか1つは1日1回以上食べるようにしてください。
・運動やトレーニングに見合ったタンパク質の量が取れていない
運動やトレーニングで、いつもより筋肉に負荷をかけると、タンパク質の必要量は多くなります。
■運動やトレーニング後にしばらく疲れやだるさが残る
■運動やトレーニングになかなか集中できない
■筋トレを頑張っているが、なかなか筋肉がつかない
という方は、必要なタンパク質量が取れておらず、タンパク質不足になっているのかもしれません。
運動やトレーニングをしている期間は、普通の人の1.5倍から2倍のタンパク質が必要です。
効率よくトレーニングの効果を実感したい方やダイエットの効果を高めたい方は、特に意識してタンパク質を摂取する必要があります。
・人間関係などにストレスを抱えている方
意外かもしれませんが、イライラしたり、悩んでいるときに、タンパク質はいつもより余分に消費されています。
イライラしたり、悩んでいるときは、体にストレスがかかっている状態ですので、体のストレスに対処するために、ホルモンや神経伝達物質がいつもより多めに消費されます。
ホルモンや神経伝達物質は、体内に備蓄されているタンパク質を使って作られますので、ストレスの多い人は、普段通りタンパク質をとっていてもストレスでタンパク質が消費されてしまい、タンパク質不足になってしまっている可能性が高いです。
■ストレスが多い日に暴飲暴食をしてしまう
■ストレスが多い日は食欲がなくなってしまう
という方はストレスが原因でタンパク質不足になってしまっている可能性があります。
■ストレスに弱いことに悩んでいる方
■暴飲暴食がなかなか止められない方
■食欲のムラがあり、困っている方
という方は、タンパク質の取り方を見直してみると、タンパク質不足症状の改善効果が期待できるかもしれません。
・病気や、体の不調を抱えている方
現在、病院やクリニックに通院されて、お薬を飲まれている方や、体になかなか取れない痛みや不快感が続いている方は、普通に卵や肉をとっていても、タンパク質不足になっている可能性があります。
病気や体の不調を抱えている人は、低下してしまっている内臓や筋肉の機能を補うために、健康な状態な人と比べて1.5〜2倍のタンパク質を消費してしまっています。
一般の方でも、風邪をひいている状態や、熱が出ている時は、いつもより多めにタンパク質が消費されてしまい、タンパク質不足になりやすくなっています。
■常に熱っぽい
■風邪をひきやすい
など、抵抗力や免疫力が落ちている症状がある方は、タンパク質を多めに取るとタンパク質不足症状の改善効果が見込めるかもしれません。
タンパク質が不足すると太るって本当?
タンパク質は、ダイエットに重要な栄養素として紹介されているので、「タンパク質をしっかりとれば痩せるのでは」というイメージを持っている方も少なくないはずです。
しかし、タンパク質を取り始めてから体重が増えてしまったという方は少なくありません。
その原因について解説していきます。
・タンパク質の量が足りていない
質の良い肉やプロテインを選ぶようにしている方でも、そもそもタンパク質の量が足りてない方は少なくありません。
これをとれば、1日に必要なタンパク質の半分が取れると言う商品に頼りすぎて、普段の食事からタンパク質がほとんど取れてないと言う方は意外と少なくありません。
1日に必要なタンパク質量は、記事の後半で紹介していますので、参考にしてみてください。
・タンパク質以外を摂りすぎている
タンパク質をしっかりとっているから、大丈夫と安心して、無意識のうちに、間食やデザートを食べてしまっている方は少なくありません。
タンパク質に食べ過ぎたカロリーを余分に消費してくれるような魔法のような効果はありません。
タンパク質をしっかりとりながら、余分なカロリーを摂りすぎないような注意も必要です。
・一時的なむくみで体重が増加した
必要なタンパク質を適切に摂っていると、新陳代謝が活発になります。
新陳代謝には、内臓や筋肉を丈夫にしてくれる作用がありますが、一時的に老廃物をたくさん作ってしまう副作用があります。
老廃物が蓄積されると、むくみで体重が増えやすくなってしまいます。
水分やミネラルを適切にとって、老廃物がデトックスしやすい状態を作ると、むくみによる一時的な体重の増加は解消しやすくなります。
・筋肉量が増えた
特にBM Iが18.5以下の痩せ型の方は、タンパク質をしっかり取るだけで、筋肉が増えやすい傾向があります。
筋肉が増えて体重が増えると見た目が太くなり、ボディーラインが崩れてしまうと思ってしまうかもしれませんが、激しいトレーニングをしない限り、タンパク質を取っただけで見た目が太くなると言うことはありません。
目標体重を低く設定しすぎている方は、タンパク質をとると、太ると感じやすくなってしまう傾向があり、タンパク質不足になりやすくなってしまうので、特に注意してタンパク質を補給するようにしてください。
・骨密度が高くなり、骨が丈夫になった
特にBM Iが18.5以下の痩せ型の方は、タンパク質をしっかり取るだけで、骨が丈夫になったことで体重が増える傾向があります。
骨太になると見た目が太くなり、ボディーラインが崩れてしまうと思ってしまうかもしれませんが、骨の密度が高くなっただけなので、見た目はほとんど変わりません。
骨の成分の多くはタンパク質から作られるコラーゲンです。
タンパク質を多くとることで、骨が丈夫になり、骨粗しょう症の予防にもつながるので、骨が丈夫になったことによる体重の増加は健康に良いことだと思って受け入れるようにしてください。
1日に必要なタンパク質を摂るための食べ物の量はどのくらい?
1日に必要なタンパク質の量は、体重×1.0-2.0gで計算することができます。
健康維持をしたい方・・・体重× 1.0g
ダイエットをしたい方・・・体重× 1.5g
激しいトレーニングをする方・・・体重× 2.0g
という基準で1日に必要なタンパク質量の目安を計算してみてください。
例えば、体重50kgで健康維持をしたい方に必要なタンパク質量は、1日50gです。
1日50gのタンパク質を摂るための食材の組み合わせ例は、
卵3個(タンパク質18g)
肉80g(タンパク質20g)
魚50g(タンパク質12.5g)
つまり、体重が50kgの人は、1日に卵3個・肉80g・魚50gを食べることができれば、タンパク質不足を予防できるということです。
献立を考える際の参考にしてみてください。
食べ物でタンパク質を補給するのが難しい方は、プロテインを活用してみても良いかもしれません。
ダイエットがうまくいかない時は、タンパク質不足を解消しましょう
タンパク質不足を解消すると
「ダイエットを成功させたいけど、食事改善が続かない」
「もっと健康な食生活を心がけたいけど、なかなかうまくいかない」
「食欲を我慢せずにカロリー制限が続かない」
という悩みを改善できるかもしれません。
自分に必要な1日のタンパク質量を計算し、必要な量を確実にとるようにすれば、自然とタンパク質不足は予防できるので、ダイエットや健康管理を成功させたい人は参考にしてみてください。
監修者プロフィール
★管理栄養士 秋山真敏
- 管理栄養士と食品衛生管理者の資格を持つ
- 栄養指導研究歴11年
- 栄養サポート(https://vita-pro.site/)を運営
- YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC2FZMqjo0FkoJXsvaVDi1GQ
- ブログ:https://ameblo.jp/protein-akiyama/