監修者:ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹波 里奈
バキバキに割れた腹筋は、トレーニングをする人みんなの憧れ。
最近では女性も腹筋のラインが見える引き締まったウエストを目指す人が増えています。
とはいえ、SNSやTVで見るような腹筋になるのはなかなか難しいもの。
しかし、コツを押さえれば今よりもっと効率よく鍛えることができます。
そこでこの記事では、効率の良い腹筋の鍛え方やポイント、おすすめのトレーニングについて徹底解説!
ぜひトレーニングの参考にしてくださいね。
そもそも腹筋とは?場所はどこ?
「腹筋」とは、簡単にいうとお腹にある筋肉のこと。
実は「腹筋」という一つの筋肉ではなく、次の3つの筋肉のことを指しています。
- 腹直筋…お腹の正面にある筋肉。「シックスパック」「割れている」と呼ばれる部分。
- 腹斜筋…お腹の横にある筋肉。「外腹斜筋」「内腹斜筋」の2つがある。
- 腹横筋…お腹の横にあるが、内腹斜筋よりもさらに深い部分にあるインナーマッスル。
がむしゃらに鍛えるよりも、それぞれの場所を把握しトレーニング方法を分けた方が効率よく鍛えることができます。
ちなみに、腹筋の役割は”お腹を綺麗に見せる”ことだけではありません。
次のような大切な役割を果たしています。
- 曲げる・ひねるなど上半身を動かす
- 呼吸をサポートする
- 上半身と下半身の動きを連動させる
- 内臓を支える、衝撃から守る
- 姿勢を保つ
つまり、「腹筋」は運動をする人やダイエットをしている人でなくても欠かせない筋肉であるということ。
誰が鍛えても損はないのです。
腹筋を鍛えるメリット
体が引き締まる
腹筋を鍛えるメリットとしてまず挙げられるのが、体が引き締まること。
上半身の中でも大きな筋肉である腹筋を鍛えれば、上半身全体が引き締まった印象になります。
肩幅よりもウエストの方が細くなるため、見た目も大きく変わるでしょう。
また、それにより着こなせる服の幅もグンと広がります。
基礎代謝が上がる
「基礎代謝」とは、呼吸をする・心臓を動かすなど無意識のうちに行われる生命維持活動によって消費するエネルギーのこと。
筋肉量が増えると、この基礎代謝も増えると言われています。
腹筋は体の中でも比較的大きな筋肉であるため、鍛えれば基礎代謝量を高める効果も大。
見た目が変わるだけでなく、痩せやすい体を作ることもできるのです。
消化機能が活性化される
ぽっこりお腹の原因の一つは、内臓下垂。
腹筋が弱いと内臓を支えることができず、お腹がぽこっと出てしまいます。
腹筋を鍛えれば内臓をしっかりと支えることができ、内臓が正しい位置に収まるため、消化機能もスムーズに。
つまり、胃もたれやムカつきなどの消化不良を改善することができます。
便秘が解消される
便秘の原因は様々ですが、内臓下垂もその理由の一つ。
大腸が正しい位置にないと、排便がスムーズに行えなくなることがあります。
腹筋を鍛えれば大腸を本来の位置で支えることができるようになるため、便秘も解消されるでしょう。
男性よりも女性の方が腹筋が弱いとされているため、便秘で悩む女性は腹筋を鍛えるのも一つの手です。
姿勢が良くなる
腹筋は姿勢を保つために必要不可欠な筋肉です。
そのため、腹筋を鍛えてしっかり機能するようにしておけば、姿勢を改善することもできます。
また、腹筋だけでなく背筋や脊柱起立筋などもバランス良く鍛えると、さらに効果的です。
腰痛が緩和される
腰痛を引き起こす原因の一つと言われているのが、姿勢の歪み。
姿勢が乱れることで一部の筋肉が緊張し、血流が悪くなることで腰に痛みが発生するといわれています。
強い腹筋を作ることは姿勢改善につながるため、結果的に腰痛緩和にも効果的です。
動作が安定する
腹筋は体の軸となる「体幹」を支える筋肉の一つです。
そのため、腹筋がしっかり機能するようになれば動作全体に安定感が増します。
いわゆる「ブレない」体を作ることができるため、スポーツをする人は特に腹筋を鍛えることがおすすめです。
一般の方でも腹筋が強くなるとふとした動作に安定感が増すため、疲れやすさの軽減につながります。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
「腹筋を鍛えるメリット=ウエストがカッコよくなる」というのは間違いではありませんが、それだけだと思うのはとてももったいないです。
腹筋が体の中心にあることが物語っているように、腹筋はとても重要な役割を果たしているパーツです。
ご紹介した通り、便秘や腰痛などの不定愁訴の改善、パフォーマンスの向上など様々なメリットを得ることができます。
「シックスパックなんて自分には関係ない」と思わずに、ぜひ腹筋のトレーニングに励みましょう。
そのうちに体の内面的な変化を感じることができ、モチベーションを高めながらトレーニングを続けることで憧れのシックスパックに近づくことができるはずですよ!
効率の良い腹筋の鍛え方
タンパク質を摂る
腹筋を鍛えるためには、筋トレだけでなく栄養補給が必要です。
筋肉を養うための栄養がなければ、どんなにハードな筋トレをしても腹筋は育ちません。
腹筋を鍛える上で必ず取り入れて欲しいのは「タンパク質」。
タンパク質は腹筋だけでなく全ての筋肉に欠かせないものであるため、トレーニング後はもちろん、普段の食事でも多めに取り入れるよう心がけましょう。
体脂肪を落とす
腹筋を鍛えたい人の中でも「腹筋を割りたい」と思っている人は、体脂肪を落とすことが近道になります。
というのも、実は腹直筋はもともといわゆる「シックスパック」型。
上に脂肪がついているため、割れていないように見えるのです。
つまり、体脂肪を落とせば自然と腹筋のラインが見え、「割れている」状態に近づけることができます。
筋トレだけでなく、脂肪燃焼効果が高い有酸素運動もトレーニングに取り入れましょう。
多角的に鍛える
前述の通り、「腹筋」は一つの筋肉ではありません。
そのため、体の正面にある「腹直筋」だけを鍛えてもくびれはできにくいのです。
より効率よく腹筋を鍛えるなら、腹直筋だけでなく腹斜筋にもアプローチするなど多角的に鍛えることが重要。
一つの種目を黙々とやり続けるのではなく、3種の腹筋を満遍なく鍛えられるよう複数のトレーニングをこなしましょう。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
タンパク質が多く含まれている食品は、肉・魚・卵・大豆製品。
筋トレをするなら普段の食事でも多めに取り入れるよう意識しましょう。
目標は「体重×1.5〜2g」ほど。50kgの人であれば1日75〜100gの摂取を目指してくださいね。
また、タンパク質を取り入れる「ゴールデンタイム」と言われているのは、トレーニング中〜終了後30分以内。
ゴールデンタイムを逃さないためには、プロテイン等のサプリメントをうまく活用することがポイントです。
「プロテイン=まずい」というイメージをお持ちの方も少なくないかと思いますが、最近は味わいにこだわったものも多く販売されているため、ぜひお気に入りを探してみてくださいね。
おすすめの腹筋5選
ダブルクランチ
「ダブルクランチ」は一般的な腹筋のように上半身だけを動かすのではなく、下半身も一緒に動かす鍛え方です。
上半身と下半身を同時に動かすため筋肉を広く収縮させやすく、下腹までしっかり鍛えることができます。
動作中は息を止めず、しっかりと呼吸を繰り返しましょう。
やり方
- マットに仰向けで寝る
- 両手を頭の後ろで組み、両膝は90度に曲げて立てる
- 息を吐きながら上半身を置き上げる
- 3と同時に足を持ち上げ、肘と膝を近づける
- 2の姿勢に戻る
- 4-5を1回とし、10回ほど繰り返す
- 余裕があれば数セット行う
ポイント
- 上半身は肩甲骨が浮くくらいまで持ち上げる
- 肘と膝をくっつけるときに息を吐き切る
- 元の位置に戻るときも力を抜かない
ツイストクランチ
「ツイストクランチ」は体をひねるように腹筋をする鍛え方です。
腹直筋だけでなく、腹斜筋にもアプローチすることができるため腹筋を割るのにもくびれ作りにも効果的。
腹筋上級者は対角にある足を同時に引き寄せて強度を高めてみましょう。
やり方
- マットに仰向けで寝る
- 両手を頭に添え、両膝は90度に曲げて立てる
- 吐く息に合わせて上半身を右にひねりながら起こし、左肘を右膝につける
- 1の姿勢に戻る
- 続いて上半身を左にひねりながら起こし、右肘を左膝につける
- 2-5を1回とし、10回ほど繰り返す
- 余裕があれば数セット行う
ポイント
- 上半身は肩甲骨が浮くくらいまで持ち上げる
- 肘と膝をくっつけるときに息を吐き切る
- 元の位置に戻るときも力を抜かない
リバースクランチ
「リバースクランチ」は、上半身ではなく下半身を動かす腹筋の鍛え方です。
腹直筋の中でも下の方を鍛えることができるため、下っ腹が気になる人や下っ腹を引き締めたい人には特におすすめ。
また、前傾しすぎた骨盤や反り腰の緩和にも効果的なトレーニングです。
やり方
- マットに仰向けで寝る
- 両膝を90度に曲げて立てる
- 息を吐きながら膝を胸に近づける
- お尻を少し持ち上げ、膝を胸に近づける
- 2の姿勢に戻る
- 3-5を1回とし、10回ほど繰り返す
- 余裕があれば数セット繰り返す
ポイント
- 勢いで足を上げず、下腹の力で膝を胸に引き寄せる
- 戻すときは力をうまく使ってゆっくり戻る
- 手は体側に添えても頭に添えてもOK
プランク
「プランク」は多くのトレーニーやダイエッターに愛される体幹トレーニングの一つ。
腹直筋や腹斜筋よりも、その奥にあるインナーマッスル「腹横筋」へ効果的にアプローチすることができます。
また、体全部を手足で支えるため、二の腕の引き締め内腿の引き締めにも効果的。
簡単そうに見えますが意外と辛く、その分全体を効率よく引き締めることができます。
やり方
- 肩の真下に手首をつき、マットに四つん這いになる
- 右足を後ろに伸ばし、つま先を床に立てる
- 同様に左足も後ろに伸ばし、右足の横に添える
- 頭からかかとまでを一直線に保つ
- 目線は両手の間かやや前に定める
- 30〜60秒ほどキープする
ポイント
- プランク中、息は止めずに深い呼吸を繰り返す
- 辛い場合は足幅を広くするor膝をついて行う
- 余裕がある場合は片足or片手を持ち上げる
サイドプランク
「サイドプランク」はプランクの横向きバージョン。
同じくインナーマッスルである腹横筋へのアプローチ効果が抜群で、プランクよりもピンポイントで脇腹を鍛えることができます。
また、前後に倒れないようにコントロールすることでバランス感覚の向上にも効果的。
肩が痛い、筋力がなくて辛い場合は肘をついて行ってみてください。
やり方
- 肩の真下に手首をつき、マットに四つん這いになる
- 右足を後ろに引き、つま先を床に立てる
- 右手を天井に向かって持ち上げ、体を右に開く
- 手で強く床を押しながら左足をそっと抜き、右足の近くに添える
- 頭からかかとまでを一直線に保つ
- 30〜60秒キープする
ポイント
- プランク中、息は止めずに深い呼吸を繰り返す
- 辛い場合は足幅を広くする
- 余裕がある場合は上にある足を持ち上げる
腹筋トレーニングのポイント
使っている場所を意識する
腹筋を鍛える上で大切なポイントは、「使っている場所を意識する」こと。
どこを鍛えているのかよくわからない状態でトレーニングを続けても、あまり効果は期待できません。
それよりもトレーニングしている箇所が痛くなる・疲れるくらいまで意識すると、しっかりと鍛えることができます。
せっかく同じ時間を使うなら、「今どこを鍛えているか」という点をしっかり意識しながら行いましょう。
筋肉の収縮を意識する
腹筋にかかわらず、鍛え方全般でしっかり意識したいのが「筋肉の収縮」です。
筋肉は伸びる・縮むを繰り返すことによって肥大します。
そのため動作を小さく繰り返す、目的の筋肉を収縮させていない筋トレはあまり効果がありません。
しっかりと腹筋を「伸ばす・縮める」意識を持って行いましょう。
数よりも質にこだわる
筋トレは数よりも質が大切です。
間違ったフォームで小さな動きを100回繰り返すより、正しいフォームで大きな動きを10回繰り返した方が効率よく鍛えることができます。
そのため、トレーニングメニューを決めるときは「何回行う」と回数を目標にするよりも、「正しく行える数をこなす」という考え方で回数を決めましょう。
すると、質にこだわったトレーニングを行うことができますよ。
呼吸は止めない
力を入れると呼吸を止めたくなりますが、腹筋中は呼吸を繰り返しましょう。
というのも、インナーマッスルである腹横筋は呼吸をサポートする筋肉です。
深く長い呼吸を繰り返すことは、それだけで腹横筋の筋トレにつながります。
ポイントはトップポジションになった時に息を吐き切ること。
そして元の姿勢に戻るときは息を深く吸いながらゆっくりと戻りましょう。
トレーニング道具を使う
自重トレーニングで物足りなくなってきたら、ダンベルやプレート、バランスボール等のトレーニング道具を有効活用しましょう。
頭や胸元にダンベルやプレートを抱えるようにして行えば、自重で行うよりずっと辛くなります。
また、バランスボールはプランクやサイドプランク等の負荷を高めたい時に便利。
手か足をバランスボールに置いて行うと不安定になるため、さらに効果的なトレーニングを行うことができます。
ジムに通っている方ぜひジムにあるダンベル等の道具を活用しましょう。
自宅トレーニング派はどれか1つ購入しておくのがおすすめ。
他のトレーニングの負荷としても使えるため、自宅にいながら効率よくトレーニングすることができるでしょう。
毎日行わない
「毎日腹筋をすれば効果が出やすいのでは?」と思う方も多いかもしれませんが、実はグレー。
筋トレをすればその分筋肉は疲れるため、毎日行うと正しいフォームでできないことがあります。
すると、効果は半減。
適当なフォームで毎日行うよりは、正しいフォームで休み休み行った方が効果的と言えるでしょう。
おすすめは2〜3日に1回のペースで行うこと。
筋トレによって破壊された筋肉は、48〜72時間後に元の状態よりも強くなる「超回復」を迎えます。
そのタイミングでトレーニングを行うと効果が高まりやすいため、筋肉をしっかりと休ませながら取り組みましょう。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
筋トレはズバリ、「意識」が大切です。
ぼーっとしながら体を動かしたり、別のことを考えながら筋トレしたりするのは時間の無駄。
どうせ同じ時間を使うなら、しっかりと筋トレに集中しましょう。
また、数よりも質にこだわったメニュー設定を行うと、各回数が膨大な数になってしまうこともあるでしょう。
そんなときは、負荷を加えることがおすすめです。
ダンベルやプレートを持って行う、トレーニング方法のレベルを一段階上げるなどすると、回数を抑えながら質にこだわることができますよ。
種目や回数を自分で見極めるのが難しい場合は、ぜひジムのトレーナーやスタッフに相談してみてくださいね。
まとめ
筋トレ初心者・上級者問わず、バキバキに割れたシックスパックを目標に頑張りたいものです。
腹筋を鍛える方法はたくさんあるので、ぜひご自身のレベルに合ったトレーニングから始めてくださいね。
初心者の方はダブルクランチではなく上半身だけを起こす「クランチ」、プランクもつま先ではなく膝を床につける「膝つきプランク」にするなど、強度を工夫しましょう。
上級者の方は「ダブルクランチ+ダンベル」、「プランク+バランスボール」など、負荷を高めるとより効果的です。
加えてランニングやウォーキング等で脂肪を燃やし、憧れのシックスパックを手に入れましょう!
監修者プロフィール
★ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈
- フィットネス指導歴12年
- RYT200、RPYT85(マタニティヨガの資格)取得。
- レイキセラピスト取得
- 学生時代、4年間インストラクターとして活動。
- 現在は、ヨガインストラクターとしての活動以外にパーソナルトレーナーとしても活動。