監修者:管理栄養士・NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) 吉澤 航輔
食品のエネルギー(カロリー)は三大栄養素によって構成されています。
炭水化物、タンパク質、脂質の3つです。
その中でも今回はタンパク質にフォーカスしてお話をしていきたいと思います。
最近ではコンビニでもダイエット向きの高タンパクなお弁当、サラダなどをよく見かけるようになりましたよね。また、プロテインというのも非常に普及してきていると思います。
タンパク質はダイエットをしていく上では欠かせない栄養素です。
なぜダイエットにおいては特に大切なのかを、詳しく説明していきたいと思います。
ダイエットに必要不可欠なタンパク質
タンパク質はなぜ必要なのか
人の体は主にタンパク質によって作られています。体の約65%は水分と言われていますが、20%はタンパク質です。
タンパク質から皮膚や筋肉、髪、爪などが作られ、ホルモンの材料ともなります。
タンパク質は、人間にとって欠かせない栄養素です。
管理栄養士・NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) 吉澤 航輔コメント
タンパク質は人間にとって必要不可欠な栄養素です。
それはタンパク質に様々な働きがあるからです。
具体的には、代謝の機能の調整や体内での物質の運搬、自己免疫の向上、体の組織(髪の毛や爪、臓器・筋肉)などを構成、ホルモンや抗体などの身体機能の調整、脳の発達や機能のサポートなど非常に多くの役割があります。様々な機能の中でも、ダイエットにおいては筋肉の構成物質となることが非常に重要です。
筋肉量を維持する・高めることで、基礎代謝の維持・向上に繋がります。
筋肉における消費量は基礎代謝の約5分の1を占めているので、かなり大切になってきます。
しっかりタンパク質は摂るようにしましょう!
一日に必要なタンパク質の摂取量
では1日にどれくらいのタンパク質を取ったらよいのでしょうか。
簡単な目安があります。
それは体重(kg)×1gという計算式です。体重60kgの方であれば1日に60gはタンパク質を取りましょうということですね。
運動をしている方の場合はもう少し必要量が増えていきます。
1gというところが、1.2gや1.5g、2.0gといった感じで運動量に応じて増えていくようになります。
管理栄養士・NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) 吉澤 航輔コメント
タンパク質の必要量は、様々な条件により異なってきますが、運動量に応じて増減すると言われています。
まず、普段あまり運動をしていない方というのはたくさん摂る必要はありません。
体重1kgあたり0.8~0.9gが必要量と言われています。体重60㎏の人ならば、48~54gですね。次に、軽いランニングや筋トレなどを行っている方は少し量としては増えます。
体重1kgあたり1.2~1.5gが必要量です。体重60㎏の人ならば、72~90gですね。そして、しっかりトレーニングをしていて筋肉をつけて体重を増やしたい方は多くとる必要があります。
体重1kgあたり2gが必要になってきます。体重60㎏の人なら120gですね。この数値を意識してみましょう!
タンパク質が不足するとどうなるのか
タンパク質不足で起きること悪いこと4選
①筋肉量の減少
②基礎代謝の低下
③集中力の低下
④肌や髪のトラブル
人間にとってタンパク質は必要不可欠な栄養素であるので、不足すると様々なデメリットが生じます。
①筋肉量の減少
まずは筋肉量が減少します。筋肉=タンパク質みたいなイメージがあるように、筋肉はタンパク質を材料として作られます。
なのでタンパク質が不足してしまうと、自然と筋肉量が減少してしまうことにつながっていきます。
②基礎代謝の低下
また、筋肉量の減少に伴って基礎代謝が低下します。
基礎代謝というのは、寝ていても勝手に消費されるエネルギーのことを指します。
基礎代謝のうちおよそ20%は筋肉での消費が占めているので、筋肉量が減ることにより基礎代謝量も低下します。
基礎代謝が低下すると痩せにくい体になるので、ダイエットにおいては筋肉量を保つためにタンパク質をしっかり摂ることが大切ですね。
③集中力の低下
タンパク質の不足は集中力低下にもつながります。
やる気に影響を与えるドーパミンという神経伝達物質はアミノ酸(タンパク質の構成物質)からできています。
そのため、タンパク質が足りないと神経伝達物質が作られず、脳の働きが鈍くなるようになってしまいます。
④肌や髪のトラブル
先ほどもお伝えしたように、皮膚や髪の毛もタンパク質から作られるものなので、タンパク質の摂取量が足りないと肌や髪のトラブルにもつながってしまいます。
このようにタンパク質が不足すると様々な症状が起こります。。
タンパク質を摂取する方法
タンパク質は様々な食材に含まれています。
代表的なのがお肉ですね。
最近では高タンパクなサラダチキンをよく見かけますよね。
鶏肉には非常に多くタンパク質が含まれています。また、豚肉や牛肉にも多くのタンパク質が含まれています。
お肉だと部位によっては脂質が多く含まれているところもあるので、脂身の少ない赤身中心のお肉を食べると効率的にタンパク質を摂取できますね。
また、魚も非常に優秀なタンパク源です。
基本的にはお肉同様に、どんな魚にもタンパク質は多く含まれていますので、オススメできる食材です。
マグロやカツオなどの赤身のお魚はカロリーを抑えられていながらも、非常に高たんぱくな食材なので、ぜひ食べていただきたい食材かなと思います。
卵もとても良い食材です。
アミノ酸スコアというタンパク質の点数のような指標があるのですが、卵はアミノ酸スコアが100で、非常に質の高いタンパク質なのが特徴です。
アミノ酸スコアが高いので、体への吸収率が非常に高いです。安価に手に入るので、タンパク質を手軽に取りたいときは卵はオススメです。
他にもタンパク質は乳製品や豆類などにも含まれています。
いろんな食材を組み合わせて、偏らないようにバランスよくタンパク質を摂取できるとよいですね。
また、プロテインといったサプリメントからもタンパク質は摂ることができます。
プロテインは最近はいろんなところで見かけるようになりましたね。
薬局でも買えるし、コンビニでも種類豊富に販売されています。
プロテインにはホエイやソイ、エッグなど様々な種類があります。
その中でも自分の味の好みに合ったものをチョイスするのがいいかなと私は思います。苦手な味のプロテインを飲んでいても中々続かないので、好きな味のプロテインを見つけて飲み続けるのをオススメします。
ただ、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、お腹を下したりする方は、ホエイプロテインを飲むと同じ症状になるのでホエイプロテインは避けたほうが良いですね。
手軽にタンパク質を摂取できるレシピ3選
タンパク質を多く含んだレシピはいろいろあります。
レシピ1
1つ目は「鶏ハム」です。
鶏むね肉から作られている鶏ハムは、様々な味付けのアレンジができ、お気に入りの味で漬け込み、低温で調理されることにより非常に柔らかい仕上がりになります。
鶏むね肉特有のパサつきはほとんど感じられないです。
味もさっぱりとしていて、非常に食べやすいのが魅力です。
鶏むね肉はお肉の中でも特に安いのでコストパフォーマンスも抜群ですね。ハーブなども一緒に漬け込むことで、香りも楽しめます。
筋トレしている方・ダイエットしている方には特におすすめです。
レシピ2
2つ目は「お寿司」です。
先ほどお伝えしたように、魚には良質なタンパク質が豊富に含まれています。
魚肉だけでなく、貝も魚卵も玉子もすべて高タンパクです。
お店によって、ネタのサイズが違ってくるので一概には言えませんが、お寿司2貫でタンパク質を約10グラム摂取できます。
非常に効率の良い食品ですよね。また魚からは良質な脂質を摂ることができます。
魚の脂質は「EPA」や「DHA」といったオメガ3脂肪酸です。
最近はいろんなメディアでこのオメガ3脂肪酸というものが取り上げられています。
オメガ3脂肪酸には血液をサラサラにする働きがあったり、血中のコレステロール値を下げる働きがあるという風に言われています。
タンパク質以外にも優秀な栄養素を摂れるのがお寿司の良いところです。
レシピ3
3つ目は蕎麦もしくはパスタです。
これを聞くと、「蕎麦とパスタって炭水化物じゃん」って思う方が多いかと思います。
もちろん、蕎麦やパスタは主食にあたるので、主には炭水化物が含まれています。
しかし、これらには意外とタンパク質が含まれているのです。
蕎麦とパスタを1人前食べると約12gのタンパク質が摂れます。
これはご飯茶碗1杯分に含まれるタンパク質の約3倍の数値です。
主食から炭水化物を摂りながらタンパク質も摂れると効率よいですよね。
タンパク質を摂る上ではおすすめの主食です。
コンビニでもタンパク質を気軽に摂取!?管理栄養士が選ぶおすすめコンビニ商品ベスト3
最近ではコンビニにも高たんぱくな食材が多く並んでいるのを見かけますよね。
そんな中でも管理栄養士のオススメするコンビニ商品を3つ紹介したいなと思います。
①サラダチキン
1つ目はサラダチキンです。
言わずもがな、高タンパク食品の今や代表格ですよね。
どこのコンビニでも売られていてとても手軽に手に入ります。
また、最近は味の種類も豊富になってきています。
いろんな味のものを食べることで飽きにくく、ダイエットにも活用しやすいですよね。
ダイエットは食材に飽きてしまうと辛くなるので、その点は非常に魅力的です。
1つ食べるだけでタンパク質をおよそ20g摂取できるので、コストパフォーマンスは抜群です。
非常に低脂質なのもダイエット中にはありがたいですね。
ちなみにサラダチキンには疲労回復効果もあるといわれております。
鶏むね肉に多く含まれているイミダゾールペプチドには、体のだるさや疲労感を軽減する抗疲労効果があることが証明されています。
②ゆで卵
2つ目はゆで卵です。
ゆで卵は非常にポテンシャルが高いです。
ゆで卵1つで約6gのタンパク質が摂取できます。
卵は「完全栄養食」という風にも言われています。
とても栄養価に優れていて、タンパク質を始め、様々な栄養素がとてもバランスよく含まれています。
持ち運びしやすいですし、殻をむくだけでサッと食べられるので食事にプラスしたり間食にもオススメできます。
また、ゆで卵は食べると満足感が高く、腹持ちが良いのでダイエット中にも重宝できます。
③プロテインバー
3つ目はプロテインバーです。
プロテインバーもプロテイン同様によく見かけるようになりましたよね。
コンビニに行くとかなり種類豊富に販売されています。
物によってタンパク質が10gだったり15gだったりと様々です。
おやつ感覚で間食等に食べることができ、タンパク質量を確保できるので非常に便利な食材だと思います。
また、粉状のプロテインと比較した際、水に溶かしたりする必要がないため、素早くタンパク質を摂取できるのも一つの魅力だと思います。
ダイエット中に食べるプロテインバーは、食物繊維が多いものがオススメだと思います。
食物繊維は消化吸収に時間がかかるので、満腹感を感じやすく食べ過ぎを防ぐことができますね。
また、食物繊維は腸内環境の改善にも効果的です。
さらに、血糖値の急上昇を抑えてくれたり、血中のコレステロール値を下げてくれる効果もあります。
ダイエットを効率的に進めていく上で必要不可欠な栄養素のため、プロテインバーからも摂取できると一石二鳥ですね。
管理栄養士・NSCA-CPT(パーソナルトレーナー) 吉澤 航輔コメント
タンパク質を摂取できるレシピを考えるときに大切なことが2つあります。
1つ目は動物性タンパク質と植物性タンパク質を組み合わせて食べることです。
食材それぞれ含まれているアミノ酸のバランスや、吸収率などがかなり異なります。
いろいろなものから組み合わせて食べることで、偏りなく摂取できるので、かなり大切なことです。2つ目は吸収率を高める栄養素と一緒に食べることです。
例えば炭水化物を一緒に食べることでタンパク質の吸収率を上げることができます。
また、ビタミン類はタンパク質の体内において、代謝に関わる大事な栄養素なので、合わせて摂取できるとベストです。この2点を意識してみましょう!
タンパク質の効果的な摂り方
食事として食べたタンパク質が、すべて体に吸収され使われているわけではありません。
食べ方や食べ合わせなどによって、体への吸収率や体内でのタンパク質の利用率は大きく変わってきます。
では、次にタンパク質の吸収率や体内での利用率を上げるための方法をお伝えしていきます。
①動物性タンパク質と植物性タンパク質を組み合わせてバランスよく食べましょう
肉や魚・卵・乳製品などに含まれるタンパク質は、動物性タンパク質という風に呼ばれています。
動物性タンパク質の吸収率は90%以上だと言われており、とても高いことが特徴です。
また吸収率のみならず、吸収のスピードも速いと言われております。
そのため、運動後の筋肉回復のためにタンパク質を補給する場合は、とても最適です。
豆や大豆製品などに含まれているタンパク質は植物性タンパク質という風に呼ばれております。
植物性タンパク質の吸収率は、動物性のタンパク質よりもやや低く大体70~80%と言われています。
吸収速度も動物性タンパク質と比較すると劣っていますが、豆や大豆製品はカロリーが低く、脂質も控えめなものが多いです。
なので、ダイエット中に摂取する食材としては好ましいですね。
また、植物性タンパク質の含まれる食品にはビタミンや食物繊維などが多く含まれております。
これらの栄養素により、タンパク質吸収を高める働きも期待できます。
それぞれにメリットがあるので、どちらかだけを摂るのではなくまんべんなく摂取できるように心がけましょう。
②こまめにタンパク質を摂りましょう
たまに、1度の食事で1日分くらいのタンパク質を摂る方を見かけますが、あまり効率的ではありません。
タンパク質は1度に吸収される量に限界があります。
なので、1度にたくさん摂っても吸収率に変化はないし、食べたものがすべて体内で利用されるとは限りません。
1度に吸収される限界としては40~50gだと言われています。
1回の食事で1日分のタンパク質を吸収・利用するのは不可能なんです。
1度にそこまでたくさん食べることはなかなかないかと思いますが、吸収率を考慮したうえでこまめな摂取を心がけましょう。
3食できっちり摂りきる必要はありません。
間食も挟みながら、1日の中でまんべんなくタンパク質を食べられるようにしていきましょう。
③吸収率を高める栄養素と一緒に食べましょう
代表的なものが炭水化物です。
炭水化物を摂取すると血糖値が上がります。
血糖値が上がると、それを下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。
この、インスリンが分泌されると、タンパク質の吸収率が上がると言われています。
なのでタンパク質は単体で摂るのではなく、炭水化物つまり主食と一緒に摂るのが理想です。
また、タンパク質の吸収にはビタミンも非常に大切だと言われております。
タンパク質はそのものが体の中に吸収されていくのではなく、消化酵素によって分解されアミノ酸となり体内に吸収されていきます。
様々な消化器官で消化や吸収といった働きが行われますが、その際にビタミンが酵素となって働きます。
例えば、ビタミンB6はタンパク質の代謝において欠かせない栄養素です。タンパク質の分解や合成をサポートする働きがあります。
また、ビタミンB2はタンパク質の分解をサポートします。
さらに、ビタミンCは筋肉や関節の強化に必要な栄養素です。
ビタミンをまんべんなく摂ることで、タンパク質の吸収率アップにつながります。
ぜひこれらの栄養素とタンパク質を合わせて食べてみるように心がけましょう。
まとめ
ここまでタンパク質の魅力についてお話させていただきました。
タンパク質について知ってるようで、意外と知らなかったなという方も多いのではないでしょうか。
管理栄養士の私が思うに、タンパク質はダイエットをするうえでかなりカギになる栄養素かなと思います。
食事誘発性熱産生という言葉があります。
意味としては、食事をした後に代謝量が増大することを指しています。
食事を摂取すると摂った栄養素が分解されて、そのうちのいくらかが体熱として消費されるのです。
これにより食後は、安静にしていても代謝が増えます。
この体熱として消費される分は、栄養素によって異なります。
炭水化物は全体の約6%、脂質が全体の約4%、そしてタンパク質が約30%なんです。
なので、ほかの栄養素と比較すると、タンパク質は摂取したカロリーうち体熱の産生に使われる分がとても多いんです。
これもタンパク質をしっかり摂ると太りにくいと言われている理由の一つかなと思います。
ダイエットを順調に進めていくために必要不可欠な栄養素がタンパク質です。
今回のように、栄養素1つとってもかなり奥が深いです。
もちろん、ほかの栄養素も大切です。
何か一つに偏って食べるのではなく、全てをまんべんなく食べれるのが理想的です。
また、タンパク質だから大丈夫と言って食べ過ぎるともちろん太ります。
いろんな栄養素の適正量や推奨されている量をまずはしっかり把握しましょう。
自分に必要な量を知ったうえで、適量を食べるように心がけていきましょう。
この記事が皆さんのダイエット生活に役に立つことを願っております。
監修者一覧
吉澤 航輔
- 管理栄養士とNSCA-CPT(パーソナルトレーナー)の資格を持つ
- 営業マンとして働きながら、独学でパーソナルトレーナーの資格を取得
- トレーナー×管理栄養士のノウハウを活かし、トレーニング指導や食事指導を行う
- Instagram:https://www.instagram.com/a.kosuke0701/