監修者:ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹波 里奈
「ダイエットしたい!」と強く思っている人は多いはず。
そういった方々は食事制限をしたり、運動をしたりと様々な努力をしていることでしょう。
そんな方々にぜひ注目していただきたいのが「体質改善」です。
体質を変えれば、運動や栄養管理の効果がより出やすくなり、ダイエットを成功させやすくなるかもしれません。
この記事では痩せやすい体質・痩せにくい体質について、体質改善の方法を紹介します。
ぜひ今後のダイエットの参考にしてくださいね!
体質とは?
「体質」とは、身体の状態や機能に関するその時々の性質のこと。
また、生まれながらに持っている身体の性質を指すこともあります。
“生まれながらに”というと「体質改善なんてできるものなの?」と疑問に思う方もいるかと思いますが、答えは「イエス」。
運動や食事、生活習慣等を見直すことで、体質はある程度改善することができます。
そのためにまず大切なのが、自分の体質を知ること。
特に、ダイエットをしている人は、自分が痩せやすい体質なのかそうでないのか、把握するところから始めましょう。
具体的な特徴については次の項目で説明するので、参考にしてください。
痩せやすい体質の特徴
消化がスムーズ
痩せやすい体質の特徴の一つは、消化がスムーズであること。
食べたものうち必要な分だけが吸収され、残りはスムーズに排出される体質の人は余分な脂肪がつきにくいです。
そのため少し食べただけで太ったり、食事を制限しているのに痩せにくかったりすることはあまりありません。
デトックスしやすい
デトックスしやすいというのも、痩せやすい体質の一つです。
体内に毒素や老廃物を溜め込みにくいため、代謝の良い状態が続きます。
不要なものがなければ変にむくんだり身体が冷えたりしないため、見た目もスッキリとして見えることが多いでしょう。
基礎代謝が高い
基礎代謝が高い人は、痩せやすい体質と言えます。
ちなみに「基礎代謝」とは、生命維持活動のために必要とされるエネルギーのこと。
もう少し簡単にまとめると、特別な運動をしなくても消費されるカロリーのことを指します。
つまり、基礎代謝が高ければ高いほどカロリーを消費しやすい体になるということです。
基礎代謝は筋肉量に比例するため、筋肉質の人は痩せやすい体質であるとも言えるでしょう。
エネルギー効率が良い
食事から取り入れた糖質や脂質を、効率よくエネルギーに変えられる人は痩せやすいです。
体に取り込んだ不要な糖質や脂質は脂肪として体に蓄えられてしまいますが、エネルギーとして使えば脂肪になることはありません。
そのため、エネルギーを消費しやすい人は太りにくく痩せやすい体質であると言えるのです。
痩せにくい体質の特徴
便秘気味
便秘気味の人は、ダイエットしにくい体質であると言えます。
というのも、便秘になりやすいということは消化がスムーズでないということ。
体内に不要なものが溜まっている状態が続くためむくみや冷えを引き起こしやすい上、便の分だけ体重が増えます。
さらに、腸内環境が悪い状態が続くと免疫力や代謝がガクンと下がるもの。
運動をしても効果が現れにくい体になってしまうこともあるのです。
汗をかきにくい
汗をかきにくい人というのは、デトックスしにくい体質であるということ。
つまり、不要なものが体内に溜まりやすいので痩せにくい傾向があります。
むくむことによって太って見えたり、水分が抜けにくいことで体重が増えたりすることがあるでしょう。
それによりさらに代謝が悪くなることで、痩せにくいだけでなく肌荒れや倦怠感など様々な不調を引き起こす可能性も高いです。
冷え性
冷え性の人は体温が低いことが多いです。
体温が低いと身体が守りに入るため、勝手に脂肪を蓄えようとすることがあります。
つまり、痩せにくいだけでなくむしろ太りやすいということ。
むくみも発生しやすくなるため、見た目もぷくぷくと膨張して見えがちです。
また、身体が冷えているとエネルギー効率も悪く脂肪も燃えにくいため、痩せようとしてもなかなか痩せることができない可能性も大。
冷え性はダイエットの点滴と言っても過言ではないのです。
筋肉量が少ない
筋肉量が少ない人も、痩せにくい体質である可能性が高いです。
前述の通り、基礎代謝は筋肉量が大きく影響します。
筋肉が少なければ基礎代謝量も少ないため、カロリーを消費しにくい体になってしまうのです。
また、筋肉は血液循環を助ける役割を担っています。
つまり筋肉があれば血行が促進されるため身体が冷えにくいですが、筋肉がないと血行が悪くなりやすいため身体が冷えやすいということ。
それによりむくみや新陳代謝の低下など様々な悪影響が及ぶこともあるでしょう。
好き嫌いが多い
食べ物の好き嫌いが多い人は、痩せにくい体質であることが多いです。
好き嫌いが多いと一見少食で「痩せやすいのでは?」と思うかもしれませんが、普段口にする食べ物には様々な栄養が含まれています。
それらをバランスよく摂ることができないと、代謝が下がったり筋肉が作られにくかったりと様々な悪影響を受けることに。
結果的に痩せにくい体質になってしまう可能性が高いでしょう。
好き嫌いをせず、バランスの良い食事をすることは痩せやすい体質への第一歩と言っても過言ではないのです。
過食・少食になりがち
過食気味の人はダイエットしにくい体質です。
消費カロリー以上に食べてしまうことが多いため、オーバーした分は全て脂肪となって体に蓄えられてしまいます。
反対に、少食気味の人も痩せにくい体質である可能性大。
エネルギーとなるものを控えすぎると身体が飢饉状態であると判断し、脂肪を溜め込もうとしてしまうことがあります。
つまり、食事は食べ過ぎも控え過ぎもNG。
バランスよく適度な量を食べることが、体質改善やダイエットへの近道です。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
「痩せやすい体質」とは、簡単にまとめると「不要なものを溜め込まない」体質のこと。
体に取り込んだもののうち不要なものはスムーズに外へ出し、必要なものは取り込んでエネルギーに変えることができれば、余分な脂肪がつくことはありません。
また、しっかり巡らせることができるため、太りにくいだけでなく、必要以上に痩せたりリバウンドしたりしないのもポイント。
ヘルシーな美ボディを維持することができます。食事制限等による過酷なダイエットは心身ともにボロボロになる可能性が高いため、ダイエットの効果が出にくい方、何から始めたらいいかわからない方は、体質改善に取り組んで健康的な体づくりをはじめましょう。
パターン別の体質改善ダイエット方法
便秘しがちな人
便秘がちな人は、運動習慣を身につけることと食生活の改善に取り組みましょう。
便秘の理由は様々ですが、そのうちの一つと言われているのが運動不足。
腹筋がなくなることで腸が下がり便秘がちになったり、体を動かさなくなることで腸の働きも鈍くなったりすると言われています。
適度な筋トレで腹筋をつけること、そして「体を捻る」「体側を伸ばす」等の動作で腸に刺激を加えましょう。
また、食生活の乱れや栄養バランスの偏りも便秘を招く大きな要因の一つです。
食物繊維や乳酸菌を積極的に取り入れたり、腸内の働きをよくするためにある程度油分を摂取することもおすすめです。
食事の量が少ないと腸の蠕動運動 (ぜんどううんどう)が促されないということもわかっているので、食べる量が極端に少ない人はきちんと食べる習慣も身につけましょう。
冷え性の人
手足がいつも冷たい人など身体が冷えている人は、シンプルに体を温める習慣を身につけましょう。
薄着をしない、冷たい食べ物や飲み物を控える、湯船に浸かる、白湯を飲むなどどんなことでもOKです。
小さなことでも積み重ねていけば、少しずつ体質は改善されます。
また、冷え性の原因の一つと言われているのが血行不良。
そのため、ストレッチや運動等で身体をほぐし、血流を良くするように心がけるのも冷え性改善に効果的です。
股関節周りには太い血管がたくさん集まっているため、股関節を動かすような運動やストレッチを取り入れてみましょう。
汗をかきにくい人
汗をかきにくい人は、身体が冷えている可能性が高いです。
上記の冷え性改善を参考に、体質改善に取り組んでみてください。
とはいえ、どんなに体質が改善されてもじっとしていても汗をかくことはありません。
適度に身体を動かして代謝を高め、汗をかく習慣を意識しましょう。
運動が苦手な方はサウナや岩盤浴で身体を温めつつ、汗をかくのも良いでしょう。
汗をかけばむくみも解消され、スッキリとした印象を作ることもできますよ。
筋肉量が少ない人
筋肉量が少ない人におすすめなのは、筋トレです。
筋トレによって筋肉をつけることで基礎代謝が高まり、脂肪を燃焼しやすい身体をつくることができます。
「筋トレ」というとダンベルやバーベルを使ったハードなトレーニングをイメージする人が多いかもしれませんが、普段運動をしない人は簡単にできる自重トレーニングで十分です。
むしろ、自重トレーニングをすることで体格に見合った筋肉をつけることができます。
筋肉がつけば血流が良くなり、冷えやむくみを解消できるのも大きなメリットの一つ。
ジムに通う、YouTube等の筋トレ動画を参考にするなどして、筋トレにチャレンジしてみましょう。
好き嫌いが多い人
好き嫌いが多い人は栄養が偏っている可能性が高いです。
好き嫌いをせずに満遍なく食べることが理想的ですが、どうしても苦手な食材がある場合やアレルギー等があって食べられない場合は、不足しそうな栄養を他の食材で補いましょう。
栄養バランスを考えて食べることが難しいのであれば、サプリメントに頼るのもおすすめです。
不足している栄養がわかっていればそのサプリメントを、わからなければマルチビタミンなど様々な栄養素をカバーできるサプリメントを取り入れてみてください。
すると栄養バランスが整いやすくなり、体質改善につながるでしょう。
過食・少食になりがちな人
食べ過ぎてしまう人、食べる量が少ない人は、自分の食事の適量を知りましょう。
どのくらい食べるべきかの基準の一つとしておすすめなのが、カロリーです。
年齢にもよりますが男性であれば1日1700〜2000kcalを目安に、女性であれば1日1500〜1800kcalを目安に食べるのがおすすめです。
このカロリーを超えるほど食事は肥満につながりますし、少なすぎると代謝が下がり、糖質も脂肪も燃焼できないからだになります。
とはいえ、急に食べる量を減らしたり増やしたりするのはなかなか難しいもの。
現在食べ過ぎている人は少しずつ食事の量を減らし、反対に食べる量が少ない人は少しずつ食事の量を増やしてみましょう。
すると、体に負担をかけずに少しずつ体質を改善することができるでしょう。
体質改善ダイエットにおすすめの食材
タンパク質を多く含む食材
体質改善をする上で積極的に取り入れたい栄養の一つが「タンパク質」です。
タンパク質は肉や魚、卵、大豆製品等に多く含まれている栄養で、筋肉の成長を助ける役割があります。
そのため、筋肉不足で基礎代謝・新陳代謝が低下している人には特におすすめ。
筋トレを行うようであればトレーニング後30分以内の摂取がおすすめですが、そうでない場合は普段の食事で少しずつ増やすよう心がけましょう。
手軽に取り入れたい人はプロテイン等を利用するのもおすすめです。
基本的には一日「体重×1g」、身体を動かす機会が多い人は「体重×2〜3g」を目標に取り入れる習慣を身につけてください。
身体を温める食材
冷え性体質の方、汗をかきにくい体質の方は、身体を温める食材を積極的に取り入れましょう。
ごぼうや大根などの根菜類には身体を温める効果がある他、次の食材もおすすめです。
- 生姜…血流を高める「ジンゲロール」「ショウガオール」が豊富
- 唐辛子…血流を高める「カプサイシン」が豊富
- ココア…血流を高める「ポリフェノール」が豊富
- 発酵食品…新陳代謝を高める「酵素」が豊富
該当する成分が入っていれば、他の食品から摂取するのもOKです。
例えば「カプサイシン」は唐辛子が使われるカレーやキムチにも含まれます。
キムチは発酵食品でもあるため、酵素も豊富。
また、ポリフェノールはワインやチョコレートにも豊富に含まれているため、全体の栄養バランスに気をつけつつ、好きなものから取り入れましょう。
ちなみに、特に栄養素は含まれていませんが「白湯」も身体を温める効果があると言われています。
「白湯」とは一度沸騰させて50℃程度まで冷ましたお湯のこと。
朝起きてすぐに飲むと体が温まりやすく、腸内環境も整いやすくなるため便秘体質の人はぜひ白湯を飲む習慣を取り入れましょう。
食物繊維が豊富な食材
便秘がちな人におすすめなのが、食物繊維を豊富に含む食材です。
食物繊維は水を含むことでゲル状になり、便の量を増やしてやわらかくするため、スムーズな排便を促すと言われています。
ちなみに食物繊維には水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と水に溶けやすい「水溶性食物繊維」の2種類があり、どちらもバランスよく取り入れるのが重要なポイント。
不溶性食物繊維は根菜や豆類に豊富で、水溶性食物繊維は海藻や果物の皮などに豊富です。
どちらか一方に偏らないよう、意識しながら取り入れましょう。
乳酸菌を含む食材
乳酸菌は美腸作りに効果的です。
乳酸菌を取り入れることで腸内の善玉菌が増え、腸内環境が整いやすくなります。
そのため、便秘体質の方は積極的に取り入れるよう心がけましょう。
ヨーグルトやナチュラルチーズのほか、乳酸菌飲料から手軽に摂取することができます。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
体に良い、体質改善に役立つと言われても「栄養素や食材を選ぶのはめんどくさい!」なんて人は少なくないはず。
そんな方々におすすめなのが、ひとまず炭水化物とタンパク質のバランスに注目することです。
麺類や丼ものなど炭水化物がメインの食事になっていないか、タンパク質は取れているかの2点に注目してみてください。
炭水化物がメインになっているようであれば野菜のおかずを一品プラスする、タンパク質がなければ肉や魚のおかずを一品プラスすることを心がけましょう。
それだけでもだいぶ食事のバランスが整い、栄養を満遍なく摂ることができるようになります。
そしてそのうちに、栄養素や食材にも気を配れるようになるはずですよ。
体質改善といえば漢方?
「体質改善」というと、サプリメントや漢方をイメージする人も多いはず。
サプリメントについては「パターン別の体質改善ダイエット方法」の項目でも少し触れましたが、どちらかといえば体質改善よりも不足しがちな栄養を補うために活躍します。
反対に、漢方は遺伝子発現に影響するため体質改善に効果的です。
体質に合わせた漢方薬を取り入れることで、改善したい症状や体質を改善することができます。
漢方薬局や病院で処方してもらうことができるため、興味がある方は以下の漢方を参考にしてみてください。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
「当帰芍薬散」は身体を温め、体の水分をコントロールする効果がある漢方薬。
冷え性体質の方やむくみやすい体質の方におすすめです。
附子理中湯(ぶしりちゅうとう)
「附子理中湯」は身体を芯から温める効果がある漢方薬です。
運動をしたりストレッチをしたりしてもなかなか冷え性が緩和されない人におすすめです。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
「桂枝茯苓丸」は血液循環を良くする漢方薬。
汗をかきにくい、むくみやすい、冷えやすいなど代謝が悪い人におすすめです。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
昼食や夕食時をガッツリ食べてしまう人など、過食気味の方におすすめ漢方といえば「防風通聖散」です。
体内に溜まった余分な老廃物を排泄してくれるため、便秘体質の方にも良いでしょう。
麻子仁丸(ましにんがん)
便秘の中でも便が硬い人は「麻子仁丸」という漢方薬がおすすめです。
腸を潤すことで便の排泄を助けるため、無理なく便秘体質を改善することができます。
ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈コメント
漢方はサプリメントととはやや異なるため、体質改善には非常に役立ちます。
とはいえ、コスト面や手に入れるまでの手間を考えるとハードルが高く感じる人もいるでしょう。
そのためまずは運動や食事など、気軽に取り組めるところから実践するのがおすすめです。
それだけでも、生活習慣が乱れがちな人や健康を特に意識していなかった人などは効果を実感しやすいでしょう。
また、漢方は体質や症状に合うものを使わないと効果を感じにくいことがあります。
「便秘」といっても原因や細かい症状は様々なので、手に入れる時は必ず専門家に相談しましょう。
薬局などで手軽に手に入れるよりも、より効果的に体質を改善することができますよ。
まとめ
ダイエット中の方、「痩せにくい体質」の項目に当てはまる症状や悩みはありませんでしたか?
心当たりがあった人は、ぜひパターン別の改善方法を参考に体質改善に取り組んでみてください。
すると、ダイエットがよりスムーズになるはず。
くれぐれも痩せないからといって無理な食事制限をしたりハードすぎる運動を取り入れたりしないよう気をつけてくださいね。
自分の体質を理解し、良い方に改善することで健康的にダイエットを成功させましょう!
監修者プロフィール
★ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー 丹羽里奈
- フィットネス指導歴12年
- RYT200、RPYT85(マタニティヨガの資格)取得。
- レイキセラピスト取得
- 学生時代、4年間インストラクターとして活動。
- 現在は、ヨガインストラクターとしての活動以外にパーソナルトレーナーとしても活動。