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投稿日:2024年7月26日 | 更新日:2024年08月05日
「統計分析ってなんだか難しそう…」
「統計分析の種類や学ぶメリットを知りたい」
「統計分析」という言葉を耳にすると、専門的なイメージがあり学ぶのに苦労しそうなイメージがありますよね。
確かにデータ解析を中心とするため専門性が高く種類も豊富なので、初めは理解するのに時間がかかるかもしれません。
しかし、気づけなかった課題点に気づけたり、新たなビジネスチャンスを発見できたりする無限の可能性を秘めています。
本記事では、統計分析の概要や種類、メリット、おすすめツールなどを解説します。
統計分析の基礎を学びたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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統計分析とは?
統計分析とは、統計学で使用される理論を基に対象のデータを分析・検証することです。
ITの発展により膨大な量のデータにアクセスし、さまざまな情報を取得できるようになりました。
しかし一方で、自身が潜在的に求めているデータにアクセスできず、本質的な課題を発見できないことが問題視されています。
そこで統計分析を活用すると、一見なんの関連性がなさそうな物事から共通点を発見でき、課題の解決策を導き出すことが可能です。
膨大な量のデータにアクセスできる現代において、それらのデータをまとめ上げ、共通性を発見する統計分析は真価を発揮します。
統計分析の種類は?
ここでは、具体的に統計分析の種類を紹介します。
上記のいずれもデータ解析の基本的な手法なので、初学者の方は1つずつゆっくり確認していきましょう。
分散分析
分散分析とは、得られたデータの平均値が統計学的に意味のある差なのか、それとも誤差なのかを測る解析手法です。
具体的なイメージを持てるよう、事例を基に解説します。
【分散分析の例】 目的:中学3年生が受ける定期テスト(英語)の点数を伸ばす授業方法を見つけたい 手段:以下3つの授業を受けた生徒の点数を測る 1.一斉授業 2.個別授業 3.オンライン授業 |
上記の授業を受けた生徒のテストの点数は、次のような結果となりました。
クラス(40人) | 3年1組 | 3年2組 | 3年3組 |
授業方法 | 一斉指導 | 個別授業 | オンライン授業 |
点数(平均点) | 50点 | 57点 | 45点 |
この結果を見ると、2組>1組>3組となり、個別授業>一斉指導>オンライン授業の順で点数が高いです。
分散分析で重要なのは、この結果が偶然なのか必然なのかを判断することです。
3年2組の生徒は元々英語が得意な生徒が多く、塾に通っていた割合が高い可能性もあります。
一方で、3年3組の生徒は英語が苦手な生徒が多い可能性も否定できません。
しかし、40人の平均点で個別授業とオンライン授業の間で12点もの差があれば、「授業形式によって点数の差が開いた」と捉えることもできます。
分散ではこのようにして、データの平均値が意味のあるものなのかを客観的に判断・証明できます。
因子分析
因子分析とは、データが持つ複数の要素に共通する部分を探索する分析手法です。
こちらも具体例を用いつつ、解説していきます。
【因子分析の例】 テーマ:短距離走・野球・卓球に関する共通因子を探りたい 手段:5人にアンケートを取る |
条件は以下の通りです。
質問者 | A | B | C | D | E |
---|---|---|---|---|---|
条件1 (50m走) | 8秒 | 7秒 | 7.5秒 | 6.4秒 | 9秒 |
条件2 (野球の評価) | 5/10 | 7/10 | 8/10 | 9/10 | 7/10 |
条件3 (卓球の評価) | 8/10 | 5/10 | 4/10 | 7/10 | 4/10 |
上記のデータを参考にすると、「50m走が得意な人野球も卓球も上手で、苦手な人はどちらも苦手な傾向がある」と分析できます。
もう少し深く考えてみると、50m走は生まれ持った要素が大きく関わります。
50mのタイムによって差が出るということは、「スポーツは遺伝によるものが大きく関係している」という共通因子を新たに発見することができました。
このようにして、データ上に隠れた要素を探るのが因子分析です。
多次元分析
多次元分析とは、特定の結果を複数の視点から分析し、その結果に至った要因を細分化して仮説・検証を行う分析手法です。
細分化して仮説・検証を行うことで、特定の結果に至った直接的な要因を掴みやすくなるメリットがあります。
こちらも、事例を基に解説していきます。
【多次元分析の例】 目的:国語の点数が40点→80点にアップした要因を知りたい 手段:「勉強量」「勉強の質」「友達付き合い」の3つの視点から分析する |
3つの視点 | 勉強量 | 勉強の質 | 友達付き合い |
---|---|---|---|
前回のテスト(40点) | テスト前日に 徹夜で8時間 | 教科書の内容を ひたすら音読した | 点数が低い 友達中心 |
今回のテスト(80点) | テスト2週間前から 毎日6時間 | テスト範囲をベースに、授業で出ると 言われた部分を 重点的に勉強した | 点数が高い 友達中心 |
上記の表を見ると、勉強量、勉強の質、友達付き合いの全てにおいてテストの点数が向上する要因となっているように感じますね。
しかし実際は、勉強量と勉強の質はともかく、友達付き合いはテストの点数に関係ない可能性もあるでしょう。
このような場合、勉強量と勉強の質は同じままで、友達付き合いだけを変化させてみるといった方法で細分化して分析するのが多次元分析です。
今回は分かりやすいように簡単な事例で解説していますが、ビジネスシーンで使用する際はより深い分析が必要となります。
統計分析を行うメリットは?
統計分析を行うメリットは、以下の5つです。
それぞれの内容を確認していきましょう。
客観的事実に基づいた現状分析・将来予測が可能となる
ビジネスシーンでは、市場全体の動向や売上推移などの予測は必要不可欠です。
しかし、将来予測はおろか、現状を正しく分析して改善点を導き出すことすら簡単ではありません。
正しい分析によって改善部分を発見したと考えていても、実際は間違っているケースも少なくないためです。
そこで統計分析を行うと、データの因果関係や相関関係を基に、これまで不確実性の高かった情報の精度を高めて抽出できます。
正しい理論をベースにした分析によって、商品のシェア拡大やリピーターの確保など、利益の拡大かつ安定的な利益向上に繋がる施策の立案が可能となります。
もちろん、データ解析によって導き出された内容の精度は完璧ではありませんが、企業の成長には大きく役立つ技術と言えるでしょう。
新たなビジネスチャンスを見つけるカギとなる
これまで企業が新たなビジネス案を考え、実行する際は長年の経験や勘に頼るケースが一般的でした。
もちろん現在でも、社長の長年の経験や勘に頼らなければならない状況も多く、実際に新たなビジネスチャンスを掴むきっかけとなった場合も多いでしょう。
しかし、統計分析を活用することによって、一見関連性のなさそうなデータ同士の関連性を発見できるため、誰も考え付かなかったようなビジネスチャンスを見つけられる可能性があります。
長年の経験・勘を頼りにしつつ、統計分析でデータ同士の因果関係・相関関係を見つけることができれば、精度はより高まることでしょう。
統計データによりスピーディーな意思決定が可能となる
時にビジネスシーンでは、一刻を争うスピーディーな意思決定が求められるケースがあります。
この場合、最短で正しい選択を求められるケースが多いものの、話し合う人数が増えれば増えるほど意見のすり合わせに時間がかかってしまい、意思決定が遅くなる傾向にあります。
課題の分析と同じように意思決定も、個人の経験や勘に依存しやすいプロセスなので、それぞれの主観が入り混じり、スムーズに課題解決へ向かわないリスクが高いです。
そこで統計分析を活用すると、課題に対して客観的かつ信頼度の高いデータを提供できるため、スピーディーな意思決定が可能となります。
物事に対する問題解決能力が高まる
統計分析を行うと、物事に対する問題解決能力が高まります。
統計分析を行うと、「客観的事実を導き出せる」「物事の意外な関連性に気づける」といった2つのメリット以外にも、自身の能力向上にも期待できます。
データ解析では膨大な量のデータを解析するため、たくさんの種類のデータに触れる機会が多いです。
種類の多いデータに一定期間触れ続けていると、少しずつではありますが直感的に事実を導き出せるようになるので、物事に対する問題解決能力が高まります。
もちろんデータ解析を行った場合に比べて正確性は落ちますが、根拠のない経験や勘に頼るより、統計分析によって得た経験や勘に頼る方が正確性は高いと言えるでしょう。
プレゼンテーション能力が向上する
不特定多数のデータを基にした統計分析を行うと、プレゼンテーション能力が向上します。
プレゼンテーションの際には、「説得力のある話し方」「難しい内容をかみ砕いて説明する会話力」「確かな情報を基に説明する情報力」などが重要です。
場合によっては、プレゼンターが顧客から信頼されていない状況下でプレゼンテーションを行わなければならない場面もあります。
そこで統計分析を行うと、難解な内容をかみ砕きつつ、統計学によって証明されている確かな情報を基にプレゼンテーションできるようになるため、顧客からの信頼を獲得できます。
客観的に事実に基づいて話すことは確かな自信につながり、説得力のあるプレゼンテーションを行えるので、統計分析を活かしたプレゼンテーションは効果的です。
統計分析に役立つおすすめツール3選
統計分析を行う際は、以下3つのツールを利用しましょう。
Microsoft Excel
Microsoft Excelは、世界中の企業で活躍している分析ツールの1つです。
知っている方はそう多くありませんが、Excelには統計分析用の拡張があるので、関数やプログラミング知識のが浅い場合でも簡単に分析を行えます。
基本的にExcelは少量のデータ解析に向いているアプリなので、大量のデータ解析にはあまり適していないというデメリットがあります。
統計分析ツールは有名なものが少ないので、基本操作が記載されているような参考本や解析サイトは少ないです。
一方、Excelに関する本や解析サイトも多く存在しているため、「操作方法が分からない」といった問題に直面しても解決しやすいメリットがあります。
統計分析初心者の方はExcelが大きく役立つでしょう。
JASP
JASPは、Mac、Windows、Linxsと複数のOSに対応している、アムステルダム大学心理学部が開発を進めている統計分析ソフトです。
画像や図形を多用し、マウス・タッチスクリーンで直感的に操作できるようにしたグラフィカルユーザーインターフェースを採用しているため、使いやすいという長所があります。
海外で開発されたソフトなので基本的には英語表記ですが、日本語による解説サイトや書籍も種類豊富に登場しているので、解析に慣れていない初心者の方でも活用しやすいです。
統計分析フリーソフト「R」
統計分析フリーソフト「R」は、統計分析において代表的なフリーソフトです。
Rはその名の通り、データ解析に特化したプログラミング言語の一つである「R言語」をベースに使用します。
回帰分析や主成分分析などをはじめ、簡単な計算から難しい解析まで一括して可能です。
Rは有名なソフトで解説されている本が多いため、試行錯誤しながら解析を進めていきたい方にもおすすめします。
まとめ
本記事では、統計分析の基本概要から種類、統計分析を行うメリット、統計分析に役立つツールをまとめて解説しました。
一般的に統計分析は「複雑すぎる」「データ上の事実は実践で活用できない」などと言われることが多いです。
確かに統計分析は種類も多いですし、経営者の勘や経験がデータ上の理論を上回るケースもあります。
しかし、どんなことが解析できるかを知り、解析回数を増やせば理解不能なほど難解というわけではありません。
また、統計分析では、数多くの顧客から直接集めたデータを解析するケースも多いため、データ上の事実が直接ビジネスに活用できる場面は多いです。
数多くある統計分析の種類や手法を学び、実生活やビジネスシーンで問題に直面した際の解決のヒントとして活用しましょう。
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