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投稿日:2023年3月15日 | 更新日:2023年12月08日
「公務員は試験免除で行政書士になれる」と言われることがありますが、
特認制度を用いることで試験を受けることなく行政書士の資格を得られます。
また、特認制度を利用せず試験を受験する場合も、公務員は有利です。
こちらの記事では、公務員が行政書士になる特認制度の内容や、
資格を得るメリットなどを解説していきます。
公務員経験があれば試験を受けずに行政書士になれる?
行政書士には、一定の公務員経験があれば試験を受験せずに資格を得られる「特認制度」があります。
行政書士法第2条には、行政書士の資格を得ることができる者として下記が挙げられています。
- 行政書士試験に合格した者
- 弁護士、弁理士、公認会計士、税理士のいずれかの資格を有する者
- 国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間、あるいは行政法人または特定地方独立行政法人の役員または職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して17年以上(中卒の場合は20年以上)の者
つまり、中卒の人は20年以上の公務員経験、中卒以外の人は17年以上の公務員経験があれば、
特認制度により試験免除で行政書士の資格を得ることが可能です。
実際に、特認制度の試験免除の恩恵を受けて行政書士になる人は多いです。
行政書士試験を受験するときも公務員経験者は有利
「17年(20年)も待っていられない」という人は、
特認制度の年数をクリアする前に行政書士試験に合格するのが手っ取り早い方法です。
公務員試験の専門試験の問題を勉強した人は、民法や行政法を学んでいます。
いずれも行政書士試験を受ける上で重要な科目なので、
民法や行政法などの勉強経験があるという点は大きな強みになります。
また、行政書士試験では地方自治法も出題されます。
地方公務員として在職中の人は日頃から地方自治法に親しんでいるため、かなり有利と言えるでしょう。
公務員が試験を免除される理由は?
公務員が行政書士試験を免除される理由は、「公務員は行政書士の実務に近い業務を行っているから」です。
行政書士は、官公署へ提出する書類の作成や手続代行、相談業務などを行います。
公務員は官公署に勤務して、書類の受理や修正依頼、相談に応じる業務を行っていることから、
行政書士の業務と非常に似通っています。
公務員としての実務経験が豊富にある人は「行政書士として働くために必要な知識を有している」
とみなされ、試験を免除されているのです。
元公務員の行政書士は多い
公務員を定年退職後に行政書士として働く人は多いです。
公務員を定年まで勤めれば、特認制度による行政書士の資格取得ができるケースが多く、
「公務員経験を活かして社会参加したい」と考えている人と好相性と言えるでしょう。
また、定年前に公務員を辞めて行政書士として独立開業する人も多く、公務員経験者は行政書士として活躍しやすいことがわかります。
公務員と行政書士の仕事は共通する部分も多いことから、公務員経験者が行政書士資格を取得するメリットは多いです。
公務員が行政書士資格を得るメリットは?
公務員が行政書士資格を取得するメリットは多くあります。
単に「価値のある資格を取得する」という点以外にも、自分の人材価値を向上できるなどのメリットが期待できます。
以下で、公務員が行政書士資格を取得するメリットを解説するので参考にしてみてください。
1 独立開業の可能性が生まれる
2 転職で役立つ
3 公務員と行政書士は仕事の親和性が高く仕事の質が上がる
4 在職中に勉強をすると知識が整理できる
5 「合格」という結果を出すことで自信が持てる
1独立開業の可能性が生まれる
行政書士は開業向けの資格なので、資格を取得できれば独立開業するという選択肢が生まれます。
公務員の給料は安定しているメリットがありますが、法令に基づいて決まるため大きく伸びることはありません。
頑張って公務に励んでも、パフォーマンス以上の給料がもらえる可能性は非常に低いことから、
公務員として働くモチベーションを失ってしまうこともあるでしょう。
しかし、独立開業すれば自分の頑張りが収入に直結するため、稼げる金額は青天井で伸びます。
また、独立開業して自分が経営者になれば、働き方や働く時間を自分の裁量で決められるため、公務員とは違って自由に働くことが可能です。
公務員経験者はスムーズに行政書士の実務に着手できる強みがある事を考えると、
行政書士資格を取得して働き方の選択肢を増やすことは非常に有意義です。
2転職で役立つ
行政書士法人や一般企業の法務で働くことを目指す場合、行政書士資格を保有している公務員経験者は非常に有利です。
目指している業種や職種にマッチした高難易度資格を持っていると、就職活動がスムーズに進みます。
そもそも、行政書士は難易度が高い資格なので、一定のネームバリューがあります。
行政書士は誰でも簡単に取れる資格ではないため、「難関資格を保有している」という事実に加えて、努力を継続できる人柄や地頭の良さもアピールできるでしょう。
3公務員と行政書士は仕事の親和性が高く仕事の質が上がる
公務員と行政書士の仕事は、非常に似通っており親和性が高いです。
公務員は「書類を受理する側」、行政書士は「書類を提出する側」ですが、取り扱う書類の種類は共通しています。
独立開業する気は無くても、行政書士資格を取得することで、自身の仕事の質を高めることができるでしょう。
仕事の質が上がれば、頼られる場面が増えて評価も高まるなど、キャリアアップにつながりやすくなります。
専門性を高めれば、公務員を辞めた後も行政書士として開業したときに自分の強みを活かしやすくなるため、キャリアの幅を広げることができるでしょう。
4在職中に勉強をすると知識が整理できる
公務員試験の勉強をしても、時間が経つと内容を忘れてしまうものです。
受験に臨むときは意識していない人が多いですが、専門試験で学ぶ民法や行政法の知識は、
公務員の実務で使う場面が多くあります。
実際に実務経験を積んだ上で改めて民法など法律の勉強をすると、理解するスピードが格段に速くなります。
「実務をする上で裏付けとなる知識」がスムーズに習得できれば、仕事も早くこなせるようになり、無駄な残業が減るメリットも期待できるでしょう。
5「合格」という結果を出すことで自信が持てる
行政書士試験は合格率10~15%程度と難易度が高いです。
難易度が高い試験に合格することで、自信を持つことができ自己肯定感を高められるメリットが期待できます。
人によっては、行政書士資格の取得をきっかけにして、さらにハイレベルな司法書士試験の合格を目指すモチベーションを持つでしょう。
自信を得ることは、仕事のパフォーマンスが高まる上に、さらにスキルアップを目指す強力なエンジンになります。
自分の得意な分野が見つかり専門性を磨くきっかけにもなるため、人的資本を高められるでしょう。
公務員経験者は行政書士の仕事がしやすい理由
公務員と行政書士は親和性が高いため、行政書士として働く際には多くのメリットがあります。
公務員経験が無い行政書士よりもスムーズに仕事をこなせるため、公務員経験は大きな強みです。
以下で、公務員経験者が行政書士の仕事がしやすい理由を解説していきます。
普段「書類申請を受け付ける側」にいる
公務員は、申請書類を受け付ける業務を行っています。
書類の種類や書き方、申請の流れなどを熟知しているため、申請する側に回っても公務員経験が役立つ場面は多いでしょう。
実際に書類受け付け、審査手続きを行う経験があるのは公務員ならではの強みです。
書類の作成に慣れている
公務員として働いていると、自然と書類の書き方や手続きの流れに精通できます。
官公署に提出する書類は、初めて書く人からすると「よくわからない」というものが多いです。
しかし、公務員経験があれば多くの書類をスムーズに作成・申請できるため、行政書士としての仕事をスムーズにこなすことができるでしょう。
公務員経験が無い行政書士が仕事を請け負ったとき、書類の申請の仕方や手続きの流れを調べるときに手間取ってしまうものです。
公務員経験がある行政書士はスムーズに案件をこなせるため、クライアントから信頼を得やすい強みがあります。
窓口が混む時期や時間を把握している
官公署には繁忙期と閑散期があり、また空いている時間と混む時間に差があります。
公務員経験者は、窓口が混みやすい時期や時間を把握しているため、余計な待ち時間を過ごすことなく案件をこなすことができるでしょう。
待ち時間は無駄な時間に他ならず、待ち時間を最小限にできれば多くの何件を受注でき、安定した収入を稼ぐことにつながります。
官公署のリアルな状況に精通している点も、公務員経験者の大きな強みと言えるでしょう。
公務員が行政書士になるときの注意点
公務員と行政書士は非常に相性が良いですが、注意点も存在します。
以下で、公務員が行政書士になるときの注意点を解説していくので、参考にしてみてください。
公務員=全員が行政書士試験免除ではない
在職中の全公務員が、特認制度をして利用して行政書士になれるわけではありません。
行政書士試験が免除されるためには、17年以上(中卒の人は20年以上)の公務員経験が必要となります。
公務員になって間もない人や20~30代のうちに行政書士になりたい人は、特認制度を年数をクリアする前に、行政書士試験に合格しなければならない点には注意しましょう。
もし特認制度を利用して行政書士になる場合、40代以降になるまで待たなければなりません。
できるだけ早く行政書士として働く希望を持っている場合は、特認制度が利用できるのを待つのではなく、行政書士試験に合格することをおすすめします。
副業・兼業はできない
公務員は、原則として在職中の副業や兼業が禁止されています。
公務員在職中に、行政書士として報酬を得ることは規定違反です。
行政書士として登録するだけで兼業禁止の規定に抵触してしまうため、在職中は行政書士登録もできません。
許可を得れば副業や兼業は可能ですが、行政書士事務所を構えた自営に許可が下りるとは限りません。
基本的に「公務員をしながら行政書士事務所を開業する」ことはできないため、公務員を辞める意思がない人にとって行政書士は使いづらい資格と感じる可能性があります。
もし行政書士として働くことを希望している場合、公務員を退職した上で行政書士登録を行う必要があります。
登録費用がかかる
公務員を辞めて行政書士の登録を行う場合、様々な費用が必要になります。
行政書士登録にあたって必要となる費用は各都道府県の行政書士会によって差がありますが、東京都行政書士会の場合は下記のとおりです。
- 入会金225,000円
- 登録手数料25,000円
- 登録免許税30,000円
合計で30万円近い初期費用が発生し、また登録後の月会費として東京都の場合は月6,000円を支払う必要があります。
このように、行政書士の開業にあたって、決して安くはない費用負担が発生する点には注意しましょう。
事務所要件を満たす必要がある
開業登録する場合は、個人情報を守る目的などから「事務所要件」を満たす必要があります。
例えば、東京都行政書士会で設けられている事務所要件は下記のとおりです。
<構造等>
- 事務所の設置にあたっては、業務取扱上の秘密を保持しうるよう明確な区分を設けるとともに、他人が容易に侵入できない構造でなければならない
- 事務所の管理に責任を持ち、正常な利用、運営を図らなければならない
- 事務所は、不特定多数人に認識され、その依頼に応じられるよう適当な場所に設置しなければならない。なお、変更登録申請の場合は、行政書士事務所であることを明らかにした表札を掲示していなければならない
- 事務所の防火及び消火の設備を確保するよう努めなければならない
- 事務所の内外装は、品位を保持しうるよう配慮しなければならない
<設備>
事務所の設備は、概ね次のとおりとする。
- 事務スペース及び接客スペースがあること
- 照明、電源設備、通信回線設備
- 事務用机・椅子
- 書類等保管庫(容易に移動できないもの、鍵がかかるもの)
- 電話
- プリンター・FAX・コピー機
- パソコン等
- 用紙、事務用品等収納庫又は収納棚
- 業務用図書及び図書棚
かなり細かく要件が設けられていることがわかります。
登録費用に加えて、事務所要件をクリアするための支出やテナント代も必要となることから、行政書士としての開業にはかなりのコストと手間が発生する点に注意しましょう。
公務員と行政書士の関係まとめ
公務員は一定の経験を積めば、特認制度を利用して受験せずに行政書士資格を得ることができます。
公務員経験者は官公署の内情や申請書類の書き方に精通しているので、スムーズに行政書士として働ける強みがあります。
また、行政書士試験に合格できれば独立開業や転職という選択肢が生まれるほか、自分に自信が持てるメリットも期待できるでしょう。
公務員と行政書士は非常に親和性が高く、公務員を辞めた後も安定して稼げる可能性がります。
公務員として在職中の方は、特認制度の利用や試験の受験を通じて行政書士を目指してみてはいかがでしょうか。
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