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社会福祉士と精神保健福祉士の違いと試験・資格取得について解説

社会福祉士

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投稿日:2023年6月1日 | 更新日:2024年04月05日

社会福祉士精神保健福祉士福祉系の国家資格です。

どちらもソーシャルワークを行うソーシャルワーカーの資格ですが、社会福祉士と精神保健福祉士にはどのような違いがあるのでしょうか。

資格の取得方法資格取得後の就職先についても解説します。

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社会福祉士と精神保健福祉士の業務内容の違い

ソーシャルワーカーの社会福祉士

社会福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」という、1987年につくられた法律に規定されている国家資格です。

社会福祉士の名称を用いて、専門的知識やスキルで主に環境上の理由によって日常生活を営むのに支障がある方の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、関係機関/関係者との連絡や調整、その他援助を行ったりすることを業務とする名称独占の国家資格です。

社会福祉士の登録者数は、令和5年2月末現在、全国で271,263人です。

社会福祉士のキャリアアップとして、認定社会福祉士認証・認定機構が認定する、「認定社会福祉士」「認定上級社会福祉士」という資格もあります。

これは、高度な知識と卓越した技術で、個別支援や他職種との連携、地域福祉の増進を行う能力を有する社会福祉士として認定を受けるものです。

社会福祉士の方が、後述する精神保健福祉士よりも支援対象者が幅広いため、さまざまな方への支援ができます。

精神障害者支援のエキスパートの精神保健福祉士

精神保健福祉士は、「精神保健福祉士法」という、1997年につくられた法律に規定されている国家資格です。

精神障害者の退院後の支援、精神障害者の雇用の義務化、アルコール健康障害対策基本法の施行等による専門人材の必要性が背景にあります。

精神保健福祉士の名称を用いて、専門的知識やスキルで、精神科病院などの医療機関において精神障害の治療を受けている方社会復帰に関する相談など通して、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練、その他の援助を行うことを業務とする、名称独占の国家資格です。

PSW(Psychiatric Social Worker)と称されることもあります。

精神保健福祉士の登録者数は、令和5年2月末現在、全国で98,993人です。[健悦7] 

日本精神保健福祉士協会が認定する、「研修認定精神保健福祉士」「認定精神保健福祉士」へのキャリアアップも目指せます。

精神障害者支援に特化した資格ですので、精神障害者をサポートする業務に就きたい方には、おすすめの資格といえます。

支援対象者の違いは?

社会福祉士の支援対象者

・心身に障害のある方生活に困窮している方

・高齢者で何らかのサービスを必要としている方

・ひとり親家庭で支援を必要とする方

・虐待など支援を必要とする児童

などになります。

対して精神保健福祉士が支援する対象者は、

・うつ病

・統合失調症

・発達障害

・認知症

など精神上の障害で支援を必要としている方です。

ソーシャルワーカーとして、社会福祉士と業務内容が重なる部分が多く、業務内容の違いというよりも支援対象者に違いがあるといえます。

社会福祉士と精神保健福祉士の資格取得を目指す

ソーシャルワーカーの「社会福祉士」精神障害者支援のエキスパート「精神保健福祉士」

基本情報

どちらの資格も国家資格ですので、国家試験を受験しなければなりません。

社会福祉士

福祉系の大学で4年間履修した方や一定の実務経験(相談援助実務)に加えて養成施設で履修をした方などが受験できます。全部で12の資格取得ルートがあります。

精神保健福祉士

保健福祉系大学で4年間履修した方や一定の実務経験(相談援助実務)に加えて養成施設で履修をした方などが受験できます。全部で11の資格取得ルートがあります。

どちらの資格も、4年以上の相談援助の実務経験があれば、一般養成施設の通信講座などで受験資格を取得できますので、高卒でも目指せる資格です。

社会人で働きながら受験資格を取得する場合、大学や養成施設の通信講座や夜間通学を利用する方法もあります。

試験内容

社会福祉士国家試験

総得点の60%程度が合格の目安です。

問題数は150問ですので、90点程度の得点が必要になります。

試験終了後に、試験問題の難易度により合格基準点が補正されます。

合格基準点以上の得点獲得のほかに、18科目群すべてで0点科目がないことが合格の条件です。

精神保健福祉士国家試験

総得点の60%程度が合格の目安です。

問題数は163問ですので、98点程度の得点が必要です。

試験終了後に、試験問題の難易度により合格基準点が補正されます。

合格基準点以上の総得点に加えて、16科目群すべてで0点科目がないことも条件です。

受験費用

社会福祉士国家試験(第35回)の場合、19,370円、共通科目免除の場合、16,230円です。

精神保健福祉士国家試験(第25回)の場合、24,140円、共通科目免除の場合、18,820円です。

試験名通常料金共通科目免除の場合の料金
社会福祉士国家試験19,370円16,230円
精神保健福祉士国家試験24,140円18,820円

詳しくは、両資格の試験実施団体である「社会福祉振興・試験センター 」のホームページ等で確認されることをおすすめします。

なお、社会福祉士、精神保健福祉士とも、国家試験に合格した後、社会福祉振興・試験センターで登録の手続きをする必要があります。

国家試験に合格しただけでは、「社会福祉士」、「精神保健福祉士」を名乗ることはできませんので、忘れずに資格登録の申請をしましょう。

登録後、登録証が発行されます。就職の際に原本提示や写しの提出を求められることがあります。

社会福祉士と精神保健福祉士の同時受験も可能

社会福祉士精神保健福祉両方の受験資格のある方は、同時に受験することもできます

これから受験資格を取得しようとお考えの方は、両方の受験資格を取得できる通信制大学などへの入学を考えてもよいでしょう。

受験資格を取得できる大学や養成施設は、社会福祉振興・試験センターのホームページでも確認できます。

短期間で両方の資格を取得できるのは魅力ですが、試験科目が多く、難易度が高くなります。

どちらかの資格を取得すれば、次の受験時には共通科目が免除されますので、受験資格だけ同時に取得しておいて、それぞれ別な年に受験する方が現実的かもしれません。

社会福祉士国家試験の合格率は、例年30%前後精神保健福祉士国家試験の合格率は65%前後ですので、合格率の高い精神保健福祉士の国家試験を先に受験するという方法もあります。

両方の受験資格を取得できる通信制大学への入学でなく、養成施設等への入学で受験資格を取得する場合には注意する点があります。

社会福祉士を先に取得した場合、精神保健福祉士の短期養成施設等で6ヵ月以上履修すれば受験資格を取得できますが、精神保健福祉士を先に取得した場合には、社会福祉士の短期養成施設等での履修による受験資格取得ができないことです。

一般養成施設等への入学になると、その分費用も高くなります。短期間での取得や費用をあまりかけずに資格取得を目指す場合には、社会福祉士から取得した方がよいでしょう。

また、社会福祉士国家試験(第35回)と精神保健福祉士国家試験(第25回)の同時受験の場合の受験料は、36,360円です。

社会福祉士と精神保健福祉士のダブルライセンスのメリットは?

共通科目が受験免除になる

社会福祉士の試験科目は、11科目の共通科目8科目の専門科目合計19科目(18科目群)、精神保健福祉士は、11科目の共通科目6科目の専門科目合計17科目(16科目群)です。

社会福祉士又は精神保健福祉士のどちらかの資格をもっている方が受験する場合、受験申込み時の申請により11科目の共通科目が免除されます。

就職や転職に有利

社会福祉士の方が支援対象が広いため、医療機関や地域包括支援センター、社会福祉協議会、児童相談所・保健所・福祉事務所などの行政機関、社会福祉施設、学校など、資格を活かせる職場は数多くあります。

また、社会福祉士が任用要件として定められている職種も多くあります。

保護観察所の「社会復帰調整官」、病院・診療所の「退院後生活環境相談員」、ひきこもり地域支援センターの「ひきこもり支援コーディネーター」、地域生活定着支援センターの「担当職員」などです。

相談援助職員に占める社会福祉士の割合は、近年増加傾向になります。 

障害福祉サービス等報酬では「福祉専門職員配置等加算」の対象になるほか、診療報酬では「退院調整加算」「介護支援連携指導料」「退院時リハビリテーション指導料」などが請求対象になりますので、社会福祉士配置による評価があります(それぞれ所定の算定要件があります)。 

なかには、独立型社会福祉士事務所として開業している方もいます。

独立型社会福祉士事務所とは、独立した立場でソーシャルワークを実践する方で、十分な研修と経験によって培われた、高い専門性をもっている、日本社会福祉士会から認定された社会福祉士です。

あらかじめ利用者と契約を締結し、提供する相談援助の対価として直接的に、または第三者から報酬を受ける社会福祉士のことです。

日本社会福祉士会の独立型社会福祉士事務所の名簿に搭載されます。 

精神保健福祉士は、病院、一般診療所、障害福祉サービス事業所、障害者支援施設、精神保健福祉センター、保健所、市町村、保護観察所(社会復帰調整官)などに配置されています。 

障害福祉サービス等報酬では「福祉専門職員配置等加算」の対象になるほか、診療医報酬では「措置入院後継続支援加算」、「療養生活環境整備指導加算」、「療養生活継続支援加算」などにより評価されます(それぞれ所定の算定要件があります)。 

また、どちらの資格でも求人に応募できる場合もありますが、精神科病院など、精神保健福祉士限定の募集もあります。

近年、メンタルヘルスがクローズアップされ、企業においても精神的不調を抱える社員に対する支援として、精神保健福祉士を採用するようになってきています。

社会福祉士や精神保健福祉士の資格を条件にしている求人の中には、実務経験や学歴、年齢不問にしている求人もあります。

国家資格ですので、資格手当を支給する企業もあります。

行政機関での募集も数多く、公務員志望の方にもおすすめできる資格です。ダブルライセンスで、より就職・転職の機会が増えるでしょう。

ソーシャルワーカーのスペシャリストを目指そう!

「福祉士」には社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士の3つの国家資格がありますが、社会福祉士と精神保健福祉士はソーシャルワーカーの国家資格です。

社会福祉士と精神保健福祉士のダブルライセンスにより、支援対象が幅広いうえに、精神上の障害を抱える方への支援にも強いソーシャルワーカーとしてアピールできます。

精神上の障害を抱える方や認知症高齢者の権利擁護のために成年後見人として活躍している方もいます。

弁護士や司法書士などとは異なり、職能団体である「社会福祉士会」や「精神保健福祉士協会」は任意加入ですが、研修受講などの機会が増えますので、キャリアアップのために入会を検討されてもよいでしょう。

職能団体へ推薦依頼をする企業、行政機関も多いので、求人への推薦や介護認定審査会や障害支援区分認定審査会等への推薦を受けることもできます。

常にキャリアアップ、スキルアップを図り、ソーシャルワーカーのスペシャリストとしての活躍の場を広げていきましょう

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