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投稿日:2024年7月24日 | 更新日:2024年07月24日
弁理士になるためには弁理士資格試験に合格する必要があります。
弁理士資格試験には、短答式試験、論文式試験、口述式試験の3種類があるのですが、中でも難易度が高いと言われているのが論文式試験です。
論文式試験に合格するためには、まとまった勉強時間を確保し、正しい勉強方法で行うことが重要です。本記事では、弁理士になるための論文試験について詳しく解説します。
論文式試験を攻略して弁理士への道を掴み取るためにも、今回紹介する勉強のポイントや注意点などをぜひ参考にしてみてください。
※この記事は2023年10月現在の情報となっております。
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弁理士になるための論文試験とは
弁理士資格試験の中でも難易度が高いと言われているのが、論文式試験です。
以下で論文試験の日程や願書の受付、科目、配点などを以下で確認しましょう。
2023年度(令和5年度)弁理士試験の試験日程・合格発表日
試験形式 | 試験日程 | 合格発表日 | 試験会場 |
短答式試験 | 5月21日(日) | 6月12日(月) | 東京・大阪・仙台・名古屋・福岡の5カ所 |
論文式試験(必須科目) | 7月2日(日) | 9月25日(月)予定 | 東京・大阪の2カ所 |
論文式試験(選択科目) | 7月23日(日) | ||
口述試験 | 10月21日(土)~23日(月)のいずれかの日 | 11月9日(木)予定 | 東京のみ |
弁理士試験を受けるためにも、願書の提出期限や方法なども確認しておきましょう。
願書の請求・交付方法 | 願書請求・交付期間 | 願書の受付期間 |
インターネット | 令和5年2月1日(水)~3月22日(水) | ー |
交付場所へ直接持っていく | 令和5年3月1日(水)~3月31日(金) | ー |
郵送 | 令和5年3月1日(水)~3月31日(金) | 令和5年3月15日(水)~4月5日(水) ※4月5日消印有効 |
ただし、願書の受付は郵送のみとなるので注意が必要です。
弁理士論文試験の科目
- 短答式試験
- 論文式試験
- 口述式試験
弁理士試験の必須科目の試験では法文集が貸与されます。
試験 | 時間 |
特許・実用新案に関する法令 | 3時間 |
意匠に関する法令 | 1.5時間 |
商標に関する法令 | 1.5時間 |
選択科目は以下の選択科目の中から1つを選ぶことになります。試験時間は1.5時間で行われます。
ちなみに、選択科目で法律を選んだ場合は、法文集が貸与されます。
科目 | 選択問題 |
理工I(機械・応用力学) | 材料力学、流体力学、熱力学、土質工学 |
理工II(数学・物理) | 基礎物理学、電磁気学、回路理論 |
理工III(化学) | 物理化学、有機化学、無機化学 |
理工IV(生物) | 生物学一般、生物化学 |
理工V(情報) | 情報理論、計算機工学 |
法律(弁理士の業務に関する法律) | 民法(総則、物権、債権から) |
弁理士論文試験の配点比率
特許・実用新案法: 意匠法: 商標法: 選択科目は、2:1:1:1と決まっています。
弁理士論文試験の合格基準
必須科目の合格基準を満たし、かつ選択科目の合格基準も同様に満たすことと定まっています。
弁理士論文試験の合格率
次に弁理士論文試験の合格率を見ていきましょう。
年度 | 合格率 |
令和4年 | 26.3% |
令和3年 | 25.1% |
令和2年 | 25.0% |
令和元年 | 25.5% |
平成30年 | 23.9% |
平成29年 | 24.2% |
表を見てわかるように、近年では弁理士論文試験の合格率は低いことがわかります。直近では合格率が上昇傾向にありますが、油断はできないでしょう。
ちなみに、弁理士論文試験以外の合格率も見てみましょう。
実施年度 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
短答式 | 8.9 | 20.1 | 18.3 | 18.2 | 11.3 | 10.3 |
口述式 | 98.4 | 94.0 | 95.6 | 98.6 | 90.2 | 96.4 |
表を比較してみると短答試験が一番合格率が低いことがわかります。しかし、論文試験を受けられるのは、短答試験を攻略した人のみです。
通過率が低いといわれる短答試験を攻略した人の中からさらに厳選されるため、やはり弁理士論文試験が一番難易度が高いといえるでしょう。
弁理士試験の合格率は以下の通りです。
実施年度 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 |
志願者数 | 4352 | 3977 | 3862 | 3401 | 3859 | 3558 |
合格者数 | 255 | 260 | 284 | 287 | 199 | 193 |
合格率 | 6.5% | 7.2% | 8.1% | 9.7% | 6.1% | 6.1% |
直近2年の合格率は下降傾向にあるため、さらに難易度が高まっています。しっかり対策を練って弁理士試験に挑む必要があります。
弁理士論文試験に受かるために必要な勉強時間
弁理士の論文試験に合格するためには、十分な勉強時間と計画が必要です。
弁理士試験の勉強時間は個人によって異なりますが、一般的には2,000〜3,000時間以上勉強している方が多いです。
勉強時間は、自身の能力や経験によっても異なるため、自己分析を行い適切な計画を立てて行いましょう。また、試験の範囲や難易度によっても異なるため、そちらを考慮することも重要です。
弁理士論文試験の必須科目の勉強方法のポイントとは
弁理士論文試験の必須科目を勉強する際は、いくつかのポイントがあります。
- とにかくノートに書き写す
- 問題文と模範解答を読み合わせする
- 答案を作成する
- 暗記すべき項目を整理して繰り返し覚える
- 試験と同じ時間で取り組んでみる
とにかくノートに書き写す
弁理士論文試験の勉強方法の一つとして、とにかくノートに書き写す方法があります。
ノートに書き写すことで、情報を視覚的に処理できます。難しい弁理士試験の内容も整理でき、記憶に定着させられるでしょう。
まずは、必須科目に関する参考書や教材を準備します。その中から、重要なポイントやキーワードを見つけ出し、とにかくノートに書き写しましょう。ただ単にコピーするのではなく、自分自身の言葉で書くことで理解度を深められます。
また、図やグラフなどもノートに描くことで、視覚的なイメージを持ちやすくなります。特に法律の場合は、文章だけでは把握しづらい部分もあるため、図解化すると理解が深まりやすいでしょう。
さらに、ノートを見返す際は、色分けやハイライトなどを活用すると効果的です。重要な情報や主要なキーワードを目立たせることで、復習時に素早く見つけられます。
問題文と模範解答を読み合わせする
弁理士論文試験の勉強では、問題文と模範解答を読み合わせするのも効果的です。
試験の出題形式や解答の構成を理解しやすくなるため、弁理士試験当日もスムーズに解答を考えられるでしょう。
まずは、過去に出題された問題集や公開されている過去問を入手します。弁理士試験で過去に出題された問題文を読み、自分なりの解答を考えます。その後、模範解答を見て自分の解答と比較してみましょう。
問題文と模範解答を読み合わせることで、試験の出題スタイルや要求されている知識のレベルを把握できます。
答案を作成する
弁理士試験に受かるためにも、過去問や模擬試験などの練習問題を解くことから始めましょう。
問題に取り組む際には、試験時間を考慮して効率的に解答を導き出す能力を養うことがポイントです。
問題に対して自分なりの解答を考えた後は、それを答案用紙にまとめます。答案用紙上での整理や表現方法も得点に影響を与えるため、丁寧に取り組みましょう。
答案を作成する際には、論理的な構成や明瞭な文章表現を心がけてください。また、関連する法律条文や判例などを引用しながら、解答の根拠を主張することも重要なポイントです。
答案を作成することで、自身の知識の把握度や問題解決能力を確認できます。さらに他者に見てもらいフィードバックを受けることで、改善点や課題も発見しやすくなるでしょう。
暗記すべき項目を整理して繰り返し覚える
暗記すべき項目を整理して繰り返し覚えるのも効果的です。
まずは、学習すべきポイントを明確にするため、試験範囲や重要なポイントを把握しましょう。
各科目ごとに、法律条文や判例、専門用語などをリストアップして整理します。
次に、暗記のための効果的な方法を選びましょう。暗記方法はいくつかあるのですが、その中の1つがフラッシュカードです。カードにキーワードやポイントを書き、何度も繰り返し取り組むことで記憶力を養っていきます。
また、項目を音読したり、書き起こしたりするのも効果的です。口に出して言葉にすることで記憶が定着しやすくなり、さらに手書きで書くことで視覚的にも印象付けられるでしょう。
試験と同じ時間で取り組んでみる
試験本番の状況に近い環境で勉強するためにも、本番の試験と同じ時間で取り組んでみましょう。試験時間を計測し、自分に合ったペースで問題やテーマに取り組めるように調整します。
また、集中力を高めるために周囲の環境も整えましょう。静かな場所で勉強し、電話やSNSなどの通知をオフにして集中します。弁理士試験本番の状況に近づけるため、心身ともに準備を整えるのがポイントです。
制限時間内で弁理士試験の問題に取り組むことで、時間配分やスピードを意識できます。模擬試験の結果を振り返り、改善点を見つけるのも重要です。
弁理士論文試験の選択科目の勉強方法
弁理士論文試験の選択科目の勉強方法にも、いくつかのポイントがあります。
- 選択科目の過去問があるか調べる
- 過去3年分の過去問を繰り返し勉強する
選択科目の過去問があるか調べる
弁理士論文試験の選択科目の勉強方法として、過去問の活用は非常に効果的です。
特に選択科目では、過去問を解くことで出題傾向や難易度を把握し、弁理士試験の対策を立てられるようになります。
まずは過去問があるかどうかを調べましょう。各科目の公式ウェブサイトや過去受験者の情報などを参考にすると良いです。弁理士論文試験の選択項目に関する過去問があれば、すぐに入手しましょう。
過去問を解く際は質問の種類や出題形式に注目してください。例えば、法令科目の場合は条文を正確に理解する必要があります。過去問を解くことで、重点的に学習すべきポイントを見つけられるでしょう。
また、解答を見るだけでなく、解答の根拠を理解するのも重要です。過去問の解説を読んだり、解答する前に自分自身で解答を考えたりすることで、問題解決の能力が高まっていくでしょう。
過去3年分の過去問を繰り返し勉強する
弁理士論文試験の過去3年分の問題を繰り返し勉強するのも非常に効果的です。
過去問を解くことで、出題傾向やアプローチ方法を把握できるため、自分の弱点を克服しやすくなるでしょう。
公式ウェブサイトや受験勉強サイトなどから過去問を入手してみてください。過去3年分の問題を集めることで、幅広い内容を網羅できます。
過去3年分の過去問を繰り返し勉強することで、選択科目の知識やスキルを高められます。
出題傾向を掴み、時間配分や解く力を養えば、弁理士試験本番での自信も持てるでしょう。継続的な努力と反復練習を心掛け、弁理士試験に向けて準備を進めることが重要です。
論文試験で暗記が重要な理由
一般的に弁理士論文試験に受かるためには、暗記が重要だと言われています。なぜ弁理士試験では暗記が重要だと言われているのか、その理由を見ていきましょう。
- 論文試験で自分の意見は必要ないため
- 加点ポイントを抑えることが重要なため
- 毎年同じ論点の問題が出題されるため
自分の意見は必要ないため
弁理士論文試験は法律知識や専門知識を問うもので、法令や判例、条文などを正確に理解し、適切に適用することが求められます。
論文試験では客観的な質問や問題が出題されます。そのため自分の意見や主張を述べる必要はありません。むしろ、法的な根拠や裁判例を正確に把握し、それに基づいて解答することが求められます。
加点ポイントを抑えることが重要なため
弁理士論文試験では、正確な法的知識や専門知識の把握が求められます。しかしそれだけでは十分ではありません。
弁理士論文試験ではそれぞれの解答に対して、特定の要素やポイントを加点する傾向にあります。加点をもらうためにも、試験範囲の情報を効果的に暗記することが重要です。
例えば、過去の試験問題を分析すると、一部の問題は特定の事例や判例を引用することで加点されるケースがあります。法令や規制に関する細かいルールや要件を暗記し、問題に応じた正確な解答を提供することで高い加点が期待できるかもしれません。
毎年同じ論点の問題が出題されるため
弁理士論文試験は、法的知識や専門知識を持つ個人が実務能力を証明する重要な試験です。その中でも論文試験は特に重要であり、合格には高い得点が要求されます。
とはいえ、弁理士論文試験では毎年同じような論点の問題が出題される傾向があります。例えば、特許法や商標法などの基本的な法律の要点や判例などを用いた問題などです。
弁理士論文試験に受かるためには、過去の試験問題の傾向など、広範囲の情報を頭に入れる必要があります。
しかし、弁理士論文試験に受かるためには暗記だけでは不十分なため、理解も必要です。問題に対して的確な解答を提出するために、暗記した情報を正確に理解し、関連する知識と結びつけることが重要なのです。
弁理士論文試験には免除制度がある
弁理士論文試験には免除制度があります。必須科目、選択科目といずれも免除制度があるのですが、適用する際には条件が設けられているため、事前に確認しておきましょう。
論文式試験(必須科目)の免除を受けるには、以下の条件のどちらかに該当する必要があります。
・論文式試験(必須科目)合格者:論文式試験の合格発表日から2年間、同試験が免除となる
・特許庁において審判又は審査の事務に5年以上従事した方:同試験が永久免除となる
論文式試験(選択科目)の免除を受けるには、以下の条件のいずれかに該当しなければいけません。
1〜3に当てはまる場合は論文式試験の選択科目、4に当てはまる場合は各資格の同試験が永久に免除となります。
1.論文式試験(選択科目)合格者
2.修士または博士の学位を有する方
3.専門職の学位を有する方
4.公的資格を有する方
ただし、免除されても、その代わりに他の試験や要件を満たす必要がある場合があります。一部免除制度を利用するためには、追加の書類提出や審査が必要となる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
弁理士論文試験の免除制度を利用することで、実務経験や他の資格取得を通じて培った知識とスキルを効率よく活かせます。より迅速に弁理士としてのキャリアを築けるでしょう。
勉強のポイントを押さえて弁理士試験を突破しよう
弁理士論文試験は難易度が高いと言われており、攻略できずに試験に落ちた方も多くいます。
弁理士論文試験の合格率は低いものの、筆数科目や選択科目それぞれポイントを押さえた方法で勉強することで、攻略を目指せるでしょう。
弁理士論文試験では「暗記」が重要だと言われています。とは言え、暗記するだけでは弁理士論文試験の合格を目指すのは難しいでしょう。暗記したキーワードや項目に対して理解を深めることで、より弁理士論文試験の合格に近づけます。
また、弁理士論文試験に対して事前にしっかり準備することが大切です。弁理士論文試験の日程や願書の提出方法などを確認し、期限に遅れないように書類を提出しましょう。
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