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投稿日:2023年9月21日 | 更新日:2024年04月22日
介護分野の資格の中で上級資格に位置付けられるケアマネジャー。「いずれは取得したい」と目指している方も多いでしょう。
しかし、実際のところ年収も気になるところですね。ケアマネジャーの年収は果たして高いのか、それとも低いのか。独立した場合はどう変わるのか。
近年、現職のケアマネジャーが思う介護職員処遇改善加算からの除外についての本音と、今後の処遇改善の見通しについても交えながらご紹介します。
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ケアマネジャーの年収ってどのくらい?
ケアマネジャーは、難易度の高い試験をクリアし、研修を受け、やっとその業務に就くことができる、憧れる人も多い仕事です。
介護のキャリアアップにおいては上級資格に位置しており、「いずれケアマネジャーになりたい」と頑張る方もいるでしょう。
そんなケアマネジャーのお仕事は、どのくらいの年収がもらえるのか、平均給与はどのくらいなのか、厚生労働省が発表している資料などを見ながらご紹介します。
常勤ケアマネと非常勤ケアマネの平均給与
ケアマネジャーにも、常勤勤務をしている人と非常勤勤務をしている人がいます。それぞれの平均給与額を見てみましょう。
ここでは、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所における平均給与額を参考にしています。
平均給与額 | |
常勤の場合 | 36万2,700円 |
非常勤の場合 | 26万8,490円 |
ボーナスの平均はおよそ77万円
年収を考える上では、ボーナスの存在も欠かせません。
「令和3年度賃金構造基本統計調査」によると、ケアマネジャーのボーナスの平均は約77万円。これは常勤の場合の平均額ですが、ボーナスを加えた年収は約513万円になることが分かります。
手取りの給料は75%~80%程度となる
実際の手取り額は、社会保険料や税金等が差し引かれて支払われることとなるため、だいたい75%~80%程度が手元に残ることとなります。
これはケアマネジャーに限ったことではないため、参考程度に覚えておきましょう。
平均年収はあくまでも参考程度に
ケアマネジャーの年収は、当然ながら経験年数や手当ての種類等によっても変わってきます。また、職場によっても変わるでしょう。
したがって、ここでご紹介する平均年収額については、あくまでも目安として参考にされることをおすすめします。
ケアマネジャーの年収は他の介護専門職より高い?
介護の世界では、たびたび処遇についての話題がのぼります。「ケアマネジャーになったら今よりも年収が増えるのかな?」と疑問に思ったり、興味を持ったりする方もいるでしょう。
資格ごとの平均給与額
職種 | 平均給与額 |
ケアマネジャー | 36万2,700円 |
介護福祉士 | 33万1,080円 |
介護福祉士実務者研修 | 30万2,430円 |
介護職員初任者研修 | 30万240円 |
社会福祉士 | 35万120円 |
ケアマネジャーの平均給与額は、先ほどご紹介したとおりですが、同じ調査でその他の職種の平均給与額についても知ることができます。
ケアマネの平均給与は他の介護系の職種よりも高い
この調査を見る限りでは、ケアマネジャーの平均給与額は他の介護の職種よりも高いようです。
介護現場で未経験からキャリアアップしていくには、まず介護職員初任者研修を取り、その後実務者研修、介護福祉士という流れになりますが、上級資格になっていくにつれて年収が上がるのは一目瞭然ですね。
ケアマネジャーは、介護福祉士を取得した後、さらにキャリアアップを目指せる資格でもあるということです。
無資格者の介護職員と比べるとその差は大きい
先ほどの調査では、無資格の介護職員の平均給与額についても明らかになっています。
その額は26万8,680円。ケアマネジャーの平均給与額と比べると、実に9万円ほどの差があります。
今の介護現場では、無資格のまま働き続けることはあまりないでしょうが、資格の有無や種類によって平均年収は大きく変わってくることを知る必要はありそうですね。
そもそもケアマネジャーの給与がどこから支払われてるの?
デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスは、利用に応じて利用者から毎月の利用料(自己負担分)を徴収します。
しかし、ケアマネジャーが担当することに関しては、このような利用者との料金の直接的なやりとりが発生しません。そのため、「ケアマネジャーのお給料はどこから出ているの?」と思われるでしょう。
ケアマネジャーには、在宅で暮らす方を対象にする居宅ケアマネジャーと、施設に入所中の方を担当する施設ケアマネジャーがいますが、ここでは居宅ケアマネジャーのお給料の出どころについて見てみましょう。
居宅ケアマネの収入のメインは介護報酬
実は、直接的な金銭のやりとりがなくても、ケアマネジャーが利用者を担当すると介護報酬が発生します。ケアマネジャーの収入の9割は、この介護報酬によるものであり、メイン収入と言っても過言ではありません。
介護報酬は、担当する利用者の要介護度によって基本単位が異なり、当然ながら要介護度が高い要介護3~5の方は要介護1~2よりも単価が高く設定されています。
他に、介護報酬には退院時のカンファレンスなどでの加算等が加わることもあります。この介護報酬は、利用者の負担がありません。全額、介護保険から支払われることとなっています。
したがって、利用者から現金や振り込み等で支払ってもらう必要はなく、全額が国保連合会を通して支払われています。
地域包括支援センターからの委託料・要介護認定調査の委託料
割合としてはそう多くありませんが、要支援の方や総合事業対象者の介護予防ケアマネジメントを実施した場合は委託料を受けとることができます。
基本的に、要支援の方々の担当は地域包括支援センターが担いますが、一部居宅介護支援事業所への委託が可能です。
委託料は1件あたり3,500円~4,200円程度であり、要介護に比べると収入としては少ないですが、件数に応じて市町村から委託料が支払われる仕組みとなっています。
そして、要介護認定の調査を市町村から委託された場合は、その件数に応じて市町村から委託料が支払われます。
その他の収入
居宅ケアマネジャーの収入源は、そのほとんどが介護報酬になります。つまり、介護報酬と委託料でほぼ構成されており、その他の収入についてはたまに発生する程度です。
その他の収入として考えられるのは、住宅改修の理由書作成料や、ケアマネジャー実習生の受け入れ費用などがありますが、いずれも安定的に発生するものではなく、単価も安いです。
思いきって独立したら年収は上がる?
居宅ケアマネジャーの多くは、医療法人や社会福祉法人等が運営する居宅介護支援事業所に所属し仕事をしています。
つまり、会社員として雇用され、お給料は基本給や手当てである程度決まっており、経験年数や会社からの評価によって段々ともらえる給与が増えていくのが一般的でしょう。
しかし、会社からもらえるお給料に不満がある場合や、同じ事業所で働く他のケアマネジャーと自分の仕事量を比べて不満を抱えている場合などは、「いっそ独立した方がいいかも」と思うかもしれません。
もし、思いきって独立して自分で居宅介護支援事業所を構えた場合、年収はあがるのか、その可能性について見てみましょう。
独立した場合は介護保険の介護報酬等がそのまま自分の給与となる
先ほどご紹介したように、ケアマネジャーの収入源の多くは介護保険の介護報酬です。要介護度によって変わりますが、要介護者1人を受け持つと、おおよそ1万円~1万3,000円くらいが介護報酬として入ってきます。
「できるだけたくさん担当を持てばそのぶん報酬もたくさんもらえる」と思われがちですが、ケアマネジャーは持てる人数の上限が決まっていて、そう単純にたくさん担当すればよいというわけにはいかないのです。
もちろん、まっとうな仕事をする上でも、担当件数の上限を超えるのはよくありませんが、居宅介護支援事業所の人員配置基準である「利用者35人に対して1人」や「40件(条件を満たせば45件)を超えると減算につながる」ことを考えると、35人くらいまでの担当が妥当です。
独立しても驚くほど年収は増えない可能性も
上記のように、ケアマネジャー1人あたりが持てる人数がおおよそ決まっているために、独立をしたとしても驚くほどの収入アップは見込めない可能性が高いです。
居宅ケアマネジャーの平均給与額は36万2,700円。独立して何から何まで自分が行い、この額を超えるのは、なかなか簡単ではありません。
損害保険への加入など、会社員のときは考えもしなかった支出が出てくることもあります。
ケアマネジャーとして年収アップは見込める?その方法は?
実際のケアマネジャーの平均給与額を見て、「正直あまり多くないんだな」と感じる方もいるでしょう。しかし、この金額はあくまでも平均値です。これよりも多い人もいれば、少ない人もいます。
ケアマネジャーとして年収を上げていくには
ケアマネジャーとして仕事をしながら年収アップを狙うには、主に以下の方法が考えられます。
継続して勤務し経験を積んでいく
ケアマネジャーに限ったことではありませんが、長く続けるとそのぶん給与は上がっていきます。特に、定期的に給与の査定を設けている会社なら、勤続による報酬アップが見込めるでしょう。
ケアマネジャーの場合、そもそも新卒で勤まる仕事ではありません。資格取得までの道のりは長いことも多く、これまでの介護経験や相談援助経験等が活きる仕事です。
同じ法人に勤めていれば、そうした実績も考慮のうえで給与が決まるでしょう。
主任など役職を狙う
主任や管理者といった役職につけば、役職手当がもらえる可能性が高いです。この手当てによって、年収はだいぶ変わってくるでしょう。
主任や管理者に就くことはそう簡単ではないかもしれませんが、確実な給与アップには欠かせないポイントです。
場合によっては独立する
独立は、初期投資や運営のための支出も余儀なくされ、さらに先ほどご紹介したようにケアマネジャーの仕事の特性上、持てる担当件数には上限があることから、頑張れば頑張るだけ稼げるものでもありません。
しかし、今の職場の給与が低くて将来伸びていく可能性も少なければ、独立という手もあるでしょう。
介護職員処遇改善による賃上げの対象外!みんなのホンネ
介護職員の人材確保は国の施策として対策がとられており、これは介護に携わる人ならよく知っているのではないでしょうか。
介護職員の処遇改善がはじまったのは2009年のことで、介護報酬にそれが加算として組み込まれるようになったのは2012年のことでした。
しかし、当時から話題になっていましたが、この処遇改善加算の対象となるのは介護業界で働く人の一部であり、ケアマネジャーは対象外。なぜ介護職員ばかり優遇されるのかと不服の声は多いです。
ケアマネジャーの年収は仕事量の割に安い?
ケアマネジャーの仕事は、介護報酬改定のたびに増え、複雑化し、業務の肥大化を問題視する人もいます。
実際にケアマネジャーをしていて、1人のケアマネジャーにかかる負担が大きすぎると感じている方も多いのではないでしょうか。
その反面、処遇改善については取り組みが行われず、報酬と仕事量が合っていないという意見も多数あるようです。
介護福祉士の給与がケアマネジャーを超えるのではとの声も
介護福祉士などを取得し5年以上の実務経験がないと挑戦すらできないケアマネ試験。その試験の難易度は高く、試験をパスした後の研修も決して楽ではありません。
本来ならば介護福祉士を取得した後でキャリアアップのために目指すに値する資格であるにも関わらず、介護職員ばかり処遇改善されている状況は、ケアマネジャーになる前向きな気持ちすら奪いかねません。
いずれ介護福祉士の給与がケアマネジャーを上回るのでは、との声もあるほどです。
今後どうなる?ケアマネジャーの処遇改善の可能性も
ケアマネジャーの処遇に関しては、すでにケアマネジャーの団体が不服を申し立てるような動きをみせており、今後は改善される可能性もあります。
ケアマネジャーの年収は全体的に見ると高い!経験値によってアップも見込める
ケアマネジャーの年収は、介護に携わる職種の中では高いです。経験を積めばそれだけ年収も増え、さらに役職がつけばもっとアップする可能性もあるでしょう。
しかし、介護職員の給与が処遇改善によって改善するなか、「ケアマネジャーを苦労して目指すメリットが少ない」と感じる声もあります。
業務は多忙を極め、シフト勤務のように誰かにバトンタッチすることも難しいことの多いケアマネジャーの仕事を、多くの方が目標にするには、年収も重要なポイントになってくるでしょう。
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