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投稿日:2024年3月18日 | 更新日:2024年03月18日
ケアマネジャーとして働くにあたり、どのくらいの利用者を担当するのかは非常に気になるポイントではないでしょうか。
これから働く人だけでなく、すでに従事している人も、果たして持てる人数が適正なのか疑問に思う方もいるかもしれません。
ここでは、ケアマネジャーが持てる人数について、制度上で決められている基準と、施設ケアマネ・居宅ケアマネとの違い、パートや非常勤で従事する場合の件数についてご紹介します。
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これって多い?ケアマネジャーが持てる人数とは
ケアマネジャー1人あたりが担当できる件数は、無制限ではありません。
これまで居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして勤務したことがない人は、利用者さん1人を担当するにあたりどのくらいの仕事量が発生するのかさえ、イメージしにくいかもしれませんが、あらかじめ担当できる人数の上限と現状を知っておけば、心構えもできるでしょう。
居宅介護支援事業所では1人あたり35件までが基準
介護保険制度上の事業所には、それぞれ「人員配置」というものがあります。人員配置とは、「利用者○○名あたりに対して△△を1人置く」という、ルールです。
居宅介護支援事業所は、在宅で暮らす高齢者やその家族をサポートするケアマネジャー(介護支援専門員)が所属する事業所です。
人員配置のルールは、「常勤の介護支援専門員は利用者35名に対して1人を基準とする」となっているため、常勤で勤務するのであれば35件まで担当するのが基本です。
ただ、実際は35件以上を担当しているケアマネジャーも少なくありません。介護報酬の請求においては、40件以上で報酬が減るといった決まりがあるため、39件ギリギリまでを担当件数とする事業所も多いのが現状です。
2021年の介護報酬改定で担当件数40件超えも多数
2021年の介護報酬改定で、ICTを活用している場合または事務職員を配置している事業所は、報酬減となる人数が40件から45件へと引き上げられました。そのため、基準を満たしている事業所なら44件まで減額されることなく担当できるということです。
つまり、基本的には担当件数「35件」が基準とはいえ、実際は44件を持っているケアマネジャーも珍しくないのが現状のようです。
施設ケアマネと居宅ケアマネ
先ほどまでは、居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーの担当件数についてご紹介しました。居宅介護支援事業所のケアマネジャーは自宅で暮らす高齢者を担当しますが、介護施設に入居している高齢者には施設に勤務するケアマネジャーがつくこととなります。
施設ケアマネジャーは、特別養護老人ホームなどでは入居者100人に対して最低1人つくことが人員基準で決められています。つまり、100床のベッドがある施設では、1人の施設ケアマネジャーが100人分のケアプランを作ることもあり得るということです。
もちろん、介護施設はさまざまな種類があり、それぞれ規模も違います。小規模の施設ケアマネジャーなら、他の業務と兼務しながらケアマネジャーの業務を行っているのが通例です。
どうして施設ケアマネは持てる人数が多いの?
居宅介護支援事業所に勤務する居宅ケアマネジャーと、施設ケアマネジャーとでは、どうして担当件数に大きな差があるのか、気になりますよね。
同じケアマネジャーでも、勤務する場所によって働き方が違うことが、担当件数に影響しています。それでは、具体的にどのような違いがあるのか見てみましょう。
「居宅」と「施設」ではニーズが大きく異なる
居宅ケアマネジャーは自宅で暮らす高齢者やその家族などをサポートしています。一方、施設ケアマネジャーは施設に入居中の方を支援しています。
自宅で暮らす要介護高齢者のニーズはとても幅広いです。身の回りのことはもちろん、家事全般や社会生活などについても考えなければなりません。
そして、その置かれている環境は、人によって異なります。家屋の状況や周囲の環境、家族の有無や支援の内容などによって、1人ひとり必要な支援が違ってきます。
施設においても、当然ながら1人ひとり状態や希望は異なるため、ケアプランも多種多様になります。しかし、施設にいれば家事全般や必要な介護については施設ですべて完結するため、サポートが必要な部分について関係各所と調整する必要はないのです。
「居宅」は事業所の外で活動する時間が長い
居宅ケアマネジャーは、利用者の自宅に定期的に訪問したり、利用者が使っているサービス事業所に出向いたりと、基本的に事務作業以外は外に出て仕事をします。
施設のように、カルテに詳しい情報が記載されているわけではないため、自ら出向き見聞きして情報を集める必要も出てきます。
施設ケアマネジャーは他の業務と兼務することも
施設ケアマネジャーは、特別養護老人ホームをはじめ、介護老人保健施設、グループホームなどにも配置されています。
施設の規模が小さければ、介護スタッフなどと兼務していることもしばしばあります。つまり、必ずしも施設ケアマネジャーの担当件数が居宅ケアマネジャーよりも多いとは限りません。
超多忙!?居宅ケアマネジャーの声
2021年の介護報酬改定では、ICTの導入や事務職の配置によって45件を超えるまで減算が免れるようになりました。
しかし実際は、本来の配置基準である担当件数35件でさえ「まわらない」と嘆いている声もあります。
居宅ケアマネジャーの仕事はスケジュール通りにいかないことも多い
居宅ケアマネジャーの仕事は、必ずしもスケジュール通りに運ぶとは限りません。なぜなら、支援しているのは生身の人間だからです。
体調やケガ、病気で急遽入院をした、家族の体調が悪くなって急遽サービスの見直しが必要になった、本人の希望によって利用予定だったサービスをやめたくなったなど、予想外の出来事が起こることはしばしばあります。
こうした事態に速やかに対処しなければならないことも多く、「1日2件訪問すれば余裕でこなせる」と簡単に考えられない仕事です。
忙しさには波があることも
例えば、担当件数が30件だったとします。事業所の意向で「あと5件は任せられるな」と判断された場合、新しく担当する利用者が一気に5名増えたら、どうなるでしょう。
新規の利用者には、分かりやすく介護保険のことを説明したり、契約を交わしたり、これから利用するサービスのことを一緒に検討したりと、やることが山積みです。
一方、既に長く担当し続けている利用者が、体調を崩さず状況も変わらない場合、新規利用者に比べてさほど仕事量は多くないでしょう。
このように、たまたま新規の利用者が多く発生した月と、そうでない月が生じることも珍しくはなく、忙しさには波があることもあります。
もともと担当をしていた利用者がしばらく入院をして担当件数から外れたり、また退院をして件数に追加されたりといったこともよく起こります。そのため、実際の件数は毎月変化しやすくなっています。
業務増・持てる人数増で悲鳴も
介護保険制度は、3年に1回のペースで改定されます。その度に、やらなければならない仕事が減るよりも、増えていることの方が多くなっており、それに加えて担当件数が増えれば、当然ながら業務負担は増すばかり。
実際のところ、介護保険や家族などでカバーできないサポートを、本来職務ではないケアマネジャーがカバーせざるを得ない場面もあり、現任者の中には悲鳴をあげる人も多いそうだ。
高い専門性が求められる仕事でもあり、たとえベテランでも余裕で仕事をこなしているわけではないようです。
パートや兼務のケアマネジャーが持てる人数
居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして、非常勤や兼務で携わる場合の担当件数についても気になるのではないでしょうか。
結論から言うと、非常勤や兼務の場合の担当件数は、その居宅介護支援事業所の常勤時間と非常勤の方の雇用上の勤務時間や、兼務の方の案分割合によって変わってきます。
そして、この計算においては、事業所のある都道府県の方針や考え方によって若干違いが出てくる可能性があります。
あくまでも目安ですが、例をご紹介します。
非常勤勤務のケアマネジャーの担当件数
もし、非常勤勤務の方の雇用契約上の勤務時間が20時間だったとします。
そして、その事業所の常勤時間が40時間だったとした場合、非常勤勤務の方はケアマネジャーの人数としては0.5人という扱いになります。
基準となる35人の担当件数の半分は、17人程度ということになるため、この場合は17人まで担当できるという計算です。
兼務のケアマネジャーの担当件数
例えば、同一敷地内のデイサービスの管理者が居宅介護支援事業所と兼務した場合で考えてみましょう。
もし、デイサービスと居宅介護支援事業所を半分ずつの案分とした場合、やはりこれもケアマネジャーの人数としては0.5人という扱いになり、担当件数は17人までとなります。
パートで勤務したい場合はよく確認しよう
ケアマネジャーの求人には、パートタイムの募集もあります。
家庭との両立のためにフルタイム勤務が難しい、体力面の問題で週5日は働けないなどの理由でパート勤務したい場合は、自分の希望する勤務時間でどの程度の担当件数になるのか、事前にしっかり確認しておくことが大事です。
持てる人数によって給料に影響はあるの?
ケアマネジャーとして働く上で、持てる人数が給与に影響するのでしょうか。
既に居宅介護支援事業所に勤めていて、同じ常勤であるにも関わらず他のケアマネジャーより担当件数が多ければ、不満に思うこともあるでしょう。
また、これからケアマネジャーとしてしっかりと給与をもらいたい場合、持てる人数の影響が気になるのではないでしょうか。
そもそも報酬はどこからくるのか
居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーへの報酬は、その大半を介護報酬が占めています。
実際に契約を交わして必要な手続きを行い、ケアプランを作成すると、その費用が介護報酬として国保連合会から支給される仕組みです。なお、この一連の仕事において、利用者さんの負担が発生することはありません。
介護報酬は、当然ながら持てる人数分ギリギリまで担当した方が、数件しか担当しない場合よりも多くなります。そして、要介護度が高い人の方が、要介護度の低い人よりも報酬が高くなる仕組みです。
介護報酬以外には、地域包括支援センターからの要支援・要介護認定調査の委託料もあります。
多くの場合持てる人数で給与が大きく左右することはない
基本的に、居宅介護支援事業所のケアマネジャーは会社員です。
出来高制として持てる人数が多ければ多いほど給与が高くなるわけではなく、会社の定める基本給や手当てで毎月のお給料が決まります。
したがって、担当件数の増減が給与にダイレクトに影響することはないと言えるでしょう。
ただし、仕事の精度を上げる努力をして積極的に持てる人数まで担当しようと努力している人は、会社からの評価も得やすく給与額に影響する可能性は十分にあります。
初心者が持てる人数ギリギリを任せられることはほぼない
事業所の考え方にもよりますが、着任したばかりのケアマネジャーがいきなり持てる人数ギリギリまで担当させられることはあまりないでしょう。
多くの場合、引き継ぎをしながら少しずつ担当件数を増やしていく方法がとられます。
ケアマネジャーの経験者と全くの初心者とでは担当件数を増やしていくスピードもある程度は変わってくることが多いでしょう。
ただし、これは事業所の方針や状況によっても変わってくるため、就職活動や異動で心配な場合は事前に確認しておくと安心です。
ケアマネジャーの持てる人数と実際はかけ離れていることも
居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーとでは持てる人数に差がありますが、それは仕事の仕方が違うためであり、どちらが向いているかは人によってさまざまです。
居宅ケアマネジャーの場合、持てる人数ギリギリまで担当しているケースも珍しくはなく、基準となる35件を超えることもあり得ます。
その一方で、持てる人数に余裕があるにも関わらず、利用者が集まらないといったケースも考えられるでしょう。
ケアマネジャーとして活躍できる職場を見つけたい場合は、まず居宅介護支援事業所が良いのか、それとも施設ケアマネジャーが良いのかで検討してみてはいかがでしょうか。
そして、担当件数についての不安がある場合は、面談時などによく確認されることをおすすめします。
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