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投稿日:2024年7月31日 | 更新日:2024年10月08日
エンジニアとしての経験を積んでいくとプロジェクトを動かしたり、管理したりしなければならない場面が出てきます。
そのような役割は実践を積むことでしか学べないと思っていませんか?
今回はIT系の資格の中でもOMG認定資格試験を提供している一般社団法人日本OMG専務理事の橋本さんにご協力いただき、取材をさせていただきました。
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OMG認定資格試験はアメリカで開発されたITエンジニアのグローバル標準資格
橋本さん、本日はよろしくお願いいたします!
早速お伺いしたいのですが、OMGの資格の始まりは元々アメリカだったのですか?
そうです。
アメリカのエンジニアが持つ資格で、アメリカではOMGの資格を取得すると、給料のベースアップになったりする、多くのエンジニアが所有している資格です。
そうなのですね。
OMGの資格の日本での普及度についてはどう思われますか?
ずっと前からある資格ではありますが、実は全部英語でした。
その英語の壁というのが非常に高くて。
コンスタントに受験者はいたものの、US本部との会議の中で「日本語にしていかないと受験者増えないよね」という話になり、ちょうど2年前ぐらいから日本語へのコンバートを開始しています。
ただ単に翻訳すればいいわけではなく、コンセプトづくりをしたり、技術的な単語や文言を
正確に理解して翻訳するのに時間がかかってしまって。
全三種類で12アイテムあるんですけど、あと5アイテムぐらいは日本語になっていないので現在翻訳中です。
初級、中級は既にだいぶ翻訳が進んでいますが、対策セミナーが必須で必要ですので、協賛して頂いている協力企業でカリキュラムを検討して頂いている最中です。
「アイテム」っていう概念があったかと思いますが、こちらのアイテムはどういった種類のものがありますか?
BPM、SysML、UMLの3アイテムですね。
先ず、BPMはBusiness Process Managementといって、業務プロセスを見える形にフローで書き現して、現状を把握、変更や改善を行うことで、本来あるべきプロセスに継続的に近づけていくための業務管理手法です。
よく as is to be とか聞いたことがあるかと思いますが、ソレです。
次にSysMLですが、Systems Modeling Languageの略称でシステムの構造や繋がり等を記述して、図表として表記する記述方法です。
昔はHDやSOFTのエンジニア間での共通言語がまちまちで統一されていなかった為、開発工数遅延や思い違いによる出戻り等様々な不具合が発生していました。
SysMLは、エンジニアが共通したシステム開発を進める中でコミュニケーションを円滑に進めることができる共通言語です。
そしてUMLはUnified Modeling Language の略でシステムの振る舞いや構造をオブジェクト指向で分析したり設計したりする時、モデリングを活用することで視覚的に把握できるようになり、効果的に表現できますがモデリングにルールを持たせないと人や国によってその表記方法がバラバラになってしまうので、標準規格として作られたモデリング言語がUMLです。
その三つのカテゴリーの中にそれぞれ、初級、中級、上級というクラスがあります。
それぞれ今お話しいただいた中で、初級、中級、上級があるってお話しいただいたアイテムの合格率ってどのぐらいでしょうか?
グローバルで見ると初級は68%程度だったと思います。
対策セミナーを受講していただくと大体受かると思います。
中級は初級と違ってアメリカの法律的な話が入ってきたりします。
日本在住でもアメリカの法律は学んだ方が良いのでしょうか。
日本は今ものすごい円安で海外でのビジネスを検討したり、既に実際に外国企業との開発を行っている企業が増えていると思います。
特にアメリカとは切っても切れない関係ですので、最小限のビジネスに関する法律は知っておいた方がいいと思います。
「BPM」「SysML」「UML」とは?
これから受験を検討されている方々向けにこのあたりのことをご説明いただけないでしょうか。
3アイテムのモデリングについては先ほど簡単に説明させていただきましたが、私が担当している東アジアの企業の例ですと、将来的にあるサービスを提供するのですが、その開発のエンジニアは中国、シンガポール、フィリピン、ベトナム、日本等多国籍で構成されていてその共通言語はSysMLを利用しています。
SysMLはシステム設計で主に使われる、UMLをベースとしたモデリング言語となっていて、必要な図や要素、関係性を記述しながらソフトウェアやハードウェアの構築をエンジニア間でコミュニケーションすることができるので、極論言葉が通じない国のエンジニア間でもモデリングの表記図を見れば物が作れます。
そしてBPMですがBPMは私の専門分野で、業務を可視化することで問題を把握し、その現状の問題点を抽出・分析し、改善や再設計を施すことで業務の効率化を図ることができる優れた表記方法の一つです。
「考え方のフレームワーク」っていう感じなのですね!
OMGの資格のミッション
橋本さんのご自身のミッションとして「中小企業の技術の継承と国内産業の衰退に歯止めをかけたい」というものを挙げていただいたかと思いますが、どのような背景からでしょうか。
我々母体がアメリカの団体ですので、海外の企業とか、かなり上の創設者とか色んな人と会って話を聞く機会があり、日本の技術がもう明らかに、以前「発展途上国」と言われていた国々と比較しても周回遅れだということを行くたびに感じていました。
数年前にIoTが脚光を浴びましたが、あのあたりから日本以外の国の加速スピードが著しく、DXやデジタルツインが広まった頃には日本は最下層になってしまいました。
給料を見れば一目瞭然だと思いますが、日本の平均給与額は567万円(男:国税庁)だそうですが、アメリカでは$65,500(約1,000万円)と倍ほど違います。
そういったところに対して、このOMGの資格はどのような風に貢献できると思いますか?
まずは温度差を感じて頂くということで、その入口として資格を取っていただけると、世界にベクトルをあわせられると思います。
そこからがスタートだと思います。
OMGの資格を取ったこと自体を活かしていくというよりかは、温度感をまずは知ってもらうための入口になる資格ということですね。
OMGの資格の試験形式や対策方法は?
OMGの資格は合格不合格というより「どの程度のスキルセットを持っているかということを証明できるような資格試験」というニュアンスが強いですね?
そうです。
例えば、これはBPMの初級の問題です。
「原価計算では、電気代や水道代などの費用をどのように呼びますか?」とか「企業にとって、運転資金は何を測るものでしょうか?」など一般的なやつがBPMは多いですね。
あとは「BPMを用いるプロセスモデリングの3つのレベルのうち、ITの実装の詳細要件定義で作成するのはどれですか?」とか。
一般的な言葉の定義を一問一答形式で問われている感じですね。
合格ラインは公開されていますか?
6割合っていれば合格みたいな感じです。
対策セミナーが有料で開催されているので、それを受けて試験を臨むとほぼほぼ合格するような難易度です。
対策セミナーってどういう感じなのですか?
インテグレーションテクノロジーにて、OMGの認定SysML Model User資格試験セミナーを受け付けています。
座学があって、ハンズオンがあって、モデルユーザーはほぼほぼ受かっていますね。
BPMはアイ・ラーニングが基礎編を行っています。
UMLはメジャーなので特に行っていませんが、これらの3アイテムの資格試験講座は協力会社が現在準備中ですので年内にいくつか対策講座がリリースされると思います。
そのあたりは日本OMGのHPのおしらせでUPしていきます。
いろんな対策が公開されているのですね!
そうですね。
実は慶応のSDMでもSysMLをみっちりやるコースが設定されています。
なるほど。
エンジニアとして働く上でのプロジェクトを管理するものを学ぶ資格試験なのですね!
OMGの資格試験の強み
IT系の資格試験の中でも、OMGさんのような概念的な部分を扱う資格ってなかなか無いと思います。
その他に、他のIT資格にはないOMGの資格試験ならではの強みを知りたいです。
一番強いのは海外に行ったときのエンジニアの評価が全く違うってことですね。
日本はそういうコンサルタントとかエンジニアの資格が未だに意外と無いのですよ。
概念を体系的に説明できるエンジニアってあまりいないのですよね。
その辺を網羅しているのがOMGの資格試験です。
勉強していると気づくのですが、考え方もモデリング思考にしっかりと変革されます。
プロジェクトとかを体系的に理解するのにも有利になりそうですね!
これは余談ですが、BPMを極めると離婚する夫婦が多いように思えます(笑)
BPMは〇かX、白か黒、フロー上で明確に判断していきますので、これを日々の家庭環境や夫婦生活に置き換えてしまうと(汗)・・・・話が脱線してしまったので元に戻しましょう。
実は、モデリング云々含め、全てにおいて共通している考え方があります。
しっかり勉強しているエンジニアだったら知っているIIRA(Industrial Internet Reference Architecture)っていう、IoT活用を促進するための標準化されたフレームワークです。
特徴としては4つあり、
①標準化と相互運用性の向上:異なるメーカーやシステム間の相互運用性を確保するための標準化ガイドラインを提供していて、異なるデバイスやシステムがシームレスに連携できるようになります。
② セキュリティとプライバシーの強化:工業インターネットにおけるデータのセキュリティとプライバシー保護を考慮し、適切なセキュリティ対策を導入するための指針を提供しています。
③柔軟性とスケーラビリティ: さまざまな業界やアプリケーションに適応できるように設計されており、スケーラブルなシステム構築を支援しています。
④ビジネス価値の創出:データ分析や自動化を通じてビジネス価値を最大化するための方法論を提供し、生産性の向上やコスト削減をサポートしています。
IIRAって、非常に重要なのですけれどもこの4つの階層があって上から「Business Viewpoint」「Usage Viewpoint」「Functional Viewpoint」「Implementation Viewpoint」って階層に分かれています。
まず一番上から下に向かって考えていく世界標準の規格です。
この「Business Viewpoint」っていうのは例えば、システム再構築でシステム作り直すときに、なんのために作り直すのっていうところから考えます。
日本だとよくあるのが「新規事業モデル開発をしようと思っていますが、どうしたらいいですかね」っていうその「ファンクション」とか「インプリメンション」っていう実装とか機能から入るのですよね。
下から考えちゃうのが日本のビジネスの立ち上げ方なのですよね。
でも海外はなんのためにこのビジネスをやるのだっていうビジョンを明確に検討していきます。
そこが出来上がってから初めて「Usage Viewpoint」で「誰が使うか」を考えます。
その人のために何ができるのかをまず考える。
その次に3番目にその人のためにどういう機能があったら嬉しいのか?とか、その機能を創るためにどういう実装をするかを順番に考えていくのですよね。
海外のコンソーシアムではこのReference Architecture、新サービスのビジョンや構成要素、構成方式など、基本的な要件を定めたものを共通のガイドラインとし、そのルールに従って、異なる分野の企業が協力関係、それぞれの強みを生かして1つのサービスを作り上げる。
重要なビジョンの共有のところを、日本は技術の作り込みを重視していてダメですネ。
だからこの辺をちゃんとやってないと勝てないです。
今の日本ではいろんな資格が展開されていますが、OMGの資格試験のようなビジョンとかフレームのところを測る試験が少ないことも日本の産業において技術の作り込みを重要視されていることが裏付けられているなと感じました。
Reference Architectureの実例ビジネスモデル
今のReference Architectureをベースに考えたビジネスモデルが1個あったので共有しますね。
「高齢者の孤独死を防ぐためにはどうしたらいいか」を自治体と一緒に取り組んだ事例です。
これが今言っているモデリング、こういう設計図になります。
この取り組みの対象地域には高齢者がいっぱいいらっしゃるのですが、孤独死がたくさんあって、考えたサービスモデルの仕組みです。
高齢者って絶対部屋にいたら1日1回はトイレいくじゃないですか。
会員制にして、トイレにセンサーつけて24時間ドアが開かなかったら誰か飛んでくる、という、簡単に言ったらそういう仕組みです。
これがそのモデリングです。
今のモデルケースだとIIRAの一番上の部分のビジョンっていうのはどういう感じだったのですか?
今のモデルケースは私の会社での話で、「若い人のモチベーションってなんだろう?楽しくなさそうだな。」というところが始まりでした。
そこで、我々と同じ年代のオーナーの方の、若い社員を20人くらい引っ張ってグループに分けて団地の中に住まわして、毎朝外に出て高齢者の御用聞きみたいなことを行っていました。
はじめは高齢者と話もろくにできなかったのですが、他にやることもなく(笑)
段々話ができるようになって、個別に部屋に呼ばれて話し相手になったり、お昼をご馳走して貰ったり、高齢者との距離も縮まってきました。
そんな中で亡くなっていた方がいて、メンバーたちが真剣に話し合って、今の日本でこんなこと起っちゃだめだよ!って、自分たちIT系の人間に何かできないのかと真剣に考えて、できたのがこの仕組みです。
素晴らしいビジョンで感動しました・・・!
壁が多く、紆余曲折結構ありました。
でもみんなやったことないことだから。
すごいですね。
「ビジョン」に対するスケールが大きいなって思って。
そこの動機付けって難しいですよね。
我々の年代なんて、単純にお金あるといいもの喰えて、いい車乗れて、週末銀座や新地へ飲みに行くのが仕事みたいな時代だったのですよ。
実は私36歳の頃に会社を立ち上げて、とんでもなく稼いだ時は、常に銀座とかご飯食べに行って500万~1000万するような時計はめて、っていうことをしましたが、きりがないのですよね。
欲しいモン全部そろっちゃうから。車もある、別荘もある、ヨットもあるだと欲しいものなくなっちゃうのですよ。
で、「お金持ちになったら楽しい生活できると思っていたのに全然楽しくないじゃん。」って。
そこでいろんな、セミナーとかいろんなお寺でやっているようなものも行ってみたりして、『人間ってそれぞれ役目があるから生まれてきたのですよ』って話が刺さったんです。
役目っていうのは大きな歯車の一部かもしれないけど、あなたがやることによって歯車が一つ動いて、最終的にかわっていくのですよって。
役目って「苦」じゃないのだよと。
あなたの役目っていうのは本当に苦でもなく、楽しくてみんなにありがとうって言ってもらうのがあなたの役目ですよと教わりました。
今では、日本のすごい技術を世界のために役立てて欲しいと心から思っています。
日本OMGの方からのメッセージ
これからOMG試験を受ける方へのメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。
うーん、必要とする人に言わないと響かないのですよね。
だからあえてそういうことは言わないことにします。
逆に本当に迷っている人は必ず連絡が来るのですよ。
そういう人には今みたいな話を聴いて欲しいですね。
だから、OMG試験を受けようとしている人に対して日本は遅れているのだよ、ということを伝えたいです。
あなたが今いるところでも十分忙しいかもしれないけど、世界はその100倍、上行っているんだよって。
だから一番は海外に出て、見に行ったらいいと思います。
しばらく円安が続いているので、OMGのイベントを近いうちに日本でもできたら良いのですが。
もし日本でできたらより多くの日本人が世界よりも遅れているという実感を持てますよね。
橋本さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
エンジニアとしてのスキルアップを目指している方は是非OMG認定資格試験の受験をご検討ください!