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投稿日:2024年6月28日 | 更新日:2024年06月28日
Pythonの文法体系はシンプルで、独学初心者でも勉強しやすい言語です。
しかし、項目によっては理解するのが難しい概念や文法もないわけではありません。
また、独学の場合は、相談相手がいないなど特有の問題に直面することも多いです。
さらに、PythonはAIと密接に関連しているため、あまりにも多くの情報であふれていて、「自分に最適の勉強方法が分からない」「独学で本当に大丈夫?」「たくさんありすぎて教材選びが難しい」などの声もよく聞きます。
そこでこの記事では、Pythonの独学において難しいとされるポイントと、その解決策について詳しく解説していきます。
学習ロードマップの作成にお役立ていただければ幸いです。
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Python独学初心者が難しいと感じるポイント・その1
Pythonの独学初心者が挫折やすい「壁」を大きく2つに分類しました。
1つはPythonを支えるオブジェクト指向という概念そのもの、もう1つは文法・環境的なもの(特にライブラリの使い方)です。
本章では、まずオブジェクト指向について解説します。
独学初心者が難しいと感じる悩み1: オブジェクト指向の概念
Pythonはオブジェクト指向プログラミングを採用している言語の一つです。
オブジェクト指向という概念は、特に独学初心者にとって難易度が高いと感じられるポイントです。
入門付近で勉強に挫折してしまう第一の理由と言えるかもしれません。
オブジェクト指向におけるプログラミング
オブジェクト指向では、プログラムを小さな「部品」(オブジェクトと呼びます)に分けて考えます。
各部品が独自の機能(メソッド)とデータ(属性)を持つように設計されていて、プログラムは、それらの部品を組み合わせて作成されます。
オブジェクト指向の解説によく使われる、簡単な例えを紹介します。
自動車には、エンジン、タイヤ、ハンドルなどいろいろな部品が必要です。
これらの部品は、それぞれ独自の機能とデータを持っています。
エンジンには、燃料を燃やして動力を生み出す機能があり、自身の種類(ガソリンエンジン?ディーゼルエンジン?)、燃料の種類、残量などのデータが付随します。
タイヤは車を動かす機能があり、サイズ、空気圧、摩耗度などのデータが必要です。
そして、これらの部品が連携して一つの大きな自動車(プログラム)を形成する、というのがオブジェクト指向プログラミングの考え方となります。
オブジェクト指向を難しいと感じる理由は?
上記の話は、例え話として理解はできても、プログラム上に数字文字列として記述する2次元世界に置き換えることはそう簡単ではありません。
また、オブジェクト指向には他にも、クラス、継承、ポリモーフィズム(多態性)など、難解で抽象的な概念が多く含まれていて、これらに慣れるのも時間がかかります。
悩み1への対応: オブジェクト指向のとらえ方
先ほどの自動車の例は、部品と全体の関係、機能とデータの関係を対応させやすいので使いました。
今度は、プログラムを「書く」というイメージが湧きやすい例えに変えて解説します。
目の前に、犬とサルとキジがいるとします。
それぞれがオブジェクトです。
各オブジェクトは、固有の機能(メソッド)とデータを保有しています。
例えば犬のメソッドは、「吠える」「走る」「お手をする」「座る」「噛む」などです。
それぞれに必要なデータは「声の大きさ、質、口の開け方…」「初速度、定速になるタイミング、減速するタイミング…」などです。
サルとキジに関しても、どうぞ列挙してみてください。
さて、現実世界と異なるルールが1つあります。
これらのオブジェクトは自分で勝手には動かず、必ず私(桃太郎)の指示によって動くものとします。
そこで、以下のような指示を出します。
--------
犬に向かって
「左の前足を30cm上げてお手をせよ」
「時速5kmの速さであそこの電柱まで走れ」
サルに向かって
「1mその場でジャンプせよ」
キジに向かって
「あそこの電柱まで時速8kmの速さで飛んでいき、上で待機せよ」
--------
どうでしょうか。
これも簡単な例えに過ぎませんが、何となくプログラムっぽく見えませんか。
つまり、Pythonなどオブジェクト指向型のプログラミングでは、メソッドとデータを内包しているオブジェクトに対し、「この程度のデータでこのメソッドを使え」という指示の連続でプログラムが構成されていくのです。
従って、プログラマは、「使おうと思っている各オブジェクトが、どんなメソッドとどんなデータを使えるか」ということを把握している必要があります。
オブジェクト指向以前のプログラミングは、「お手のための一連の動作」「時速5kmで走る動作」を順番に記述するという作成の仕方でした。
オブジェクト指向型のプログラミングでは、そういった動作自体はあらかじめメソッドとして作られているため見えません。(ライブラリという大きな袋に入っています。)
よって、使い方を理解していなければならない、という話になるのです。
何となくのイメージがわけばOKですが、いかがだったでしょうか。
以上の解説で、あなたの理解が少しでも進めば嬉しいです。
Python独学初心者が難しいと感じるポイント・その2
Pythonの独学初心者が挫折しやすい「壁」を大きく2つに分類し、前章ではオブジェクト指向という概念を紹介しました。
本章では、もう1つの、文法・環境的な課題について解説します。
独学初心者が難しいと感じる悩み2:Pythonの文法・環境的な課題
Pythonは比較的習得が簡単で、おすすめのプログラミング言語とされていますが、それでも初心者が挫折やすいポイントがいくつか存在します。
ライブラリの使い方
ライブラリとは、特定の手続きや操作を効率よく行うためのプログラムの集合体です。
例えば、データ分析に使われるライブラリに、Pandasというのがあり、この中には、データの読み込み、加工、出力に関する多くのメソッド、関数、定数などが含まれています。
また、Webスクレイピング(Webページからデータを自動的に取得する技術)によく使われるライブラリとしては、Beautiful Soupがあります。
情報を効率よく取得してくれるライブラリです。
ところで、なぜ、ライブラリの使い方が難しいと初心者は感じるのでしょう?
その理由は以下の通りです。
- 多機能性:一つのライブラリ内に非常にたくさんのメソッドが存在し、似た機能を持つメソッドも多いため、どれを選べばよいのか判断が難しいということがあります。
- パラメータの複雑性:高度な機能を使う場合、多くの設定項目(パラメータ)があり、初心者にとっては、それらの適切な設定が難しい場合が多いです。
関数とメソッドの違い
関数とメソッドの違いは、特に初心者にとって混乱を招く要素の一つです。
関数はプログラム全体で使える手続きや操作をまとめたものですが、メソッドは特定のオブジェクト専用の操作です。
インデントによるブロックの形成
Pythonでは、他の多くのプログラミング言語(例:Java, C言語)と異なり、インデント(空白)でブロック(意味をもったコードのかたまり)を形成します。
これが初心者にとっては、「難しい」というよりも勘違いを招くのです。
特に、他のプログラミング言語の学習経験者にその傾向が強いように思います。
悩み2への対応
ライブラリのとらえ方
Pythonの勉強において、初心者がしばしば挫折する理由の一つに、ライブラリの使い方があります。
しかし、これは考え方の問題と言えるのではないかと思っています。
入門レベルにある多くの人が「すべてのライブラリと関数やメソッドを完璧に覚えなければならない」と考えがちですが、これは必要ありません。
完璧主義に陥ると、挫折しやすいのです。
Pythonの勉強をしていると、嫌でも同じようなコードを何度も書くわけで、その過程で、自然と必要な情報や使い方が頭に入ってきます。
それまでの間、困ったときにはWeb検索を活用しましょう。
次章で紹介するおすすめの学習用サイトやQ&Aサイト以外にも、Web上には分かりやすい解説サイトがたくさんあります。
「なぜ?」に対しては「その都度調べればいいや」という感じで、気楽に学習を進めるくらいがちょうどよいのです。
関数とメソッドの違い
この問題も、メソッドという耳慣れない要素を含むライブラリの存在が引き金になっています。
上で述べたライブラリの巨大さに抵抗感がなくなった頃、自然にメソッドの使い方にも慣れているはずです。
よく、「全体をしっかり把握してからでないと、個別のことが頭に入らない」という方がいらっしゃいますが、ライブラリの全体像を把握するのは不可能です。
とにかく目の前のもの(関数、メソッド)の使い方の違いを受容し、慣れ、扱える数を徐々に広げていくのが効率の良い勉強方法だと思います。
次章で、独学初心者向けの学習サイトを紹介しますが、例えば、その無料講座の中で紹介されたコードにあるメソッドと関数の使い方を、まず頭に叩き込みましょう。
勉強に王道はありません。
こつこつやるしかないのです。
インデントによるブロックの形成
インデントでブロックを表現することへの戸惑いも、慣れればどうということはありません。
インデント記法は私たちが作る文書構造と似ています。
以下は、講座の構成案を提示する文書の例ですが、同様のものを見たことがあるでしょう?
***
初心者向けプログラミング入門
おすすめ学習ロードマップ:初心者向けの学習方法を提示
1:基本的なプログラミング
2:ライブラリでデータ分析
学習サービス紹介:挫折しないための隔週サービス情報
1:プログラミング学院(Webサイト)
2:ITマガジン(メルマガ)
***
例えば、「おすすめ学習ロードマップ:初心者向け学習方法を提示」という文言の影響範囲(ブロック)は、「1. 基本的なプログラミング」及び「2. ライブラリでデータ分析」ですよね。
これと同じです。
何度もコードを書くうちに識別のミスも減り、正しいブロック記述ができるようになるでしょう。
独学初心者向け!無料のWeb教材とコミュニティを紹介
Pythonのおすすめ無料Web講座(入門レベル)
「無料」「日本語」「初心者向け」という学習コースを備えたWebサイトをご紹介します。
学習コースが充実しているサイトとしては「Udemy」が有名ですが、基本的には有料サービスですので、本稿の紹介からは外しています。
次の2つのWebサイトは、無料講座も豊富で独学初心者におすすめです。
Progate(プロゲート)
- ステップバイステップの学習しやすいレッスン構成と、ビジュアルでわかりやすいインターフェースを持ち、実際のコードを書く練習が中心です。
- 基本的な内容のコースは無料ですが、更に詳しいコースやアドバンスコースには有料オプションがあります。
Paiza(パイザ)
- プログラミングスキルのチェックや学習を目的としたサイトで、多数の問題セットが提供されています。
- 実際の業務や面接でのスキルチェックを模倣した問題が特徴で、ランキング機能や他のユーザーとの競技要素も持ったユニークなサービスです。
また、YouTube動画もおすすめです。
Pythonを解説した動画は多数UPされていて、独学初心者向けのものから中級・上級者向けのものまで、学習レベルや勉強の目的にあわせて選ぶことができます。
もちろん無料ですが、有料講座以上に動画編集のレべルが高く、かつ、十分に教育効果のあるものが多くて驚きです。
「難しい」「なぜ?」…勉強の悩みはここで解決!
独学でプログラミングを学習していくうちに、さまざまな疑問がわいてきます。
そんなときに便利なのが、コミュニティ、フォーラムなどの情報共有・意見交換ができるWebサイトです。
初心者にも利用しやすいおすすめの日本語サイトを2つご紹介しましょう。
teratail(テラテイル)
- 無料で利用できるQ&Aプラットフォームで、学習に役立ちます。
- 日常の業務や学習におけるプログラミングに関する疑問を投稿すると、現役エンジニアなどから回答やアドバイスを受け取ることができます。
- 新しい知識・技術やエラーメッセージに対する解決策を即座に求める際に利用されることが多いです。
QIITA(キータ)
- 現役エンジニア向けの知識共有プラットフォームです。
- 基本的な記事の閲覧や投稿は無料で、学習に役立つ内容のものが多いです。
- 日常の業務や学習の中で得た知識、テクニック、コードの一部などを記事として公開・共有することができます。
- タグ機能によって、特定の技術や言語に関する記事を検索することが容易です。
また、プログラミング言語やIT分野に特化したQ&Aサービスではありませんが、手軽なところでは、Yahoo知恵袋なども結構役に立ちますよ。
Python実践編:アプリ開発からデータ分析まで
実用的なアプリケーション例
Pythonは初心者にもおすすめのプログラミング言語であり、できることの範囲は非常に広いです。
本節では、Pythonで作成可能なアプリをいくつか紹介します。
ご自身の学習ロードマップ上に、以下のアプリ制作を組み込んでおくようおすすめします。
Webスクレイピング
- 難易度:入門レベル
- おすすめライブラリ:
- 説明:Webページから必要な情報を取得する技術です。
例えば、株価や天気予報のデータを自動で取得することができます。
コードが短く簡単なので、初心者でもすぐに結果を得られます。
自動化とスクリプティング
- 難易度:入門〜中級レベル
- おすすめライブラリ:Automate、Selenium
- 説明:煩雑な作業を自動化するスクリプトを作成します。
例えば、ファイルの整理や、定期的なレポート作成などです。
データ解析
- 難易度:中級レベル
- おすすめライブラリ:Pandas、Matplotlib
- 説明:CSVやExcel、データベースからデータを読み込み、分析や可視化を行います。
データ解析はビジネスでも研究でも非常に重要なスキルです。
基本的なプログラミングができれば、専門的な解析も行えます。
ゲーム開発
- 難易度:中級〜上級レベル
- おすすめライブラリ:Pygame
- 説明: 簡単な2Dゲームから、より複雑な3Dゲームまで作成が可能です。
ゲーム開発は、楽しみながらプログラミングスキルを向上させる、優れた学習方法と言えるでしょう。
データ分析を始める前に知っておくべき基礎知識とツール
データ分析は、今日の情報社会において大変有用なスキルであり、Pythonはその支援ツールを多く提供しています。
しかし、初心者の方は、データ分析を始める前に学ぶべき関連知識があります。
以下の内容も、学習ロードマップ上に適切に配置しておくとよいでしょう。
基本的な統計学
- 難易度:入門レベル
- 学ぶ内容:具体的には、平均、メジアン(中央値)、モード(最頻値)、分散・標準偏差、相関係数、基本的な確率論、ヒストグラムと散布図の読み方辺りまでは必須です。
これらの知識は、データが持つ基本的な特性や背景を理解し、分析する際の基盤と言えるでしょう。
データの取得方法
- 難易度:入門レベル
- 学ぶ内容:分析対象のデータをどうやって取得するかが最初のステップです。
データは多くの場合、API(アプリ連携)やWebスクレイピング、データベースから取得します。
APIではAPIキーというコードの取得方法、WebスクレイピングではWebページからデータを抽出する方法、データベースはSQLという言語の知識等がそれぞれ必要です。
データ分析の一般的な流れ
- 難易度::中級レベル
- 学ぶ内容:データの取得、前処理、分析、可視化、報告といった一連の流れを理解しましょう。
具体的なタスクに取り組む際、何から手をつければよいのか、どの段階で何を達成すべきかが見えやすくなります。
まとめ
Pythonの文法は、シンプルで初心者にも理解しやすいものですが、プログラミングスキルを独学で習得することは、そう簡単な話ではありません。
オブジェクト指向という概念やライブラリの使い方は、初心者にとっては難易度が高く挫折しやすい内容と言えるでしょう。
しかし、心配ご無用です。
今は学習者向けのWebサイトやコミュニティサイトがたくさん存在し、スキルを磨く支援をしてくれます。
特にコミュニティには、同様の悩みを抱えている学習者がたくさんいますし、親切・丁寧にアドバイスしてくれる現役エンジニアもいます。
「なぜ?」を放置せず、積極的に活用しましょう。
Pythonは多様な用途・分野で応用されているプログラミング言語です。
アプリ開発からデータ分析まで、学べば学ぶほどその可能性は広がります。
本記事が、あなたの学習の開始と継続に少しでも役立ちますなら幸いです。
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