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投稿日:2024年8月28日 | 更新日:2024年09月17日
今や海外でも嗜まれるようになった日本酒。
その美味しさからすっかり日本酒の虜になって、生活の楽しみのひとつになっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
今回は、そんな日本を代表する日本酒についてアカデミックなことから健康的な飲み方などの実用的なことまで学ぶことができる「SAKE EXPERT」を運用している一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション(JSA)理事長でマスター講師の近藤さんにご協力いただき、取材させていただきました。
スクールセレクトでは、様々な資格に関する役立つ情報を、有資格者の監修のもとご紹介しています。そのほかの資格や監修者一覧はこちらへどうぞ。
少しの工夫で日本酒の味わいが変わる?日本酒の楽しみ方
近藤さん、本日はよろしくお願いいたします!
始めに、改めて近藤さんのご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。
北陸放送というTBS系列の放送局でアナウンサーを6年間しておりました。
その当時、生放送や取材が終わったら毎日のようにスタッフの皆様と北陸の地酒を楽しみに出かけていましたので、すっかり日本酒の虜になりました。
日本酒を好きになったきっかけは大学生の頃にダブルスクールをしていたアナウンサースクールの先生がすごく日本酒が好きな方で、レッスンが終わると大学生を集めて飲み会を開催して、みんなの相談会などをしていました。
そして日本酒を飲む際に、手の凹みに粗塩を乗せて、それを舐めてから日本酒を飲むという粋な飲み方を先生に教えていただきました。
それがすごい衝撃で、粗塩を一舐めするだけで日本酒の味わいがふくよかになって、美味しくなるんです。
その後6年間働いて上京してきたのですが、アナウンサーの仕事もしながら、日本酒を飲む女性限定の会、ぽん女会を立ち上げたのが2009年です。
ぽん女会では、毎回、蔵元や杜氏をゲストにお迎えして、生の声をお届けしています。
さらに、様々な公益団体や海外ブランドとのコラボレーション企画も行ってきました。
日本酒の女性ファンを一人でも多く増やしたいという想いで、主宰を続けています。
一方でSAKE EXPERTの資格を取得後、SAKE EXPERTを育成する講師を7年くらいしております。
そしてこの度7月に理事長に就任させていただきました。
近藤様が日本酒を好きな気持ちが伝わってきました。
塩と日本酒の話がありましたが、少しの工夫で味は変わってくるものなんですか?
そうですね。どんな食事を合わせるかによって、JSAは5つのポイントで※ペアリングを決めています。
まずは同調。味の濃淡を合わせるという同調というものがあります。
2つ目はマスキングと言われているものです。
魚介系の臭みを消してうまみを増すことができるのが日本酒のワザとしてあるんですね。
3つ目が香りです。香りを合わせる。
例えば日本酒からマスクメロンのような香りがするとしたら、マスクメロンに生ハムを巻いたようなものを合わせて香りと香りを同調させるというポイントがあります。
4つ目はテクスチャー。
食感を合わせるというものですね。
例えば、少し葛をつかったとろみのある食にはとろみのあるにごり酒を合わせるというのが4つ目のポイント。
5つ目が温度ですね。
温かいおでんに冷酒よりも、暖かいおでんにぬる燗を合わせるとか。
そういった風にJSAでは5つのポイントでペアリングを決めております。
なぜかというとお酒の味わいの美味しさと、食の美味しさの関係がバランスの良い状態で快適に食を進めるためのメソッドをお伝えしております。
※ペアリング:お酒と相性の良い料理を組み合わせること。
SAKE EXPERTではお酒だけではなく、食とのバランスも学ぶことができるのですね!
そうなのですよ!
そのペアリングを完成させていくためには、やはりテイスティングは大切で、JSAではお酒を「熟成」「旨口」「爽快」「フルーティー」という4つのタイプでカテゴライズしています。
まず、日本酒の輪郭を知ることでお料理もペアリングも考えることができるのですよ。
他にも、歴史だったり、ラベルの読み方だったり、どういう味わいがあるのか、テイスティング方法があるのですが、それを知った上でペアリングというのを実践込で学べます!
実践込・・・!日本酒好きな方だったら、魅力的ですね。
日本酒を健康的に長く飲酒するためには?
日本酒を学ぶ上でお食事との相性について学ぶことは必要なのでしょうか。
そうですね。お酒単体で飲むのは健康的とは言えないですし、やはりお食事と楽しんでこそだと思うので。
その辺はお酒好きの方々も年齢が上がるにつれて健康に気を付けて飲まれているのではないでしょうか。
JSAではどうすれば健康的に長く飲酒をすることができるのかについての情報もお伝えしています。
たしかに、一般的に過度な飲酒は、 健康に悪いみたいなお話を聞きますね。
健康とお酒についてもう少し詳しく聞いてもよろしいでしょうか?
例えば、「やわらぎ水」と言って、お水を飲みながらお酒を飲むということが大切です。
JSAでは、やわらぎ水の効能や、提供する際の注意店などを、ロジカルにお伝えしています。なぜ、お水を飲むと身体に良いのかを、専門的に学んでいただきます。
今後は一生健康でお酒を飲む方法を会得する「操酒🄬アドバイザー」という資格認定を新たに始めます。
ためになって、面白そうな資格ですね!
そうですね。
30~40代を過ぎると、自分と向き合いながら健康的に飲むということを皆様知りたがります。
これからの飲酒業界全体に求められていることだと思って、JSAが先駆けてやっていこうと思っています。
「自分と向き合いながら健康的に飲む」ということはお酒を飲むことが好きな方の共通課題のように思えます。
すべてのお酒好きの方にSAKE EXPERTをおすすめしたいです!
SAKE EXPERTではどんなことが学べる?
冒頭でも少し触れておりましたが、SAKE EXPERTで学ぶ内容として、日本酒の歴史や、ペアリング方法など、日本酒について様々なことを学べるのが楽しそうですね!
はい、日本酒についてかなり網羅していますよ!
テキストは下記の通り、第1章から第13章、終章まであって、ページ数も約100ページあるんですよ。
1章 日本酒の歴史 |
2章 酒造法による日本酒の規定 |
3章 日本酒の原材料について |
4章 日本酒は人と微生物のコラボ作品 |
5章 日本酒ができるまで |
6章 ラベルを読む |
7章 日本酒の香りの成分 |
8章 日本酒の4タイプ分類法 |
9章 具体的なペアリング方法 |
10章 日本酒とつまみを科学する |
11章 メニュー構成について |
12章 真の「おもてなし」を考える |
13章 日本酒のサービス方法について |
終章 日本酒の健康効果とアルコールの弊害 |
現場の声も大事にセミナーも企画しています。
例えば蔵に行って中継を交えながら日本酒造りの工程を学べます。蔵の※杜氏と一緒にテイスティングをしたり、作っている想いを聞いたり、質問をしながらプロに答えていただきます。
※杜氏(とうじ)・・・日本酒製造の最高責任者
蔵の杜氏に話を聞ける貴重な機会ですね!
そうですね。※蔵元や杜氏などの生産者の方の生の声ってなによりも響くと思うんですね。
日本酒って歴史が古いので、伝統産業だと思うんです。
日本酒の業界で創業100年って珍しくなくて、300年、400年と続いている蔵もあります。
そういう歴史を背負いながらご先祖の方々がその地域の風、米、水、といったいろんな自然から造っていて、地方の作品をずっと継承して、その流れの中で今日本酒があると考えると、歴史というものが大事だと思うんですよね。
そんな中で日本酒はただの飲み物ではなく、作り手の思いも込められているし、日本の歴史も詰まっていますし、そしてなによりももちろん味が好きっていうのもありますけれども、お酒を飲んでいると蔵の方々の顔が浮かぶんですよね。
日本酒は、「※國酒(こくしゅ)」と言われていて、本格焼酎や泡盛も國酒として認められています。
ここ最近では和食が海外で注目を浴びて、日本酒の注目度が高まっている今の時代だからこそどんどん盛り上げて普及させていきたいという思いがありますね。
※蔵元・・・蔵を運営・経営する代表者。社長。
※國酒・・・日本を代表する国民的なお酒のこと。
日本酒ってそんなに奥が深いのですね。
「蔵の方のお話を聞きながら」っていうお話がありましたが、JSAさん主催の資格取得セミナーの中で蔵元さんへのインタビューを実施されるんですか?
いろいろなパターンがありまして、SAKE EXPERT資格試験の中に組み込まれているカリキュラムの1つとして、蔵から中継したり、オンラインでつないだりして他の方々と一緒にセミナーをするといったものもあります。
資格を取得された後も、資格を取得された方向けのセミナーを、蔵の方々をお招きして開催してきました。
蔵の哲学や日本酒の専門的なお話などを、日本醸造協会の先生や専門家たちをお招きして様々なセミナーをやってきました。
資格を取って終わりではなく、取得後もセミナーを通じて日本酒を常に体験し続けられるのですね!
資格取得はゴールというよりも、スタートではないでしょうか。
JSAでは、サケ・エキスパートやサケ・コンシェルジュの皆様のご活躍を、後押ししていきたいなと思っています。
SAKE EXPERTを育成するための講師のセミナーもあります。
SAKE EXPERTの次の資格が認定講師なのですが、認定講師の方はSAKE CONCIERGEという資格を授与することができるセミナーを開催できます。
そのあとマスター講師っていうのがあってマスター講師はSAKE EXPERTのセミナーを開催することができます。
SAKE CONCIERGEにならないとSAKE EXPERTは取れないのですか?
SAKE EXPERTから始めてもいいですし、SAKE CONCIERGEから初めてもいいです。
SAKE EXPERTは2日間に分けて8時間のセミナーを受講していただいてテストがあるんですけれども、SAKE CONCIERGEはその日にセミナーを受けていただければ合格です。
SAKE CONCIERGEはSAKE EXPERTの取得きっかけになる感じで、カジュアルに日本酒を知りたい方向けの資格です。
日本酒にはまりたての人でも受けやすいのがSAKE CONCIERGE、もうちょっと極めたいなって方がSAKE EXPERTといったイメージですかね?
そうですね。でも初心者の方もSAKE EXPERT受けている方もいらっしゃいますよ。
SAKE EXPERTとSAKE CONCIERGEでは受講条件が特に定められているわけではないのですね。
ご自身の興味に応じて選んでいただけるのが気軽で良いですね!
人気の分野は「ペアリング」と「健康」
実際に取り扱っている分野はたくさんあったと思うのですが、どの講座の反応が一番良いですか?
ペアリングと健康!!
冒頭でペアリングの5つのポイントをお伝えしましたが、特に反響が大きいです。
実際にペアリングのワークを実施するのですが、そこでワインとの比較などを通して自分の舌で感じた実感で、ロジカルに覚えるというところが、皆様の反応がすごく良いです。
健康のところも、「知らなかった」という方が多いです。
ここでは、まずアルコールの弊害を学ぶのですが、その弊害を知った上でどうすればいいのかというのを学びます。
皆様、弊害の可能性を前向きにとらえ、「それならばどうしていくか」ということを最後の感想発表の場で言ってくれますね。
感想を共有する場もあるのですね!
セミナーは計8時間で、2日間にわたって4時間ずつ開催されるのですが、ずっと講師が話しているわけではありません。
双方向のセミナーになるように皆様の声を大事にしながら講義を進めていきますので、最後に感想を伝えていただきます。
もちろん休憩もとりますが、皆様にも考えながら受講できるように心がけています。
たしかにこれだけの内容を計8時間で学ぶのならコミュニケーションがあった方が良いですよね!
SAKE EXPERT取得後の資格の活かし方
資格取得において、「資格をいかに活かしていくか」ということが大事だと思いますが、実際にJSAさんではどうでしょうか。
SAKE EXPERTを取得すると様々な分野で活躍できるようになります。
資格を取ってInstagramやFacebookのようなSNSの活動をし始めると、資格のおかげでいろんな方が集まってくださったというお話もききますし、飲食店の方々であれば、JSAが提唱している、お酒の4タイプの図をメニューに反映させた事例もあります。
あとはライセンスの賞状があるのですが、台湾のお店にSAKE EXPERTのライセンスを飾ってくださっています。
日本酒の資格を台湾人の店主は持っているんだということで日本酒ファンの方が集まってきてくれるそうです。
海外でもSAKE EXPERTという資格を活用していただき、嬉しいです。
資格そのものに価値があって、集客に役立っているっていう感じなんですね!
役立ててほしいです。
例えば酒屋の方も受けてくださっているので、現場で営業トークに活かしていただけるような、蔵で体験したエピソードや、蔵元・杜氏の言葉を伝えるようにしています。
JSAは今10年目を迎え、他との差別化って大事だなと思って。
ペアリングと健康、そして操酒🄬アドバイザー、自分の体験をみんなに活かせて貰えるように認定講師やマスター講師を務めてくださっている優秀な方々もいらっしゃいます。
JSAに尽力してくださっている方々とコミュニケーションを密に取って、受講者にきちんと届く、響く、忘れられない、取得したあとも関わりたいと思える熱い団体にしたいと思っています。
日本酒に熱意を持っている方が集まる協会なのですね・・・!
SAKE EXPERTの海外での活躍について
SAKE EXPERTの方々は海外にもいらっしゃるのですね!
そうですね。
海外と日本にいろんな理事たちがいて、これまでもJSAを盛り上げてくださったのですが、新しい理事の方々も加わって、10周年20周年とコツコツやっていければなと思います。
今はリモートで仕事ができるご時世にも関わらず、あえて海外にも支部を置いて活動されている理由を教えていただきたいです。
現地にいる方々の講師に活躍していただかないとですよね。
例えば、じゃあイタリアとブラジルと台湾とタイに支部があるんですけれども、現地で日本酒に関わっている講師の方が活動される方がいいと思うんです。
ただ私も支部に行って視察して、皆様との情報交換は大事だと思っています。
その国にそれぞれ支部があることも差別化ポイントなので、ここは大事にしていきたいと思っています。
たしかに海外支部があるっていうところもすごい差別化ポイントだと思います。
やはり国によって違いはありますか?
ありますよ。
例えば台湾ですと、試飲の種類や量を多くしているんですって。
日本だと4タイプの試飲で資格試験するのですが、何十種類、レストランでのペアリングやテイスティングを兼ねたセミナーにたくさんの方が集まるとおっしゃっていました。
今台湾では日本酒ブームのその先の日本酒講師ブームが起きているようです。
日本酒の資格をたくさんとってその中の1つにSAKE EXPERTがあるということを名刺に書いている方もいらっしゃいましたね。
イタリアの場合は講義をしていても講義を止められる、質問の嵐です(笑)日本だったら静かに聞いてくださると思いますが。
現地のソムリエさんや飲食店の方々を対象に定期的にセミナーを実施します。
日本からも定期的に講師を派遣して本部のセミナーとして開催するものもありますし、普段は現地の日本人講師が実施しています。
グローバル!やっぱり国によって違うのですね!
さらに広げるため、邁進しています。
時代は変化していますので、これまでのJSAを受け継いだ上で進化していけるように頑張ります。
かつては、日本酒は若い時に宴会で酔うために飲むもの、悪酔いするものというイメージを持っている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
そのようなイメージも払拭していける日本酒の普及方法を、時代を読みながら開拓していけたらと思います。
日本酒から時代の流れを聞けるとは思いませんでした!
SAKE EXPERTの今後の展望
最後に、日本酒の良さを広めていくために今後どういったことをやっていきたいか、何に注力したいかを教えていただきたいです。
操酒🄬アドバイザーと健康分野とペアリング分野に特化するというところですね。
私達の「日本酒を國酒から、国際酒へ」という理念がしっかりあるので、国内はもちろんですけれども、国際化している中で日本酒を広めていくことに重きを置いております。
SAKE EXPERTそのものを増やすためには講師陣の育成が大事だと思っているので、講師陣の研修やブラッシュアップの機会を強化していきたいと思っています。
それから、なるべく海外の視察を増やしたいです。
公式ホームページとFacebookがあるのですが、現地で見たこと聞いたことの発信を活性化させなきゃなと思っております。
私自身、マイナビ新書さんの「人生を豊かにしたい人のための日本酒」という著書があります。
そうした執筆分野で活躍できる講師も増やしたいですし、イベントを主催したり、トークゲストに呼ばれるようになったりといった機会で優秀な講師の方々がSAKE EXPERTというものを語れる機会を増やしていくといったような、コツコツと細かいところを詰めていきたいなと思っています。
これからSAKE EXPERTと操酒🄬アドバイザーも普及させていきたいです。
そこはみなさんの理解を得ながら健康効果を伝えていきたいです。
時代の変化に基づいて日本酒の良さを着実に広めていっていらっしゃるのですね!
SAKE EXPERTについてよくわかりました。
近藤さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
※「操酒🄬」は商標登録です。