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投稿日:2022年3月15日 | 更新日:2024年06月14日
公認会計士試験の受験を検討している人は、まずどのような科目があり、どのような試験内容があるのか気になるでしょう。
本記事では、公認会計士試験の各科目の特徴や勉強時間について解説します。
また、論文式試験の選択科目を選ぶポイントもわかります。
公認会計士とは?
公認会計士とは、監査・会計のスペシャリストです。
独占業務である監査を主な仕事とし、会計・税務・コンサルティングをおこなう場合もあります。
監査とは、企業の業務や財務状況について、法令と社内規定に沿って実行できているか、その正確性や妥当性を判断して報告することです。
国家資格である公認会計士になるためには、まず公認会計士試験に合格する必要があります。
試験は短答式試験と論文式試験の2段階です。
3年以上の実務経験を経て、終了考査に合格し承認されれば、公認会計士として働けるようになります。
公認会計士試験の日程
前述したとおり、公認会計士試験はまず短答式試験に合格する必要があるため、年2回おこなわれる短答式試験のどちらかを受験します。
短答式試験は毎年12月と5月にあり、論文式試験は年1回のみで8月下旬におこなわれます。
短答式試験を12月で合格するのか、5月で合格するのかで論文式試験の勉強スケジュールが変わってくるでしょう。そのため計画的な勉強が必須です。
短答式試験は一度合格すると、2年間は免除されます。
免除になれば短答式試験を受ける必要なく、2回論文式試験を受けるチャンスがあるため、1年かけて論文式試験のみ勉強可能です。
なお公認会計士試験は難関のため、一般的に2~3年かけて勉強すると言われています。
公認会計士試験の内容は大きく分けて2つ
公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階でおこなわれます。
ここでは、各試験の科目や合格率、必要な勉強時間を解説します。
短答式試験の科目
短答式試験は以下4科目で構成されています。
科目 | 試験時間 | 配点 |
財務会計論 | 120分 | 200点 |
管理会計論 | 60分 | 100点 |
監査論 | 60分 | 100点 |
企業法 | 60分 | 100点 |
すべてマークシート形式による択一式試験で、各科目の基本的な知識があるかどうかをみられます。
短答式試験の合格率は、2023年だと8.8%です。
基本的な知識と言われると簡単に聞こえるかもしれませんが、短答式試験の難易度は高いでしょう。
短答式試験のみだと、1,500時間程度の勉強が必要だとされています。
論文式試験の科目
短答式試験は、以下の必須4科目と選択科目で構成されています。
科目 | 試験時間 | 配点 |
会計学 | 300分 | 300点 |
監査論 | 120分 | 100点 |
企業法 | 120分 | 100点 |
租税法 | 120分 | 100点 |
選択科目 | 120分 |
論文式試験は短答式試験とは異なり、マークシート形式ではなく記述式に変わります。
また必須科目がひとつ増え、選択科目もひとつ追加されます。
論文式試験の合格率は、2023年だと36.8%です。
短答式試験から論文式試験までの全体の合格率は例年10%前後のため、計画的な勉強と科目ごとに適した勉強法がカギとなるでしょう。
論文式試験のみだと1,500時間程度の勉強が必要だとされており、短答式試験もあわせて約3,000~4,000時間です。
なお令和4年に金融庁から出された公認会計士・監査審査会の資料では、2年間かけて合計5,000時間の勉強が公認会計士試験の合格に必要だと記されています。
公認会計士 難易度の記事↓
公認会計士に必要な勉強は?短答式と論文式の必須項目を徹底解説
公認会計士試験の科目は、上記画像のとおり短答式試験と論文式試験どちらも出題される共通科目と、論文式試験のみで出題される選択科目にわかれます。
なお、短答式試験では、管理会計論単体で1科目とされていますが、論文式試験では財務会計論とあわせて「会計学」として扱われます。
各科目の試験内容や必要な勉強時間などをみていきましょう。
財務会計論
財務会計論は、簿記と財務諸表論の内容にわかれます。
簿記では主に計算方法や財務諸表の作成方法について学びます。
財務諸表論では、簿記で学んだ計算方法などの背景や理論が試験内容です。
つまり簿記と財務諸表論はまったく別の内容ではなく、関連する内容です。
簿記で形を学び、財務諸表論で理論を学び落とし込むと考えるとよいでしょう。
簿記と財務諸表論は、同じ内容を同時進行で勉強するのがおすすめです。
財務会計論の勉強時間は、短答式試験が900時間、論文式試験(会計学)では300時間必要と言われています。
公認会計士試験の科目のなかでも、最も勉強時間が必要となる科目とされています。
管理会計論
管理会計論は、原価計算と管理会計を学ぶ科目です。
原価計算では、公認会計士として必要な製品の原価の計算方法を中心に学びます。
管理会計には、利益管理、資金管理、戦略的マネジメントなどが含まれます。
そのため、経営者や企業の管理者に経営方針や企画案を提供したり、経営戦略が計画通り進んでいるかを分析したりなど、公認会計士の上流工程を学ぶ科目です。
管理会計論の短答式試験に必要な勉強時間は、500時間と言われています。
公認会計士試験のなかで、2番目に多いボリュームです。
監査論
監査論は、監査基準に関する本質を理解しているかどうかが問われる科目です。
監査基準に対する知識や制度に関する暗記力だけでなく、ケースに応じた思考力が重要になるため、勉強時間と結果が比例しないこともあります。
いかに覚えている範囲をミスなく解けるかが重要になるでしょう。
試験範囲は膨大なため、すべて覚えるのは不可能とされています。
出題頻度が高い問題を覚え、正確に解くことを重要視するとよいでしょう。
なお監査論の勉強時間は、短答式試験と論文式試験どちらも200時間と言われています。
予備校や通信講座では、監査論をカリキュラムの最後に持ってくる場合が多いです。
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企業法
企業法は主に企業を取り巻く法律を勉強する科目です。
具体的には、会社法、商法、金融商品取引法を学びます。
企業法は公認会計士試験のなかでも純粋な法律科目で、会社法がメインです。
企業法の勉強時間は、短答式試験が350時間、論文式試験が120時間必要とされています。
公認会計士試験の勉強時間の約15%にあたり、暗記が多い科目です。
正しく勉強すれば結果が出やすい科目でもあるため、暗記が得意な人は高得点を狙えるでしょう。
租税法
租税法は名前のとおり、税金について学ぶ科目です。
租税法は論文式試験のみで出題され、法人税法、所得税法、消費税法の3つが含まれます。
租税法のうち、計算問題が6~7割、記述問題が3~4割です。
計算問題のほうが比較的点数を稼ぎやすいですが、租税法ならではの小数点のルールや四捨五入のやり方などはイージーミスにつながりやすいため、注意してください。
記述問題は根拠を示したり、条文を引用したりなどの方法で解答するよう問われるため、出題範囲の租税法について十分理解を深める必要があります。
租税法の勉強時間は、500時間必要とされています。
試験範囲がかなり広いため、後回しにしすぎず早めに取り組み始めるとよいでしょう。
公認会計士の論文式試験の選択科目について徹底解説
論文式試験は前述した必須科目に加え、以下の選択科目から1つ選び受験します。
- 経営学
- 経済学
- 民法
- 統計学
まず合格することをゴールにし、どの科目が得意そうか見極めて選びましょう。
統計学
経営学は、選択科目のなかで最も選ばれる科目です。
大きくわけて、経営管理と財務管理の2つがあります。
経営管理では、経営方針やビジョンを決定・実行するための理論を学びます。
財務管理は、資金調達や事業投資の理論をはじめ、企業の財務活動に関する内容が中心です。
試験内容は、計算問題と理論問題があります。
計算問題では、難易度の高い数学知識は必要ありません。
分散や期待値などの計算問題や、一次関数の問題が中心で、それらを超える問題は出ないでしょう。
そのため、経営学は数学に自信がない人にもおすすめです。
ただし、本番の試験では試験委員の研究内容の問題も出題されるため、試験委員の研究分野も含めて広く浅く対策するとよいでしょう。
【選ぶうえでのポイント】
- 比較的勉強量が少ない
- 財務管理の分野では管理合計との類似性があり勉強しゃすい
- 試験委員が変わりやすいため試験問題も変わりやすく、情報収集が肝となる
経済学
経済学は、経済に関する理論的な知識が問われる科目です。
試験内容は、大きくわけてマクロ経済学とミクロ経済学の2つです。
ミクロ経済学では、企業や消費者それぞれの経済主体の行動原理を分析します。
マクロ経済学では、国全体や世界全体の経済活動の原理を分析します。
経済学は数学的知識が必要な科目で、とくにミクロ経済学は計算問題が多いです。
そのため理系の人に向いているでしょう。
ただし、経済学の勉強時間は500時間程度必要とされており、負担が大きいです。
またほかの科目との類似性も低いため、まず合格したい人にとって向いていない科目です。
反対に、公認会計士になったときの実用性を重視する人には向いているでしょう。
【選ぶうえでのポイント】
- 計算要素が多く高得点を狙いやすい
- 応用がきく要素を押さえて実用できれば暗記に頼らず学習できる
- ひとつ間違えると連鎖的に間違えて得点を逃す可能性もある
- 他の科目との類似性が低い
民法
民法は名前のとおり、民法に関する法律を学ぶ科目です。
以下のとおり、大きくわけて財産法と関連する特別法が出題されます。
- 財産法…総則、物件、債券
- 特別法…利息制限法、消費者契約法、PL法など
経営学や経済学とは異なり、数学的な要素はありません。
条文の理解が求められ、長文での解答が中心です。
事例をもとに出題されるため、典型的な事例の論点や理由づけを暗記し、常に条文を引きながら勉強するとよいです。
必須科目である企業法と似た内容も含まれているため、完全に新しい分野である経済学より学習しやすいでしょう。
ただし、民法は出題範囲が広く500時間程度の勉強時間が必要とされているため、法学部出身者や法律を学んだ経験のある人以外にはあまりおすすめできません。
【選ぶうえでのポイント】
- 必須科目の企業法との類似性があるため勉強しやすい
- 数学的な知識を使わないため数学が苦手な人に向いている
- 比較的多くの勉強量が日鵜用
- 競争が激しい可能性がある
統計学
統計学は計算問題がメインで、主に以下の基礎が問われます。
- 記述統計
- 確率
- 推測統計
- 相関・回帰分析
高度な数学の知識は問われませんが、民法は数学が苦手な人や数学的思考が弱い人にはおすすめできない科目です。
数学が得意な人にとっては、公式をしっかり覚え問題演習をきちんとおこなえば難しくないといえるでしょう。
金融庁がおこなった合格者への調査によると、選択科目のなかでも統計学は経済学についで「難易度が比較的低い」と回答した人が多いとわかっています。
また同調査によると、実務経験として監査法人等の職員で働いている人は、業務上、統計学が役立つと回答しています。
統計学の勉強時間は、250時間程度必要だとされており、他の選択科目と比べて少なめです。
【選ぶうえでのポイント】
- 比較的勉強量が少ない
- 難易度は比較的低い
- 数学が苦手な人には向かない
- 他の科目との類似性が低い
公認会計士の試験科目を免除にできる要件
公認会計士試験には、免除制度が存在します。
条件を満たしていれば規定より少ない科目で受験できるため、事前にチェックしておきましょう。
短答式試験科目の免除要件
【全科目免除】
- 大学等で商学・法律学関連の教授または推教授が3年居樹の人
- 商学・法律学関連における博士の学位を取得している人
- 高等試験本試験(司法科・行政科)の合格者
- 司法試験または旧司法試験第2次試験の合格者
【一部科目の免除】
・税理士資格の保有者
・簿記論および財務諸表論2科目で60%以上取得した人(財務会計論)
・会計専門職大学院における特定以上の科目数および修士の学位を持つ人(学位取得科目による) ・条件を満たす法人での会計または監査関連業務経験7年(財務会計論)
上記で並べたとおり、これらの条件を満たしていれば全科目免除または一部科目の免除が可能です。
ただし、条件ごとに申請に必要な書類が異なります。
より詳しい要件や必要書類は公認会計士・監査審査会の公式サイトをご覧ください。
論文式試験科目の免除要件
二次試験である論文式試験は、全科目免除はなく、一部の科目のみ免除が可能です。
免除要件は、以下のとおりです。
・大学等で商学・法律学関連の教授または准教授歴が3年以上の人(会計学・経営学)
・司法試験の合格者(企業法・民法)
より詳しい要件や必要書類は公認会計士・監査審査会の公式サイトをご覧ください
公認会計士試験は独学で合格できる?
実際、公認会計士を独学で合格した人はいます。
しかし、試験科目の内容からわかるとおり、公認会計試験は非常に難易度の高い国家資格です。
また合格率が例年10%前後であることから、独学の合格者は少ないとされています。
明確に公認会計士になりたい将来設計があるなら、専門の講師が教えてくれる予備校や通信講座がよいでしょう。
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公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階でおこなわれます。全科目は以下のとおりです。
短答式試験 | 論文式試験 |
財務会計論 | 会計学 |
管理会計論 | 会計学 |
監査論 | 監査論 |
企業法 | 企業法 |
租税法 | |
選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のいずれか1つ) |
公認会計士試験は全6科目、計算問題と記述問題どちらもあります。
科目によっては出題範囲が広く、膨大な勉強時間が必要です。
令和4年に出された金融庁の資料によると、2年間かけて5,000時間の勉強が必要だと記されています。
確実に合格したいのであれば、予備校や通信講座で専門の講師に教わるとよいでしょう。
公認会計士試験の受験を検討している人は、編集部おすすめの通信講座もぜひ参考にしてください。
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