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投稿日:2023年2月2日 | 更新日:2024年04月05日
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公認会計士の試験は、短答式と論文式に分かれており、短答式試験に合格しないと論文式試験に進むことができません。
短答式は年2回、12月と5月に実施され、このどちらかの試験に受かることが公認会計士試験の当面の目標となります。
今回は、その短答式試験について解説していきます!
公認会計士短答式試験について
公認会計士短答式試験とは?
試験科目は財務会計論、管理会計論、企業法、監査論の4つです。
公認会計士短答式試験の合格に必用な得点は全科目平均70%以上の獲得が目安になります。
「意外と低い?」と感じる人もいるかもしれませんが、問題の難易度が非常に高く、その中で平均70%以上の得点をとるのはかなり難しいです。
例えば、税理士試験では1科目ごとの受験となり、1科目ごとに合格していくスタイルのため勉強スケジュールがある程度たてやすいのですが、公認会計士試験だと4科目を一度に受けなければならないため、かなりのスケジュール調整能力が求められます。
1つの科目で高い成績を取ると”科目合格”という、翌年以降の試験でその科目が免除されるという制度もあるのですが、こちらはとても難易度が高いため、全科目での1発合格を狙った方がまだ現実的な方針だと言えます。
さらに、短答式試験には”足切り”制度があり、どれか1科目でも解答の正答率が40%未満になると自動的に不合格になってしまいます。
公認会計士短答式試験は毎年およそ1万人の受験者数がいますが、その中からおおむね千数百人が合格になり、短答式試験の合格率は7%~15%となっています。
この数字からも、非常に難易度の高い試験といえるでしょう。
公認会計士短答式試験の時期は?
会計士短答式試験は12月と5月の計2回あります。
例えば令和5年度試験は2022年12月と2023年5月に実施され、もう一つの公認会計士論文式試験は2023年8月に実施されます。
公認会計士論文式の合格発表が11月にあり、そこから就職活動をして12月に内定が出るというのが公認会計士試験合格者のスケジュールとなります。
■令和5年(2023年)試験日程
第Ⅰ回短答式試験
試験日:2022年12月11日
受験願書受付期間:2022年8月26日~9月9日
※インターネット出願は 2022年9月15日まで
第Ⅱ回短答式試験
試験日:2023年5月28日
受験願書受付期間:2023年2月6日~2月17日
※インターネット出願は 2023年2月27日まで
論文式試験
試験日:2023年8月18日~8月20日
■令和6年(2024年)試験日程
第Ⅰ回短答式試験
試験日:2023年12月10日
受験願書受付期間:2023年8月25日~9月8日
※インターネット出願は 2023年9月14日まで
第Ⅱ回短答式試験
試験日:2024年5月26日
受験願書受付期間:2024年2月上旬~2月中旬
※インターネット出願は 2024年2月下旬まで
論文式試験
試験日:2024年8月16日~8月18日
公認会計士試験合格に必要な勉強時間はどのくらい?
公認会計士試験合格にはおよそ3,000~5,000時間の勉強が必要と言われています。
勉強時間に大きな差がある理由として、1年に公認会計士短答式試験が2回しかないため、合格できなかった方は翌年再受験となり、その分の勉強時間が一気に増えるからです。
一般的には1日5時間以上の勉強を1.5年~2年ほどやって合格するイメージです。
とはいえ、公認会計士試験はがむしゃらに勉強すれば良いというわけではありません。
試験範囲は膨大であり、その全てを完璧に網羅しようとすれば、2年間1日5時間以上の勉強をしても全然時間は足りません。
そのため、科目ごとの重要度に軽重をつけ、重要な知識から優先的に取り組んでいくという姿勢が大切です。
学生の方は社会人の方よりも勉強に多くの時間がさけるため、1日10時間勉強している人もいます。
一方で社会人の方は平日にとれる勉強時間に限界がありますので、勉強の要点を上手く絞って勉強をするという工夫が必要です。
独学と予備校どちらがオススメ?
公認会計士の勉強には、独学と予備校に行って勉強することの2パターンがあります。
予備校の平均費用は70万程かかるため、独学で勉強しようとする人も一定数います。
個人的には相当自身の勉強能力に自信があるを人を除いて、独学はオススメしません。
独学で勉強した場合、合格までの勉強期間が1年以上伸びることを覚悟する必要があります。
独学はやめて、予備校に行って勉強することオススメします。
というのも、公認会計士試験は非常に試験範囲が広く、また細かい暗記も必要になります。
そのため、独学だとそもそも合格するための”正しい努力”の仕方がわからない危険性が高いです。
公認会計士の予備校ではそういった努力の仕方についても教えてくれますし、合格するためのノウハウやメソッドが豊富にあります。
予備校の効果的な利用方法とは?
予備校に通い、勉強でわからないところがあったら、こまめに講師の方に質問をしていくことをおススメします。
また、多くの予備校では公認会計士試験の模擬試験を数ヶ月に1度のスパンで実施しています。
自分の知識がどれくらい通用するのか確かめるというのもありますが、公認会計士試験は1科目2時間続けてやるといった過酷な試験であり、またものすごく緊張します。
そのため、模擬試験を他の受講生の方と一緒に実施し、公認会計士試験制度自体に慣れておくということも必要になってきます。
ただし、すでに社会人として働いている人の中には、通学の時間を中々取れない人もいると思います。大抵の予備校には通信講座も用意されておりますので、仕事で忙しい方は、通信講座で勉強することも手段の1つです。
通信講座ですと、録画してある講義をWeb上で視聴できるため自分のペースで勉強することができます。
通信講座を家で受け、模擬試験だけは校舎で受けるということもできますので柔軟に時間を管理して勉強をすることができます。
予備校の受講には決して安くないお金がかかりますが、公認会計士試験に合格してしまえば年収がグンと上がるため、十分モトが取れます。
おススメの予備校3選
公認会計士試験の予備校というのは複数あって、どれを選んだらいいのかわからない場合があると思います。
おススメの予備校を3つほどご紹介します。
1.CPA会計学院
合格者を多く輩出している予備校がCPA会計学院です。
カリキュラムを全て受講した方の公認会計士試験合格率は35%。(短答式から論文式試験までの合格者)
公認会計士試験自体の合格率(およそ10%)と比べるととても高い合格率をたたき出していることがわかります。
カリキュラムを無事終了した方は、およそ3倍の確率で合格できるということになります。
また、CPA会計学院は講師陣に非常に優秀な方が多くそろっており、加えて、CPA会計学院にはチューター制度というのがあり、前年に公認会計士試験に合格した人達が常駐し、生徒の質問対応をしてくれます。
これは、直近で合格した人達の新鮮な勉強ノウハウを教えてもらえるので、非常に有効な制度だといえます。
マイナス面としては、校舎は東京に3校、神奈川に1校、大阪に1校のため、地方の方には通学講座が受けにくというところです。
資料請求をするとパンフレットのPDFをもらうことができ、さらに無料の体験講義のURLもゲットできます。
自分に合っているコースがどれなのか、授業はどのような流れなのか気になる方はまずは資料請求をすることをお勧めします。
2.資格の大原
TACは、日本最大手の資格専門学校の1つです。
公認会計士の予備校で、大手となるのがCPA会計学院、資格の学校TAC、資格の大原という3校で、この3校で公認会計士合格者の7割以上を輩出しています。
TACは業界最大手の一角ということで、充実したカリキュラムや講師陣で勉強にのぞむことができます。また、各校舎には講師の方が質問対応をするために常駐していて、いつでも質問することができます。
さらに、用意しているテキストも非常に多く、公認会計士試験の試験範囲を徹底的にカバーしてくれます。全国に40校以上の校舎があるのも魅力です。
通信では実際の授業を録画したものをWebで見られるため、通常の講義と何ら変わらない授業を受けることができます。
講師の方への質問もWeb上でできるため、非常に便利です。
3.LEC東京リーガルマインド
コスパ面で一番オススメなのがこのLECです。
他の公認会計士試験予備校が70万円ほどかかる中、LECは50万程と、比較的安い料金で受講することができます。
また、LECは講師の質が高いという評判があります。安いからといって講師の質を心配する必要はありません。
こういった予備校では、公認会計士試験合格者の就職サポートも実施しています。
各校の就職サポートを調べてみるのもいいでしょう。
公認会計士短答式試験の勉強方法は?
公認会計士短答式試験の科目
公認会計士短答式試験の受験において、財務会計論と管理会計論は計算と理論、両方の問題がでます。割合としては計算7:理論3ほどの割合です。
財務会計論と管理会計論はとにかく計算問題のボリュームが大きいのが特徴です。
財務会計論2時間、管理会計論と監査論合わせて2時間の試験となっており、長時間の試験となるのですが、全ての問題を解こうとすると、とても時間が足りません。
目安としては、計算問題をみた瞬間にその論点と大まかな解き方がわかるスピードを目指さないと合格は厳しいです。
企業法と監査論は理論のみで、全てマークシートでの記述となります。
企業法と監査論は解答時間が足りなくなることはありませんが、重箱の隅をつつくような細かい問題がでてきます。
理論問題も決してあなどれるものではありません。
計算科目の勉強方法
計算問題は財務会計論・管理会計論両方に言えることですが、アウトプットがとにかく大事です。
以下で、具体的な勉強方法やコツをお伝えしていきます。
1つの計算ミスが命取り!
電卓をたたき、仕訳や計算過程をノートに書きながら、必ず1問1問実際に解いていってください。
テキストを見て解法を覚えただけでできるような気がしてしまうものですが、これでは模試や本番で全く歯が立ちません。
計算問題の解答には、問題を解くことの速さと、計算をミスしない正確さを求められるからです。
財務会計論では貸借対照表や損益計算書の科目毎に数値を書き込んでいく大問が必ず1問は出ます。複数の計算を解いてやっと1問の解答になるような問題では、1つの計算ミスで正解を逃します。
それだけ計算問題には正確さが求められます。
仕分けを切れるようにすべし!
また、財務会計論では必ず論点ごとに仕訳を書けるようにしてください。
連結会計や企業結合といった、難解な論点が財務会計論では出題されます。そうした問題の理解を深める方法が、仕訳を実際に書くことです。
また、試験で大問が少なくとも1題は出題されますが、解きなれていないと、とにかく混乱しやすく、すぐに計算の間違いをしてしまいます。日頃のトレーニングがものを言うでしょう。
解法が瞬時に頭に浮かぶまで特訓!
また、管理会計論では工業簿記についての様々な計算方法が出題されます。
出題された問題に対して、どの計算方法が適用できるのか、と悩んでいると時間が足りなくなります。
問題を読みながら、○○の論点だからあの解き方だな、というのが機械的に頭に浮かんでくるようにしなければなりません。
このような状態になるためには、ひたすら問題を何度も解き続けるしかありません。
1つでもカバーする論点に穴があると、そこから大量失点をする可能性があるため、出題範囲になっている論点は、必ず解けるようになっておく必要があります。
解く問題の取捨選択が重要!
これは試験のテクニック的な話になるのですが、誰も解けないような難しい論点や、計算が複雑すぎて真面目に解いていると時間を大量に使う問題というのが出題されます。
そういった問題は解くのを後回しにして、まず解ける問題、簡単に思える問題を先に解いていくのがいいです。
公認会計士短答式試験はとにかく効率的に速く解くことを求められる試験なので、完璧主義で全問解こうとすると逆に上手くいきません。
解く問題の取捨選択が大事になってきます。
理論科目の勉強方法
理論科目は財務会計論、管理会計論、企業法、監査論と4科目に渡ります。
まず大前提として覚えていただきたいのは、理論は相当細かい論点も聞かれ、またひっかけ問題も多く存在します。
「なんとなくこの選択肢っぽい」というレベルで解答していると成績は全く伸びません。
マークシート式の○×試験なのですが、各選択肢に対して「これはこういう理由だから〇、これはこういう理由だから×」と1つ1つ明確に解答できるレベルまで理論を頭に入れることが必要です。
計算と並行して理論の学習を!
財務会計論に関しては、計算の勉強をしながら理論を並行してすすめていくのがオススメです。
今やっている計算はどういう理論に基づいているのか。そういった視点で勉強をすると計算の理解もより深まり、一石二鳥です。
「減価償却はなぜ行わないといけないのか、減損は?為替予約の処理というのはなぜするのか?」そういったなぜ?なぜ?という視点で勉強をしていくのがいいでしょう。
財務会計論の理論だけを勉強すると、概念的な話をされて、結局どういった位置づけでどこで使う理論なのだろうと混乱してきます。ですので、実際の簿記計算でどう理論が当てはまっているのかと常に確認して勉強するのがオススメです。
管理会計論に関しても、各計算方法とその理論、と当てはめて勉強しておくのがいいです。
企業法では、関連条文も覚えよう!
企業法に関しては、1つ条文が出てきたら、それに関連する条文も一緒に頭に入れましょう。
1つ1つ覚えていくよりも、例えば会社法の機関設計であれば取締役会や代表取締役といったものの条文について一緒に頭にいれておくことで効率よく勉強できます。
条文と判例、その解釈が問われるので、条文と特徴的な判例があればそれをセットで記載することが大切です。
また、公認会計士論文式試験では六法全書を持ちこみ、条文を検索しながらの記述解答をしていきます。ですので、どの条文が何条にあるのか、といったおさえ方をしておくと論文式までを見越した勉強ができます。
監査論では、基本項目の把握・暗記を!
次に監査論ですが、これを苦手とする受験生は多いです。やはり公認会計士は監査をする仕事なので、監査論の試験難易度が一番高くなります。
重箱の隅をつつくような問題が散見されます。しかし、そうした問題が多いからといって細かい論点にいきなり入っていくことはオススメしません。
まず他の受験生がおさえているであろう基本項目を必ず、他の受験生よりも徹底的に頭にいれることです。
本番であまりにも細かい論点がでてきた場合、誰も解けないことが往々にしてあるため、そうした問題は避け、確実に得点できる基本論点を確実に得点していくことが合格の近道です。
この”基本論点”というとよく誤解されがちなのですが、公認会計士の基本論点はものすごく範囲が広く、量も多いです。基本論点を全てカバーするだけでも大変な労力が求められます。
したがって、基本論点とはどこまでが該当するのかを把握し、それをもれなく頭に入れる、ということを意識してください。
公認会計士短答式試験を受けるにあたっての勉強習慣の作り方
ここでは公認会計士短答式試験を受けるにあたって身につけておくべき勉強習慣について解説します。
継続は力なり!
まず、必ず少しずつでいいので毎日勉強するようにしてください。
週末に5時間集中してやるより、平日5日で1時間ずつ勉強するほうが頭に入ります。
また、計算問題は1日解かないだけで計算力が鈍っていってしまうため、必ず毎日電卓をたたいて勉強してください。
早朝の勉強が効果的!
次に、勉強は徹夜では無く、早朝に起きてやることをオススメします。
朝起きて2時間は、脳のゴールデンタイムであり、学習効率があがります。
また、会計士試験は朝の9時台からスタートするため、朝に頭を使うことに慣れる、というのが大事になります。
合格のカギは、模試の見直し!
模試がきたら必ず解答を見つつ、見直しをしてください。
自分が勉強して足りない部分はどこなのか、どういった勉強方法ができていないかの確認になります。
模試の復習をすぐにすることで、勉強のPDCAサイクルを素早く回していくことができます。
まとめ
公認会計士短答式試験について記述させていただきました。
短答式試験はとにかく問われる試験範囲がものすごく広く、”基本論点”とされている箇所だけでも膨大な量になります。
そうした範囲を正確におさえて、実際の試験日から逆算して勉強するようにしましょう。
気を抜いて勉強をしていると、あっという間に試験当日がきてしまった、ということが本当に起こります。
公認会計士試験の難易度は年々上昇しています。
また、新しい会計基準や、既存の基準の改正がしょっちゅう入るため、会計士の勉強をする場合はなるべく1~2年の範囲内で一気に勉強してしまうのがオススメです。
あなたの資格取得を応援しています!