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投稿日:2023年4月6日 | 更新日:2024年09月25日
社会保険労務士(社労士)は人事労務管理分野唯一の国家資格者です。
働き方改革が推進され働き方が多様化する中で社労士の役割も高まってきています。
この記事では、社労士の年収や将来性、なり方について解説していきますので、気になる方はぜひ最後まで読んでみてください。
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社労士(社会保険労務士)とは
社労士の仕事内容
社労士の業務内容は大きく以下の三つに分けられます。
①1号業務:社保手続きの申請代行(独善業務)
②2号業務:労働社保関係法に基づく帳簿の整備(独占業務)
③3号業務:労務相談やコンサル
以下、順番に説明します。
1号業務:社保手続きの申請代行(独占業務)
社労士の1号業務は、社保手続きの申請代行業務で社労士の独占業務です。
会社が従業員を雇用すると、労働保険、社会保険に関する様々な届出が必要となり、それらの申請を行うことを指します。
具体的には、従業員の入退社に関する手続きや、毎年の労働保険料・社会保険料の算定に必要となる書類の届出を行います。
また、厚労省管轄の労働・雇用分野の助成金申請の代行も社労士の独占業務となっています。
独占業務とは、資格をもった人のみにしか行えない業務という意味です。
その名の通り、業務を有資格者のみが独占して行えるため、景気に左右されにくく、安定した収入を得やすいことがポイントです。
医師や弁護士にもこの「独占業務」がありますね。
2号業務:労働社保関係法に基づく帳簿の整備(独占業務)
社労士の2号業務は、労働社保関係法に基づく帳簿の整備です。
従業員を雇用する事業主に対しては、労務管理上で作成が義務付けられている帳簿があります。
労働者名簿、労働条件通知書や出勤簿、賃金台帳、有給管理簿、就業規則といった労務管理を適正に行う上で欠かせない帳簿の整備を行うことも社労士の独占業務となっています。
労働条件通知書や賃金台帳、就業規則の整備については、特に労務トラブルを防止する観点からも重要性が高い業務です。
3号業務:労務相談やコンサル
社労士の3号業務は、労務相談やコンサルです。1,2号業務と異なり社労士の独占業務ではありません。
労務相談やコンサルの例としては、メンタルヘルス、ハラスメント対策のアドバイスや、労働生産性向上のコンサルなどがあげられます。
働き方改革が進み働き方が多様化する中で、この3号業務の重要性は高まっていると言えます。
社労士(社会保険労務士)の年収
ここからは社労士の年収について説明します。
社労士の年収は働き方や条件によって異なります。
独立か勤務かによる年収の違い
社労士の年収は、独立開業する場合と勤務社労士として働く場合では異なります。
開業社労士は全体の約8割となっています。
大阪大学の調査によると、独立社労士の年収の中央値は400万円以上500万円未満となっています。
なお、300万円未満が26.3%、1000万円以上が13.5%となっており、独立開業している社労士には年収のばらつきが見られることが分かります。
一方で、勤務社労士の年収の中央値は600万円以上700万円未満となっており、独立社労士と比べて高くなっています。
さらに、勤務社労士全体の55.6%が400万円以上800万円未満となっており、年収のばらつきが少ないのが特長です。
(専門士業の『専門性』形成のモデル構築:社会保険労務士を手がかりとして)
性別による年収の違い
次に、性別による社労士の年収の違いについて説明します。
令和元年賃金構造基本統計調査の結果を見てみると、男性社労士の平均年収が483.7万円に対して女性社労士の平均年収は415.7万円となっており、男女間の年収の差は小さいことが分かっています。
社労士試験の合格者の約35%は女性であり、社労士資格は女性にも人気のある資格です。
キャリアアップや年収アップを目指したい女性にもおすすめと言えるでしょう。
年齢による年収の違い
次に年齢による年収の違いについて説明します。
令和元年賃金構造基本統計調査を見てみると、もっとも年収が高いのは60歳から64歳で、次に年収が高いのが30~34歳となっています。
従って、年齢による年収の違いへの大きな影響は見られず、若い世代であっても高所得を目指すことが可能と言えるでしょう。
地域による年収の違い
次に地域による社労士の年収の違いについて説明します。
厚労省の地域別の男性勤務社労士の年収を調査した結果を見てみると、地方に比べ都市部の方が収入が高くなる傾向がみられました。
これは、都市部の方が企業数も多く社労士の需要も高くなるためと考えられます。
しかし、電子申請やオンラインミーティングの活用により地方の事務所でも都市部の企業の
業務を行うことが可能となりました。地方であれば事務所運営コストを抑えられるため、都会と比べ報酬を安く設定することも可能です。
今後は地域による年収の違いにも変化がみられる可能性があります。
独立開業と勤務社労士のメリット・デメリット
ここからは独立開業をする場合と、勤務社労士として働く場合の年収におけるメリット・デメリットについて紹介します。
独立開業のメリット
独立開業のメリットは高所得を目指せるという点です。
社労士は顧問契約数が増加すれば安定して高収入を目指すことが可能です。
開業して間もなく、顧問先が少ない状態であっても、助成金申請代行など社労士事務所でもサービス提供を行っている事務所が少ない業務であれば仕事の受注がしやすくなります。
開業してから3年は食べていけないと言われることもある社労士ですが、それは顧問報酬だけで食べていけるようになるには時間がかかるという意味です。
スポットでの助成金申請代行等であれば、営業もしやすく、年収アップも目指せます。
独立開業のデメリット
独立開業のデメリットは、営業ができないと収入を得られないという点です。
社労士として提供できるスキルがあったとしてもお客様にサービス内容を伝えることができなければサービスを提供することはできません。
開業当初は自分の強みが分からないといったケースも多く、営業で苦戦することも少なくありません。
顧問契約という性質上、開業年数が長くなるにつれて年収は上がる傾向があります。
逆に開業当初で顧問先が少ない場合は安定した収入が得られないという点がデメリットと言えるでしょう。
勤務社労士のメリット
勤務社労士のメリットは、収入が安定しているという点です。
年収の中央値で比較すると勤務社労士の方が開業社労士よりも高くなっています。
社労士資格は転職やキャリアアップにも有利になります。
社労士として独立開業するためには、相当の覚悟が必要となるので、安定して働き続けながらキャリアアップを目指したいという場合は勤務社労士として働くのがおすすめです。
勤務社労士のデメリット
勤務社労士のデメリットは、仕事を選べないという点です。
会社に雇用されて働く場合は、異動などにより希望の部署とは違う部署に配属される可能性もあります。
また、年収についても、稼ぎたい年収に合わせて働き方を選択するというのは簡単ではありません。
独立開業であれば、どのような業務を行っていくのか、いくらの年収を目指すかは自分で設定することが可能です。
働き方の選択肢が少ないというのが勤務社労士のデメリットと言えます。
社労士(社会保険労務士)の年収を上げる方法
ここからは社労士として働きながら年収を上げる方法について紹介します。
年収を上げるポイントには、以下の3つがあります。
①専門分野・得意分野をつくる
②紹介されやすい環境をつくる
③助成金申請を受注する
以下、順番に説明します。
①専門分野・得意分野をつくる
安定して年収を上げるためには顧問先を増やす必要があります。
顧問先を獲得するためには、専門分野・得意分野を作ることが重要です。
過去に働いていた業種や身に着けたスキルがある場合は強みになる可能性があります。
自分の強みは何なのか、どのような業種の事業主様と一緒に仕事をしたいのかといったことを考えると自分の強みがイメージしやすくなるでしょう。
②紹介されやすい環境をつくる
年収を上げていくためには、紹介されやすい環境を作ることも重要です。
名刺には、できることをなんでも書きたくなってしまいますが、たくさんあると内容がぼやけてしまいます。
「〇〇専門社労士」「〇〇のことならお任せください!」といったように一言でキャッチフレーズを作れるのが理想です。
③助成金申請を受注する
顧問先の獲得や営業に苦戦している場合は、助成金申請の代行を行うのもおすすめです。
助成金申請代行業務は需要に対してサービスを提供している社労士事務所が少ないのが現状です。
積極的な営業を継続すれば必ず受注につながります。
なるべく早く年収を上げたい、顧客様との接点を作りたいという場合にも助成金申請サービスの提供はおすすめです。
社労士(社会保険労務士)の将来性
AIの技術が進む中、社労士の仕事にどのような影響が出るのか不安に感じる方もいるでしょう。
ここからは社労士の将来性について紹介します。
社労士の資格だけでは食べていけない?
社労士の資格だけでは食べていけないとダブルライセンスを目指す方も少なくありません。
社労士の資格だけで食べていくことは難しいのでしょうか?
実際は、社労士の資格だけで安定した収入を得ている方はたくさんいらっしゃいます。
社労士は顧問契約というサービス提供方法が大きな強みです。
顧問契約では、毎月定額を継続して得られるため顧問数が増えると安定した収入を得ることが可能です。
顧問契約を獲得していくためには、強みを伝えることが重要ですが、独立当初は何が強みなのかが分からないことも多いでしょう。
ダブルライセンスも一つの強みと考えられますし、独立前に身に着けた経験やスキルも強みになる可能性が高いです。
また、助成金の申請代行は需要の対してサービス提供を行っている事務所が少ないためブルーオーシャンと言えます。
社労士の資格だけでも、自分の強みを作っていくことで社労士として食べていくことは十分に可能です。
社労士の需要は減っている?
AI技術の進歩により社労士の需要は減っているのではないかという疑問をもっている方も多いでしょう。
ここ数年間で社労士の業務は大きく変化しています。
以前は紙での申請が主流でしたが、現在は電子申請でインターネットさえ使えればいつでもどこでも申請が可能となっています。
都会の顧問先の業務を地域で受注し対応することも可能となっています。
社労士事務所では電子申請が主流となっていますが、中小企業では紙での申請を行っており非効率な業務を行っている事業所も少なくありません。
勤怠管理システムの導入や給与計算ソフトの導入といった労務管理業務の効率化のサポートの需要も増えています。
また、メンタルヘルスやハラスメント対策に頭を悩まされている企業も少なくありません。
社労士の業務範囲は広く、AIによってすぐに代替されてしまうというものではなく、労務管理上の会社の悩みが存在する限り社労士への需要は残ると言えるでしょう。
社労士への需要は減っているのではなく求められている内容が変化していると考えるとよいでしょう。
不況時は助成金活用やコンサルの需要が高まる
社労士の業務は不況時に強いという特長があります。
コロナ禍の影響で多くの企業が大打撃を受ける中でも、大忙しの状況が続いていたという社労士事務所も多いでしょう。
その大きな理由の一つは、不況時や緊急事態が発生した場合には、国からの助成金が拡充されるという点です。
コロナ禍での休業に対しても雇用調整助成金の特例が拡充され、相談役としての社労士に注目が集まりました。
不況時や緊急時にも仕事が減りづらいというのは、経営上のメリットが大きいと言えるでしょう。
社労士(社会保険労務士)になる方法
ここからは、社労士になる方法について説明します。
社労士の試験概要
始めに社労士の試験の概要について説明します。
試験日 | 毎年一回、8月の第4日曜日 |
受験資格 | 以下3つの内、いずれかを満たすこと。 ①学歴要件 ②実務経験要件 ③厚労省が定めた国家資格を取得 ※詳細は、全国社会保険労務士連合会ホームページを確認 |
試験内容 | ①労働基準法 ②労働安全衛生法 ③労働者災害補償保険法 ④雇用保険法 ⑤労働保険の保険料の徴収等に関する法律 ⑥労務管理その他の労働に関する一般常識 ⑦健康保険法 ⑧厚生年金保険法 ⑨国民年金法 ⑩社会保険に関する一般常識 |
試験形式 | 選択式試験:40問/択一式試験70問 |
試験時間 | 10:30~11:50(80分) 選択式試験 13:30~16:50(210分) 択一式試験 |
受験料 | 15000円 |
受験手続き | 例年4月以降に受験案内開始、 例年5月末ごろまでに受験申込 |
合格発表 | 例年は11月上旬/令和4年度は10月5日 |
社労士試験の難易度
ここからは社労士試験の難易度について説明します。
社労士試験の合格率は約6%から7%、社労士試験に合格するために必要とされる勉強時間は800時間から1000時間と言われています。
社労士試験の合格率は一ケタ台となっており、試験の難易度は高いと言えるでしょう。
社労士に必要な勉強時間
社労士試験に短期間で合格するポイントの一つ目は、勉強時間の確保です。
社労士試験に合格するためには約1,000時間が必要だと言われています。
1000時間の勉強時間を確保するためには、1日3時間勉強するとしても1年間が必要です。
まずは、合格するために必要となる勉強時間をどのように確保するのかを考えましょう。
まとめ
この記事では、社労士の年収について、働き方による年収の違いや年収を上げるためのポイントについて紹介しました。
「社労士では食っていけない」「社労士で食っていけるようになるには3年はかかる」といった言葉を聞くこともありますが、営業方法を工夫すれば短期間で高所得を目指すことも十分に可能です。
今回紹介させていただいた内容を参考にしていただけると幸いです。
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