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投稿日:2024年8月2日 | 更新日:2024年08月02日
司法書士と行政書士は、法律関連の職業として重要な役割を果たしますが、それぞれ違う資格・職業です。
司法書士と行政書士は取り扱う業務範囲が重複している部分もあることから、混同してしまっている方も多いでしょう。
この記事では、行政書士と司法書士の違いを明確にし、それぞれの資格取得の難易度を解説します。
両方の資格を持つダブルライセンスのメリットについても詳しく解説します。
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司法書士と行政書士の基本的な役割
司法書士と行政書士はどちらも法律系国家資格であることや、業務内容が重複している部分があることで混同されがちな資格・職業です。
ここでは、それぞれの基本的な役割を確認しましょう。
司法書士の役割
司法書士は、法律の知識を備えた身近な法律家。司法書士の独占業務は登記と呼ばれる業務です。
登記とは、重要な権利や義務などを社会に対して示すために行う法制度です。
登記には、不動産登記・商業登記・法人登記をはじめ、さまざまな種類があり、権利を示す対象によって区別されています。
たとえば、「この不動産は自分のもの」と主張するためには、自分の名義で不動産登記を行うことが必要です。
それにより、所有権が公的に認められることになります。
登記のほかに、離婚協議書や相続関係の書類、遺言書の作成代行などを行うことができます。
相続による不動産の所有権の名義変更といった、身近な法的場面でも役割を担っているのが司法書士です。
また、訴訟手続きにおいても、法廷での文書作成や証拠の収集といった重要な役割を担っています。
そして司法書士のうち、特別な研修を受けると認定司法書士の資格を取得することができます。
認定司法書士になると、さらに業務の幅が広がり、請求額が140万円以下の民事裁判で、弁護士同様の業務を行うことができます。
司法書士についてはこちらの記事でさらに詳しくまとめています。
相続登記の義務化について
2024年4月から、これまで任意とされていた相続登記が義務化されることが決定しています。
理由としては、所有者が亡くなったまま相続登記されず所有者不明土地が全国的に増加していることが挙げられます。
相続登記されず所有者不明の土地が増えたことで、周辺の環境悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずるなど、社会問題となっています。
相続登記が義務化されることからも、登記業務を独占業務としている司法書士の需要は高まることが予想されます。
行政書士の役割
行政書士は街の法律家とも呼ばれ、身に着けた法律知識を活かして幅広い業務を扱うことができます。
行政書士の独占業務は「官公署に提出する書類の作成」とされています。離婚協議書や相続関係の書類、遺言書の作成代行といった書類作成は行政書士にしか行えないと誤認されがちですが、司法書士にも行うことができます。
行政書士の独占業務は官公署に提出する書類の作成に限定されているものの、登記後の許可申請や権利義務の書類作成など、幅広く対応できる知識とスキルを備えています。
そのため、行政書士会では無料相談会を実施していることも多く、悪徳商法による契約トラブルなどの身近なトラブルから、事故・事件に遭った際の刑事手続きまで幅広く受け付けてもらえる場合がほとんどです。
ビザの取得や更新、年金や社会保障の申請、企業の許可申請なども行政書士が行える業務です。
行政書士についてはこちらの記事でさらに詳しくまとめています。
司法書士と行政書士の違い
司法書士と行政書士の役割を知ったあとは、業務内容・平均年収などから、それぞれ具体的に何が異なるのかを比べてみましょう。
また、同じく法律系国家資格であり三大国家資格の弁護士との違いについても解説します。
業務内容の違い
司法書士の業務内容・できること
- 登記業務(独占業務)
- 相続関連
- 会社設立関連
- 契約書類作成
- 140万円以下かつ、簡易裁判所で行われる民事事件における法律相談・依頼者の代理人
行政書士の業務内容・できること
- 官公署に提出する書類の作成(独占業務)
- 契約書類作成
- 行政手続きの代行
独占業務は対象の資格を所持していなければいけません。それぞれ司法書士法・行政書士法で定められています。
たとえば、行政書士は登記についての相談を受けることができません。たとえ無料だとしても違法行為とみなされます。
平均年収の違い
司法書士の平均年収
司法書士の平均年収は約681万円です。独立・開業も可能であり、中には年収1000万円以上稼ぐ方もいます。
その一方で、司法書士として年収を増やすには、法律に対する知識だけではなく、コミュニケーション能力などの営業力を磨く必要があります。
行政書士の平均年収
行政書士の平均年収は約600万円です。独立・開業も可能であり、中には年収1000万円以上稼ぐ方もいます。
司法書士の平均年収に比べると低いです。しかし、行政書士は個人の能力で年収に大きく差がつく職業ですので、やりがいのある仕事です。
司法書士と行政書士 弁護士との違い
司法書士と弁護士の違い
離婚や相続などで発生する「権利関係」の名義人を変更したりといった登記手続きを代行することができるのが司法書士です。
このとき、離婚や相続の際に裁判をする場合、司法書士では対応ができません。
認定司法書士でも、140万円以下かつ簡易裁判所で行われる民事事件しか扱えないため、これに該当しない案件はすべて弁護士しか扱えません。
行政書士と弁護士の違い
行政書士は司法書士・弁護士と異なり、代理人になれず、加害者や保険会社に対して示談交渉や調停、裁判を行うことはできません。
行政書士は関連書類作成などの行政手続きしか行えません。
司法書士と行政書士の試験難易度の違い
司法書士と行政書士として働くには、それぞれ難関の国家試験を合格する必要があります。
実際の仕事だけでなく、試験の合格率などを比較し難易度を知っておきましょう。
また、司法書士と行政書士はどちらも法律系国家資格です。試験範囲や試験内容といった違いについても解説します。
司法書士の試験概要
試験は毎年1回実施されており、筆記試験と口述試験に分かれています。
司法書士試験の試験概要についてはこちらの記事で詳しくまとめています。
行政書士の試験概要
試験は毎年1回実施されており、筆記試験のみ行われます。
行政書士試験の試験概要についてはこちらの記事で詳しくまとめています。
合格率と難易度
司法書士試験の合格率は、例年4~5%で推移しています。
行政書士試験の合格率は、例年10%前後で推移しています。
どちらの試験も難関で、非常に難易度の高いものですが、行政書士試験よりも司法書士試験の方が難しいとされています。
合格に必要な勉強時間
司法書士試験合格に必要な勉強時間は、およそ3000時間です。
行政書士試験合格に必要な勉強時間は、およそ800時間です。
あくまで目安ですので、事前の予備知識や勉強方法、勉強経験などによって大きく変わります。
ダブルライセンスとは?両方の資格をとるメリット
これまで、司法書士と行政書士の違いについて解説しました。
ここでは、ダブルライセンスという選択肢について解説します。
ダブルライセンスという選択肢
ダブルライセンスとは、2つ以上の資格を持つことを言います。
司法書士と行政書士、あるいはまた別の資格を比較し、どの資格を取るべきか迷っている方もいらっしゃることでしょう。
ダブルライセンスによって、できることが増えるので年収アップをはじめとしたメリットがあります。
一方で、勉強時間や費用が増えることや、まったく関連のない資格を取っても無駄になってしまう場合も。
以下では、ダブルライセンスによるメリットとデメリットをまとめたので、参考にしてみてください。
ダブルライセンスのメリット
- 業務範囲が広がる
- 年収が上がる
- 就職・転職・復職でさらに有利になる
- 独立・開業しやすくなる
- 試験範囲が重複している
- 司法書士+行政書士の相性が良い
試験範囲が重複している
司法書士試験と行政書士試験の試験範囲は、民法・憲法・商法の3科目が重複しています。そのため、両方を受験する場合の勉強時間を短縮することができます。
司法書士+行政書士の相性が良い
司法書士と行政書士の業務範囲は似ていますが、それぞれ独占業務があり、どちらか一方では案件を完結して行うことができません。
たとえば、農地転用の案件があったとしましょう。
農地転用とは、農地を太陽光発電所や住宅、駐車場といった農地を農地以外にすることです。
まずは農地転用手続きを取る必要がありますが、この手続きは行政書士法によって当事者か行政書士にしか行えません。
次に、農地転用許可が下りたら所有権転移登記や、そもそも農地が相続財産だった場合、最初に相続登記を行う必要があり、こうした登記業務は司法書士にしか行えません。
司法書士と行政書士のダブルライセンスをもっていれば、案件をノンストップで行える強みがあるため、年収アップや独立・開業しやすくなるのです。
ダブルライセンスのデメリット
- 受験勉強に時間がかかる
- 資格取得に費用がかかる
- 人によっては資格を十分に活用できない可能性がある
- 会費が2重で発生する
人によっては資格を十分に活用できない場合がある
司法書士・行政書士として働くうえで、基本的には企業や事務所が職場になります。
十分な経験を積んでから独立・開業をするのが一般的。
厳密には司法書士会・行政書士会に登録すればすぐに独立できますが、経験ゼロで仕事を請けられるほど甘い業界ではありません。
そのため、働く場所によっては司法書士・行政書士どちらか一方の業務に偏る場合があり、せっかくダブルライセンスをもっていても十分に活用できない場合も少なくありません。
会費が2重で発生する
司法書士・行政書士として働くには、それぞれ司法書士会・行政書士会に入会する必要があります。これは任意ではなく、必ず入会しなければなりません。
それぞれ、月々や年間を通して会費がかかっており、登録料・手数料を含めると何十万円とかかります。
そのため、受注できる仕事が少なければ、赤字になってしまうケースも少なくありません。特に、独立・開業当初はそのようなケースがよく見られます。
ダブルライセンス向き・相性の良い資格
- 土地家屋調査士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 宅建士
- 中小企業診断士
- ファイナンシャルプランナー
- 英語(TOEICなど)
土地家屋調査士
司法書士が不動産の所有権などについて登記を行えるのに対して、土地家屋調査士は実際に測量や現場調査を行い、建物登記を行います。
先に挙げた、農地転用についてもこの資格が必要です。地目変更登記という独占業務で、その土地の使い方を公的に示しておく必要があり、これをせずに農地を住宅や駐車場といった用途の転用はできません。この資格があると、さらに業務の幅を広げることができます。
司法書士・行政書士試験対策|おすすめの通信講座
最後におすすめの通信講座を紹介します。
司法書士、行政書士はともに試験の合格率が低く、難易度の高い難関試験として知られています。
そのため、独学で挑戦する方も多いですが、何年もかかってしまったり、途中で挫折してしまう場合が多いです。
ここでは、スキマ時間を活用でき、効率的に難関資格突破を目指せる通信講座を紹介します。
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まとめ|司法書士と行政書士の違い
この記事では、司法書士と行政書士の役割や違いについて解説しました。
「司法書士は登記業務」「行政書士は官公署への提出書類の作成」が独占業務でした。
どちらも法律系国家資格であり、独占業務以外はさほど大きな違いがありません。
幅広い業務を扱える職業ですが、できること・できないことがあるため混同しないようにしましょう。
また、試験の難易度についても詳しく説明しました。
どちらも難関試験であり、合格には多くの勉強時間が必要です。合格率の差からも行政書士よりも司法書士の方が難易度が高いと言えます。
試験の難易度で決めることも良いですが、将来的に何をしたいのか、どうなりたいのかを考慮したうえで資格取得に臨むことをおすすめします。
そして、可能であれば司法書士と行政書士の両方を取得するダブルライセンスについても視野に入れておきましょう。
ダブルライセンスを持っておくことで、より自身で扱える業務範囲が広がるため、独立・開業をはじめ、大幅な年収アップや将来のキャリアに大きく影響するでしょう。
司法書士と行政書士の違いや、ダブルライセンスのメリットについて理解を深めることができましたか?
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