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投稿日:2022年7月20日 | 更新日:2024年04月05日
中小企業診断士は「経営コンサルタント」の国家資格。
この資格を取れば、求められる人材になれるだけでなく、経営に関する幅広い知識も身に付けることができるという、メリットの多い資格です。
そんな中小企業診断士の試験を受けようと考えているけど…
- 試験科目は?どんな内容?
- どの科目が難しい?
- どこから勉強するべき?
- 科目免除制度って?
- 独学で合格できる?
そんな試験科目に関する疑問を抱えている方も多いはず!
今回はそんな方のために、中小企業診断士の試験科目について、様々な角度から解説していきたいと思います!
この記事で分かること
- 一次試験はマークシートによる選択式の試験で全7科目
- 二次試験との関連性 > 理解重視の科目 > 暗記重視の科目 の優先順位で勉強すべし
- 科目免除制度について
- 二次試験は筆記試験と口述試験
中小企業診断士試験の難易度
まずはじめに、中小企業診断士試験の難易度について見ていきたいと思います。
中小企業診断士の試験は、一般的に「難関」だといわれています。
司法試験や公認会計士の試験より難易度が低いとはいえ、決して簡単なものではありません。
どのくらい難しい試験なのか、詳しく見ていきましょう!
中小企業診断士試験は合格率約4%
難易度の指標として参考になるのは、まず合格率です。
中小企業診断士の合格率は過去9年間で平均約4%。
※中小企業診断士試験公式HPより
極めて難しいように見えますね。
ただ、中小企業診断士の試験は一次試験と二次試験があるので、この値はどちらも一発で合格した受験者の合格率となっています。
一次試験と二次試験の合格率は各20%前後。
決して高い値ではないですが、しっかりと勉強すれば合格できる試験だと、前向きにとらえていきましょう。
中小企業診断士合格までに必要な勉強時間
合格までに要する勉強時間は、人によって異なりますが、一般的に約1000時間~1500時間ほどといわれています。
例えば、公認会計士の試験に合格するのに必要な勉強時間が4000時間といわれているので、それと比べると易しい試験のように思えます。
ただ1日2~3時間の勉強を続けるとしたら、少なくとも1年以上の勉強が必要になるでしょう。
仕事をしながら勉強をするならば、かなりの努力と忍耐力・継続力が必要となってきます。
中小企業診断士試験の難易度 まとめ
このように、中小企業診断士の試験は決して「簡単」なものではありません。
「経営」に関する分野とはいえ、経営コンサルティング業務をするためには、問題点を分析・発見し、解決案を考えられる多面的な視野と知識が必要になってくるため、学ぶ範囲も幅広くなります。
そんな中小企業診断士の試験、心して受験していきたいところですね。
中小企業診断士の試験科目 概要
中小企業診断士の試験は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験に合格した人のみが二次試験を受けることができます。
一次試験:マークシートによる選択式の試験
二次試験:筆記試験と口述試験
一次試験 概要
試験科目
一次試験の試験科目は以下のようになっています。
試験科目 | 配点 | 試験時間 |
①経済学・経済政策 | 100点 | 60分 |
②財務・会計 | 100点 | 60分 |
③企業経営理論 | 100点 | 90分 |
④運営管理 | 100点 | 90分 |
⑤経営法務 | 100点 | 60分 |
⑥経営情報システム | 100点 | 60分 |
⑦中小企業経営・中小企業政策 | 100点 | 90分 |
合格基準
一次試験の合格基準は、試験を主催する一般社団法人 中小企業診断協会によると、
① 第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
② 科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
すなわち、どの科目においても6割以上の点数を獲得することができればよいということです。
二次試験 概要
筆記試験
二次試験(筆記試験)の試験科目は以下のようになっています。
試験科目 | 配点 | 試験時間 |
事例Ⅰ(組織・人事) | 100点 | 80分 |
事例Ⅱ(マーケティング・流通) | 100点 | 80分 |
事例Ⅲ(生産・技術) | 100点 | 80分 |
事例Ⅳ(財務・会計) | 100点 | 80分 |
口述試験
筆記試験の事例Ⅰ〜Ⅳから、ランダムに出題されます。
合格基準
二次試験の合格基準は、試験を主催する一般社団法人 中小企業診断協会によると、
第2次試験の合格基準は、筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がなく、口述試験における評定が60%以上であることを基準とします。
すなわち、二次試験も同様に、どの科目においても6割以上の点数を獲得することができればよいということです。
中小企業診断士の試験はこのようになっています。
この後の項目で、これらの試験科目について詳しく見ていきましょう!
【一次試験】試験科目
まず、中小企業診断士の一次試験について、試験内容・特徴まで、詳しく見ていきたいと思います。
一次試験の試験科目は全7科目です。
「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の順番に試験が行われます。
既に科目合格をしていたり、特定の資格を持っている人などは、「科目免除」をすることができます。
試験科目 | 配点 | 試験時間 |
①経済学・経済政策 | 100点 | 60分 |
②財務・会計 | 100点 | 60分 |
③企業経営理論 | 100点 | 90分 |
④運営管理 | 100点 | 90分 |
⑤経営法務 | 100点 | 60分 |
⑥経営情報システム | 100点 | 60分 |
⑦中小企業経営・中小企業政策 | 100点 | 90分 |
①経済学・経済政策
この科目では、経済活動と政策の原理、主にマクロ経済とミクロ経済に関する内容が出題されます。
マクロ経済とミクロ経済は内容が対照的で、以下のような違いがあります。
マクロ経済学とミクロ経済学
マクロ経済学:一国を単位とした経済活動(国民所得・投資・消費・貯蓄などの集計値)を分析
ミクロ経済学:一企業や一個人の経済活動(企業の生産活動や家計の消費活動など)を分析
つまり、中小企業診断士としての役割を果たすためには、これら大きく分けて2種類の経済環境の変化を把握し、企業活動に対する影響を検討することが必要になってくるということです。
この科目では、グラフが多く出てくるのが特徴です。
この分野に馴染みのある方、得意とする方にとっては問題ないかもしれませんが、そうでない人にとってはとっつきにくい科目となってしまうでしょう。
この科目の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
合格率は年度によって大きく異なりますが、だいたい20%前後だといえるでしょう。
数年に一度難易度が飛び抜けてあがることがあります。
難関科目となっているこの分野ですが、二次試験にこの科目は出題されないので、満点ではなく合格ラインである60点を目指して勉強していきましょう。
②財務・会計
財務・会計は、年度によっては合格率が10%を切る難しい科目です。
この科目では、企業経営の基本である財務・会計に関する知識が問われ、企業の現状把握や問題点の抽出を財務諸表等による経営分析から行う力がはかられます。
また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用した投資評価や、企業価値の算定等に関する知識も問われます。
この科目は計算問題が中心になり、電卓の持ち込みは禁止されています。
この科目の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
財務・会計は年度によって合格率に大きく幅があることが、お分かりいただけるでしょうか?
年度によっては合格率が10%を下回ってしまう難関科目ですが、二次試験「事例IV(財務・会計)」に対応しているため重要科目となっています。
業務経験等がない限りは最も受験者を苦しめる科目ではありますが、時間をかければ必ず実力がつき問題は解けるようになります。
応用力が求められることから、単なる暗記では対応が困難となります。
この科目は、簿記に関わってくる内容となるため、簿記を取得している人は有利になるでしょう。
③企業経営理論
この科目は、大きく分けると3つから構成されます。
いわゆる経営学の科目で、
- 経営戦略論
- 組織論
- マーケティング論
といった企業活動に欠かせない範囲の学習が中心です。
経営戦略論
企業を経営するうえで必ず知っておかなくてはならない企業戦略の基礎知識に関する問題が出題されます。
二次試験でも出題されるテーマなので、非常に重要な科目となっています。
組織論
少子高齢化に伴い、雇用すること自体難しい風潮がある中で、経営組織の運用や従業員のモチベーション維持の方法論など、企業における「人」に関わる部分が出題されます。
マーケティング論
中小企業にとっては、限りある資源の中で、いかに効率的な手段を用いて顧客を獲得していくかが問題です。
マーケティング論では、消費者の購買に関する心理的プロセスや市場調査など理論的に商品を売る仕組みについてが主題となります。
この科目の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
具体例から正誤を問うものや、適用方法を問う問題が多く出題される傾向があります。
二次試験の「事例I(組織)」、「事例II(マーケティング・流通)」にも対応している重要な科目ですが、経営コンサルタントの核となる科目であり、比較的勉強しやすい科目といえるでしょう。
④運営管理
中小企業の経営において重要な、工場や店舗における生産や販売にかかわる内容です。
また、 近年の情報通信技術の進展により情報システムを活用した効率的な事業運営に係るコンサルティングニーズも高まっている傾向にあります。
このため、生産に関わるオペレーションの管理や小売業・卸売業・サービス業のオペレーショ ンの管理に関する全般的な知識が問われます。
運営管理にはモノの作り方である「生産管理」と、モノの売り方である「店舗・販売管理」の2つがあります。
「生産管理」と「店舗・販売管理」
生産管理:製造業を中心とした企業向けの生産オペレーション、管理システムについて
店舗・販売管理:顧客のターゲット層を絞った店舗の作り方など
一次試験では一部の科目において他の資格等を保有することによる試験免除制度が設けられていますが、この科目に関しては科目免除制度が認められていません。(科目合格制度は有効)
ですので、何らかの資格保有者が有利となるような知識が問われるわけではないといえます。
この科目の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
この科目は、2次試験の「事例Ⅱ(マーケティング・流通)」、「事例Ⅲ(生産・技術)」に対応しているので、それなりの勉強時間を割くべき科目です。
しかし、比較的実生活の中でもイメージしやすい内容となっており、多くの人に親しみやすいものとなっています。
また基本的には、暗記中心の科目なので合格率も高めです。
適度な勉強時間のかけ方を心がけましょう。
⑤経営法務
民法・会社法・特許法などといった、創業及び企業経営等に対応する法律・権利関係の科目です。
創業者、中小企業経営者に助言を行う際に必要な、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識が問われます。
また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していることが求められます。
例年、出題が多いのが「会社法」と「特許法」や「商標法」などの知的財産権に関する法律で、全体の7~8割を占めます。
「民法」も出題がありますが、範囲が広い割にはあまり出題される量は多くありません。
この科目の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
この科目も、年度によって合格率にかなり開きがあります。
この科目の内容は、実際の現場では大変重要な知識・能力となりますが、突き詰めて勉強をしようと思うとキリがなく、かつ二次試験との関連性もないため、試験対策としてはある程度の割り切り対応が必要になります。
法律用語や法律の考え方に慣れていないと苦手意識を感じやすい科目かもしれませんが、法律用語に慣れるように定義をしっかり覚えること、60点以上を目指し効率よく勉強を進めることがポイントです。
⑥経営情報システム
この科目では、情報システムに関する基本的知識と、それらを経営に生かすためのスキルが問われます。
現代の経営では、情報システムの活用が必要不可欠なものとなっており、中小企業においてもIT化を進めることは国を挙げて推進されています。
企業の経営にアドバイスをする立場である中小企業診断士も、情報システムの基本的知識を持ち、それを活用したアドバイスを行う必要があるでしょう。
経営情報システムは「基礎的知識」と「経営情報管理」の2つの分野に分けられます。
「基礎的知識」と「経営情報管理」
基礎的知識:コンピュータのハードウェアの構造やソフトウェアの種類、データベースの構造、通信ネットワークに関する基礎技術といったテクニカル面での基礎知識
経営情報管理:情報システムの種類や内容、システム化のプロセスに関する技法、情報システムの運用管理にあたっての計画策定やリスク管理、情報システムの品質や価値の評価手法、アウトソーシングを絡めた外部資源の活用手法といった、マネジメント面において情報システムを活用する際の効果的手法
以上のような違いがあります。
この科目の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
この科目は経営法務同様、実務においてはとても大事な知識ではありますが、二次試験との関連性がないため、ある程度の割り切り対応が必要です。
未経験の方にはとっつきにくい科目であり合格率は低めですが、IT企業に勤めている人やこの分野に親しみのある人にとっては難易度は低く、高得点を狙いやすい科目となっています。
⑦中小企業経営・政策
中小企業診断士は、中小企業に対するコンサルタントとしての役割を期待されており、中小企業経営の特徴 を踏まえて、経営分析や経営戦略の策定等の診断・助言を行う必要があります。
そこで、企業経営の実態や各種統計等により、経済・産業における中小企業の役割や位置づけを理解するとともに、中小企業の経営特質や経営における大企業との相違を把握する必要があります。
また、創業や中小企業経営の診断・助言を行う際には、国や地方自治体等が講じている各種の政策を、成長ステージや経営課題に合わせて適切に活用することが必要です。
このため、中小企業の経営や中小企業政策全般についての様々な問題が出題されます。
これまでの項目で触れた6科目が「企業経営」に係る科目であるのに対し、この科目は他の資格試験にはない中小企業診断士試験特有の科目です。
特に前年度の「中小企業白書」の内容からほとんどが出題されるという点が特徴です。
中小企業をテーマとして「経営」と「政策」の2つの分野に分けて出題されます。
「経営」と「政策」
経営:経済や産業の中での中小企業の役割や位置づけ、大企業との相違が出題
政策:政府などが行っている中小企業に関する法規や具体的施策、その変遷などが出題
この科目の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
中小企業白書からの出題となるため、毎年出題内容が異なります。
過去問対策がしにくい傾向にありますが、2次試験との関連性はあまりないので、勉強の優先順位は低めに設定した方がよさそうです。
【一次試験】科目の勉強順・優先順位は?
中小企業診断士は一次試験の科目が多いため、効率的に勉強するためには勉強の順番が合格のカギになってきます。
どの合格者も通る王道のルートがあるので、勉強をするならその順番に従うのが一番です!
勉強をする科目の順番を決めるポイント
勉強を優先する順番のポイントは、以下の3つです。
勉強する順番のポイント3つ
- 二次試験との関連性
- 理解重視の科目
- 暗記重視の科目
二次試験との関連性
まず、中小企業診断士の試験科目には、
- 二次試験でも問われる内容の科目
- 二次試験では使わない内容の科目
の2種類があります。
中小企業診断士の資格を取るためには、もちろん二次試験にも合格しなければなりません。
ですから、まず二次試験にも影響する重要科目を優先的に勉強するのがおすすめです。
二次試験に関連する科目は、以下の3科目です。
- 企業経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
まずはこの科目から勉強していくのが望ましいでしょう。
この三科目のなかでも、企業経営理論は中小企業診断士のベースとなる科目のため、一番最初に勉強すべき科目です。
その次は、財務・会計がおすすめです。
財務・会計は二次試験では唯一正解が明確であるため、得意科目としやすい科目です。
しかし、苦手意識を持つ人が多い科目でもあるので、早めに手をつけておくべきでしょう。
その後、運営管理を勉強しましょう。
二次試験に関連する科目の勉強順
①企業経営理論 → ②財務・会計 → ③運営管理
理解重視の科目
次に優先すべきは、理解重視の科目です。
暗記科目に比べて理解重視の科目は、やってすぐにできるものではありません。
難易度もそれなりに高いので、長い目で見て勉強する必要があります。
中小企業診断士の一次試験のなかで「理解重視」なのは、以下の科目です。
- 経済学・経済政策
特に、グラフ(IS-LMグラフなど)や結論となる数字(関税貿易など)の導出過程を理解できないと、この科目では思うように得点できません。
早いうちから手を付けておき、試験本番で確実に得点につなげられるようにしたいところです。
暗記重視の科目
最後に勉強すべきなのが、暗記科目です。
暗記科目はあまり早くから手を付けすぎてしまっても、結局試験前にはすべて記憶が抜け落ちてしまっているでしょう。
結局試験前に手を付けることになるのが、暗記科目です。
ですので、中小企業診断士の資格を手っ取り早く取ってしまいたい方は、暗記科目の勉強を最後にまわすのが望ましいでしょう。
暗記重視の科目は、以下の3科目です。
- 経営情報システム
- 経営法務
- 中小企業経営・政策
暗記系3科目における勉強の順番は、暗記要素が少ないものを優先するのが最適です。
特に経営情報システムは、暗記科目であるものの、理解していないと解けない問題が多く出題されます。
暗記要素も少なく、比較的理解重視の科目であるため、この3科目のなかでは一番先に勉強を始めるとよいでしょう。
次にやるべき科目は、経営法務です。
この科目はほぼ暗記科目ですが、理解力をはかってくる長文問題(事例問題)も出題されるため、中小企業経営・政策と比較すると優先するべき科目となっています。
そして最後が、中小企業経営・政策です。
まったくの暗記科目であるため、一番最後に、記憶が薄れない時期に、勉強するのがおすすめです。
暗記重視の科目の勉強順
①経営情報システム → ②経営法務 → ③中小企業経営・政策
勉強すべき科目の順番
勉強すべき科目の順番をまとめると、以下のようになります。
- 企業経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
- 経済学・経済政策
- 経営情報システム
- 経営法務
- 中小企業経営・政策
二次試験に関連する科目→ 理解重視の科目 → 暗記重視の科目
の流れで勉強を進めていき、効率よく・より確実に、中小企業診断士の資格を取得していきましょう。
【一次試験】科目免除制度とは?
中小企業診断士の一次試験に受験資格による制限はありません。
しかしながら、特定の経験を積んでいたり、特定の資格を持っていると中小企業診断士試験の一次試験の科目を一部免除できる制度が適応されます。
また、「科目合格制度」による一部試験科目の免除も行われています。
試験科目の一部免除をする方法は以下の2通りです。
- 科目合格による免除
- 他資格等保有による免除
① 科目合格による免除
中小企業診断士の一次試験には「科目合格制度」が設けられており、これは一次試験不合格の人を対象に、
各科目で基準点以上の得点を取った人に対して、合格した科目の受験を免除している制度です。
科目合格の場合は、翌年度と翌々年度の第1次試験を受験する際、申請により科目合格した科目が免除されます。
3年間ですべての科目に合格すれば、第1次試験合格となります。
つまり、科目合格の有効期限は3年間だということです。
科目合格の基準は
「満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率」
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
とされています。
全ての科目が100点満点となっているため、60点以上を取れば科目合格となります。
この制度は、出願の際に受験申込書から「免除申請」をすることで利用できます。
ただし、一度1次試験に合格すると、それまでの科目合格による科目免除の申請資格がなくなってしまうので注意しましょう。
② 他資格等保有による免除
科目合格のほかに、特定の資格を持っている人も一部試験科目の受験を免除することができます。具体的には以下の資格を持っている人々です。
免除科目 | 他資格等保有による科目免除対象者 |
経済学・経済政策 | 大学等の経済学の教授、准教授・旧助教授(通算3年以上) |
経済学博士 | |
公認会計士試験または旧公認会計士試験第2次試験において経済学を受験して合格した者 | |
不動産鑑定士、不動産鑑定士試験合格者、 不動産鑑定士補、旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者 | |
財務・会計 | 公認会計士、公認会計士試験合格者、会計士補、会計士補となる有資格者 |
税理士、税理士試験合格者、税理士試験免除者、弁護士または弁護士となる資格を有する者 | |
経営法務 | 弁護士、司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者 |
経営情報システム | 技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者 |
次の区分の情報処理技術者試験合格者 IT ストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種 |
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
以上の資格を持っている人は一部の科目の受験が免除されるので、受験がよりやりやすくなるでしょう。
【二次試験】試験の種類と試験科目
続いて、中小企業診断士試験の二次試験について触れていきたいと思います!
二次試験は、中小企業診断士に必要な応用能力を有するかどうかを判定することが目的とされています。
筆記試験と口述試験の2段階あり、筆記試験が難関で、口述試験はほぼ全員が合格する、といわれています。
筆記試験は、15〜200文字程度の記述式問題が4問、各100点満点で出題されます。
試験時間は各80分です。
口述試験は、10分程度の口述試験であり、筆記試験出題内容をもとに4〜5問出題されます。
筆記試験
主に「中小企業の診断及び助言に関する事例」について4つの事例が出題されます。
事例Ⅰ「組織・人事」
組織再編や組織改革による組織力の強化、人事施策による労働生産性の向上等を図る戦略が出題されます。
主に「企業経営理論」で学習する組織論とかかわりが深いです。
事例Ⅱ「マーケティング・流通」
小売業やサービス業など、身近な業種を中心に出題される傾向があります。
主に「企業経営理論」で学習するマーケティング論と「運営管理」で学習する店舗・販売管理を、事例企業の戦略・戦術に応用することが求められます。
事例Ⅲ「生産・技術」
具体的には、生産性や技術の向上、技術の活用等を図る戦略を指します。
主として、運営管理で学習する生産管理を、事例企業の戦略・戦術に応用することが求められます。
事例Ⅳ「財務・会計」
この分野では、1次試験の「財務・会計」から学んだ知識を基本とする問題が出題されます。
例年は「財務諸表」から経営を分析する問題が出題されています。
また、アカウンティングとファイナンスからも応用問題が出ます。
口述試験
口述試験は、2次試験の筆記試験に合格した人のみに行われる口頭試験です。
個人面談が行われ、試験官3人に対し受験生1人という形で実施されます。
2次試験の筆記試験で出題された4つの例題から、ランダムに質問が行われます。
一見難しそうに思えますが、口述試験の合格率は99%以上となっており、筆記試験合格者であれば対応できる試験です。
二次試験の合格率
(参照元:一般社団法人 中小企業診断協会 HP)
2014年度のみ合格率が異常に高くなっていますが、おおよそ18~19%の合格率だといえるでしょう。
中小企業診断士の試験に合格したいなら?
試験科目も多く難易度の高い試験である中小企業診断士の試験。
独学で勉強できるのでしょうか?
中小企業診断士は独学できる?
結論から言うと、中小企業診断士の試験は、独学でできないこともありません。
しかしながら、科目数が多いといえる中小企業診断士の試験。
社会人が働きながら勉強に励むならば、スケジュール管理が大変なので挫折してしまう可能性もあるでしょう。
また試験内容も、「経営」にかかわる幅広い分野から出題されます。
この分野に馴染みのある方ならごく額も可能かもしれませんが、初学者の方はそうもうまくいきません。
中小企業診断士の資格を独学で取得することは、不可能ではないですが、かなり難しいといえるでしょう。
こちらの記事では中小企業診断士資格の通信講座を解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
中小企業診断士の確実な合格を目指すなら?
中小企業診断士の試験合格までに1年以上の勉強が必要ならば、計画的に勉強を行わなければなりません。
科目合格制度が設けられているとはいえ、科目合格の有効期限は3年です。
しっかりと3年以内に決着をつけるのが望ましいでしょう。
そのためにはどうすればよいのでしょうか?
中小企業診断士の勉強は通信講座・通学講座がおすすめ
中小企業診断士の試験は、独学で勉強し合格することも可能です。
しかし、期間を定めて勉強したいならば、計画的に勉強を進められる通信講座・通学講座の受講がおすすめです。
独学より費用はかかってしましますが、通信講座・予備校の講師陣によるサポート・解説のもと試験対策をおこなう方が、より計画的に、より効率的に勉強することができます。
中小企業診断士おすすめ通信講座
中小企業診断士のおすすめ通信講座3選を紹介します。
資格の大原
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資格取得に特化した予備校の通信講座であるため、実際に予備校で使われている質の高いテキストを使用し、通学コースを教えている優秀な講師陣の授業を受講することができます。
そのため口コミでも授業の満足度が高く、より分かりやすい教材による、効率のよい中小企業診断士試験の勉強ができるでしょう。
また二次試験対策においても、手厚い添削指導サービスを行っており、優秀な講師陣のサポートのもと、しっかりとした二次試験対策が行えるでしょう。
費用はかかってしまうものの、「ハズれない通信講座」といえば、この講座でしょう。
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KECビジネススクール
KECビジネススクールの特長は、二次試験に強いという点です。
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これが、授業の集中力・理解度のアップに繋がり、多面的な考え方を要求される二次試験に活きるというわけです。
少人数授業のため質問もその場でしやすく、さらに電話(予約制)・メールで質問できる(無制限)ようになっています。
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診断士ゼミナール
診断士ゼミナールの強みは何といっても、講座のリーズナブルさです。
最もベーシックな「1次2次試験プレミアムフルコース」の値段は54,780円(税込)。
中小企業診断士の通信講座のなかではかなり低価格の層に属しています。
さらに「3年間延長無料制度」が設けられており、この制度を利用すれば、1年分の料金で最新の講座を3年間受けることができます。
また「不合格者返金制度」もあり、条件を満たせば2万円の返金が行われます。
- あまり勉強に費用をかけたくない方
- 一発合格できるか不安な方
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には、とっておきの講座となっているのではないでしょうか。
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このほかにも、中小企業診断士の通信講座には様々なものがあります。
中小企業診断士の通信講座を検討したい方は、こちら!
中小企業診断士 試験概要
試験日程は以下の2つから確認できます。
- 官報公告
- 一般社団法人 中小企業診断協会HP
その他概要を以下の表にまとめます。
1次試験 | 2次試験 | |
受験料 | 13,000円 | 17,200円 |
出願期間 | 4月上旬~5月末 | 8月下旬〜9月中旬 |
試験日程 | 8月上旬の2日間 | (筆記)10月中旬~下旬 |
(口述)12月中旬 | ||
試験実施場所 | 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇の8都市 | |
受験資格 | なし | 1次試験合格者のみ |
詳細はこちらまで!
中小企業診断士の試験科目まとめ
今回は中小企業診断士試験の「試験科目」について解説してきました。
これまでの内容をまとめると
一次試験の試験科目
一次試験の試験科目は全7科目
- 「経済学・経済政策」
- 「財務・会計」
- 「企業経営理論」
- 「運営管理」
- 「経営法務」
- 「経営情報システム」
- 「中小企業経営・政策」
科目免除制度
既に科目合格をしていたり、特定の資格を持っている人などは、「科目免除」をすることができる
試験科目の勉強順
二次試験に関連する科目 → 理解重視の科目 → 暗記重視の科目の順序で勉強するのがよい
- 企業経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
- 経済学・経済政策
- 経営情報システム
- 経営法務
- 中小企業経営・政策
二次試験の試験科目
- 筆記試験は、15〜200文字程度の記述式問題が4問、各100点満点で出題
- 口述試験は、10分程度の口述試験であり、筆記試験出題内容をもとに4〜5問出題
中小企業診断士は独学できる?
独学は難しいので中小企業診断士の勉強は通信講座・通学講座がおすすめ
通信講座についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
中小企業診断士の資格を取ると他の人と大きく差を付けられる
試験科目も多く難易度の高い中小企業診断士の試験ですが、取得していれば社会人としてのスキルアップ・キャリアップに大きく繋がります。
是非皆さんも、中小企業診断士資格の取得を目指してみてはいかがですか?
こちらの記事も参考にしてみてください。