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投稿日:2022年5月31日 | 更新日:2024年04月22日
日経新聞が発表した、ビジネスパーソン対象「新たに取得したい資格」のランキングで、堂々の1位に輝いている「中小企業診断士」。
社会人のスキルアップのため、または自分に新たな武器を身に付けるため、中小企業診断士試験の受験を検討している方も多いのではないでしょうか?
そうはいっても、一般的に難易度が高いと言われているのが中小企業診断士の資格です。
勉強に励み努力をしたのに、難易度ゆえに、万が一「永遠に受からない!」なんてことがあってしまっては嫌ですよね…。
そうならないためにも、皆さんのために今回は「中小企業診断士試験の難易度」についてあらゆる角度から解説していきたいと思います。
これで難易度をしっかりと把握して、試験勉強に臨みましょう!
この記事で分かること
- 中小企業診断士試験の合格率は約5%
- 合格するまでに約1000時間の勉強・平均〇〇の期間が必要
- 他の国家資格と比べると難易度が低めとはいえ「難関資格」
中小企業診断士の試験について
まずはじめに、中小企業診断士の試験について簡単に確認していきましょう!
中小企業診断士は経営分野における「ゼネラリスト」。
組織経営に関する幅広い知識が問われます。
試験は一次試験と二次試験(筆記試験・口述試験)があり、年に一度試験が開催されます。
例年一次試験は8月上旬、二次試験は筆記試験が10月中旬~下旬、口述試験が12月中旬に開催されています。
1次試験 | 2次試験 | |
受験料 | 13,000円 | 17,200円 |
出願期間 | 4月上旬~5月末 | 8月下旬〜9月中旬 |
試験日程 | 8月上旬の2日間 | (筆記)10月中旬~下旬 |
(口述)12月中旬 | ||
試験実施場所 | 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇の8都市 | |
受験資格 | なし | 1次試験合格者のみ |
一次試験
1次試験は、中小企業診断士に必要な知識を有するかどうかを判定することが目的とされています。
全7科目マークシート形式で、他の国家資格(例えば公認会計士や税理士などの資格)の合格者などに対しては、申請により試験科目の一部免除が認められています。
また、仕事をしながら受験する社会人の受験者層のために科目合格制度も設けられており、一度合格点に達した科目は合格扱いとして3年間有効になります。
一次試験の試験科目
一次試験は7科目に分かれており、試験科目は以下のようになっています。
試験科目 | 配点 | 試験時間 |
経済学・経済政策 | 100点 | 60分 |
財務・会計 | 100点 | 60分 |
企業経営理論 | 100点 | 90分 |
運営管理 | 100点 | 90分 |
経営法務 | 100点 | 60分 |
経営情報システム | 100点 | 60分 |
中小企業経営・中小企業政策 | 100点 | 90分 |
各100点の合計700点満点です。
一次試験の合格基準
合格基準は、試験を主催する一般社団法人 中小企業診断協会によると、
① 第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
② 科目合格基準は、満点の60%を基準として、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。
すなわち、科目別に、どの科目においても6割以上の点数を獲得することができればよいということです。
二次試験
二次試験は、中小企業診断士に必要な応用能力を有するかどうかを判定することが目的とされています。
筆記試験と口述試験の2段階あり、筆記試験が難関、口述試験はほぼ全員が合格する、といわれています。
筆記試験
「組織・人事の事例」「マーケティング・流通の事例」「生産・技術の事例」「財務・会計の事例」などの範囲から出題され、15〜200文字程度の記述式問題が4問、各100点満点で出題されます。
試験科目 | 配点 | 試験時間 |
事例Ⅰ(組織・人事) | 100点 | 80分 |
事例Ⅱ(マーケティング・流通) | 100点 | 80分 |
事例Ⅲ(生産・技術) | 100点 | 80分 |
事例Ⅳ(財務・会計) | 100点 | 80分 |
口述試験
10分程度の口述試験であり、筆記試験出題内容をもとに4〜5問出題されます。
二次試験の合格基準
二次試験の合格基準は、試験を主催する一般社団法人 中小企業診断協会によると、
第2次試験の合格基準は、筆記試験における総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満がなく、口述試験における評定が60%以上であることを基準とします。
すなわち、二次試験も同様に、どの科目においても6割以上の点数を獲得することができればよいということです。
中小企業診断士の試験まとめ
・試験は一次試験と二次試験(筆記試験・口述試験)があり、年に一度開催
・一次試験は8月上旬、二次試験は筆記試験が10月中旬~下旬、口述試験が12月中旬
・一次試験は7科目マークシート形式で、一部科目の免除が可能、6割以上の得点で合格
・二次試験は筆記試験と口述試験、一次試験と同様に6割以上の得点で合格
中小企業診断士試験の難易度は?
では中小企業診断士試験の概要も分かったところで、本題である中小企業診断士の「難易度」の話題に移っていきたいと思います!
まずはじめに、今回難易度を見ていくにあたって参考にする指標は、以下の3つです。
① 中小企業診断士試験の合格率
② 合格までに必要な勉強時間
③ 合格までにかかる学習期間
資格系記事の中には、中小企業診断士の試験を偏差値や、大学受験のレベルで例えているものもありますが、本記事ではそのような指標を用いません。
資格試験の場合、試験で問われる内容・分野・受験者層が、資格試験ごとに全く異なります。
まったく内容・分野・受験者層の異なる資格同士を比較するのは、例えば高校生が受ける現代文の試験と、中学生が受ける数学の試験を、どちらが難しいか比較しているようなものです。
それを同じ基準の偏差値に換算するのは、極めて無理があるということが分かるでしょうか?
まったく異なる試験同士は、一概に偏差値に換算することができないのです。
そのため本記事では、難易度を比較する指標として偏差値・大学受験のレベルを用いません。
① 中小企業診断士試験の合格率
② 合格までに必要な勉強時間
③ 合格までにかかる学習期間
これらの指標を用いて中小企業診断士試験について把握したうえで、その他の資格との比較を通して、中小企業診断士試験の難易度を見ていきたいと思います。
① 中小企業診断士試験の合格率
まず中小企業診断士試験の合格率から、詳しく見ていきましょう!
一次試験の合格率
一次試験の【科目別】合格率
中小企業診断士の一次試験には全7科目あり、科目合格制度が設けられているので、科目別に合格率が出ます。
まずはじめに科目ごとの合格率から、見ていきましょう。
この表からお分かりいただけるのは、合格率が安定している科目はないということです。
年度によっては合格率が40%になる科目もあれば、5%を下回ってしまう年度がある科目もあります。
中小企業診断士の一次試験の試験科目は、合格率に大きく振れ幅があります。
これはすなわち、中小企業診断士の一次試験は年度によって当たりはずれがあり、
- 試験に臨むにあたっては心して準備しなければならないということ
- 全科目合格までに数年かかってしまうかもしれないということ
を示しています。
もしも厄介な年度の試験にあたってしまった場合、来年度の受験をも覚悟しなければなりません。
中小企業診断士の試験は、長期的な目で勉強をする必要がある試験なのです。
一次試験【全体】の合格率
次に、一次試験自体の合格率について見ていきたいと思います。
中小企業診断士一次試験の合格率は、以下のようになっています。
過去10年間の合格率の平均は、約28%です。
一次試験全体の合格率も科目別同様、振れ幅がありますが、科目別ほどではありません。
しかも一次試験の合格率は年々上昇傾向にあるので、少し希望が生まれます。
しかし、そうはいってもやはりおよそ4人に1人しか受からない試験となっています。
決して気を抜けない試験だといえるでしょう。
二次試験の合格率
次に、二次試験の合格率について見ていきたいと思います。
中小企業診断士二次試験の合格率は、以下のようになっています。
過去8年間の合格率の平均は、約19%です。
二次試験の合格率は、異例に高くなってしまった2014年度以外、18~19%で落ち着いています。
筆記試験が難関で、口述試験はほぼ全員が合格する試験だといわれているので、筆記試験を通過して口述試験に挑めるのが全体の約20%だということでしょう。
二次試験は5人に1人の確率で合格する試験となっています。
中小企業診断士試験の合格率(一次×二次)
今まで見てきた合格率の値は、一次試験・二次試験それぞれの合格率でした。
では、一次試験・二次試験どちらも合格する確率、すなわちこの中小企業診断士試験自体の合格率はどのようになっているのでしょうか?
今回は、一次試験・二次試験どちらも合格する確率を「一次試験の合格率 × 二次試験の合格率」として、独自に算出してみました。
結果は以下のようになっています。
過去8年間の合格率の平均は、約5%です。
やはり難易度の高い資格試験となっているので、合格率もこのように低くなってしまう傾向にあります。
また中小企業診断士試験は一次試験において科目合格制度が認められており、一度合格点に達した科目は3年間合格が有効になります。
そのためもともと一発合格を目指さず、数年かけて合格を勝ち取る計画で挑む方も中にはいます。
もともとの難易度の高さに加えて、このような理由からこの合格率の低さが生じているのでしょう。
② 中小企業診断士試験の合格に必要な勉強時間
では次に、「合格に必要な勉強時間」というものさしから中小企業診断士の難易度を見ていきましょう。
合格までに要する勉強時間は、人によって異なりますが、中小企業診断士試験は一般的に約1000時間ほどといわれています。
中小企業診断士は「経営コンサルタントの国家資格」なので、やはり経済学・経営学・会計などの分野に親しみのある方は、人より短期間で合格できる傾向にあります。
それに対して、このような経営の分野に関してまったく触れたことのない方は、平均以上に時間がかかってしまう可能性があります。
どれも個人の能力次第ですが、余裕をもって勉強をするのが一番でしょう。
少なくとも1日2~3時間の勉強を続けるとしたら、少なくとも1年以上の勉強が必要になります。
仕事をしながら勉強をするならば、かなりの努力と忍耐力・継続力が必要となってくるでしょう。
③ 中小企業診断士試験に合格するまでの学習期間
次に、「合格するまでの学習時間」を調査していきたいと思います。
先ほども触れたとおり、中小企業診断士の試験に合格するにはおよそ1000時間の勉強時間が必要になります。
そして、もし仮に1日2~3時間の勉強を毎日続けるとしたら、少なくとも1年以上の期間が見込まれるということが分かりました。
しかし、これは仮の見立てなので、必ずしもこの通り上手くいくとは限りません。
中小企業診断士の試験を受験する方は社会人の方も多いので、会社に勤めながら勉強を進めることになる方ばかりでしょう。
そのため今回は、予想としての学習期間ではなく、実際に合格した方がどのくらいの期間をかけたのか、詳しく見ていきたいと思います。
大手資格学校のLEC東京リーガルマインドが調査した「試験に合格するまでの学習期間」によると、合格までの学習期間は以下のようになりました。
参照:LEC東京リーガルマインド「試験に合格するまでの学習期間」
合格までの学習期間をみると、1年以内の合格者が27%いる一方で、2~3年の学習期間の合格者が40%以上ともなっており、多くの方が1年以上・長期間の勉強期間を要しています。
なかには4年以上の勉強期間を要してる方、もしくは結局受からずに諦めてしまった方も多くいるので、決して簡単な試験だとは言えないでしょう。
中小企業診断士の試験は、長い目でみて学習する必要があるということを、念頭に置かなければならないでしょう。
働きながら取得できないこともない
これほど勉強時間・期間を要し、合格率も低い中小企業診断士の試験ですが、働きながら取得を目指すことは可能です。
一般社団法人 中小企業診断協会が公表したデータをもとに、2021年度試験の1次試験の受験者を年齢層別にみていくと、30代・40代の受験者が全体の約60%を占めていることが分かりました。
受験生の年齢層が30代・40代に多いことから、多くの人は社会人として働きながら、中小企業診断士の資格を取得しているということがわかります。
もちろん、中小企業診断士の試験は決して「簡単」なものではありません。
「経営」に関する分野とはいえ、経営コンサルティング業務をするためには、問題点を分析・発見し、解決案を考えられる多面的な視野と知識が必要になってくるため、学ぶ範囲も幅広くなります。
しかし、しっかりと長期間の計画を立て勉強すれば、きっと合格できるでしょう。
中小企業診断士と他の国家資格との難易度比較
これまでの項目で、中小企業診断士の
① 中小企業診断士試験の合格率
② 合格までに必要な勉強時間
③ 合格までにかかる学習期間
などが分かりました。
これらを把握したうえで、この指標をほかの資格と比較して、中小企業診断士試験の難易度を見ていきましょう!
今回比較する資格
今回は以下の資格を比較していきたいと思います。
- 公認会計士
- 税理士
- 社会保険労務士(社労士)
- 宅建士
- 不動産鑑定士
公認会計士
経理や会計の業務を行う会計士の国家資格です。
この資格は「三大国家資格」の1つに数えられ、経済界最高峰の資格と呼ばれています。
取得していると転職に有利で、独立開業も可能です。
難易度の高さでも有名な資格となっています。
① 試験の合格率
まず、公認会計士試験の合格率について見ていきたいと思います。
公認会計士試験の合格率は、以下のようになっています。
過去8年間の合格率の平均は、約10%、およそ10人に1人しか合格できない試験となっています。
中小企業診断士よりも高い合格率となっていますが、そうはいっても「三大国家資格」。
受験者層のレベルも高いのかもしれません。
② 合格までに必要な勉強時間
公認会計士試験に合格するには4,000時間程の勉強時間が必要と言われています。
これは中小企業診断士試験の約3~4倍の勉強量です。
やはり「三大国家資格」ともいわれる資格、合格するには相当な勉強時間が必要となります。
毎日5時間勉強し続けた場合でも2年以上かかる計算となり、会計知識のない初心者が勉強をする場合にはそれ以上かかる可能性も大いにあります。
働きながら合格を目指す社会人の場合は1日に確保できる勉強時間に限りがあるので、合格までに数年はかかる試験となっているでしょう。
③ 合格までにかかる学習期間
一般的に、公認会計士の試験に合格するまでの年数は、平均して2年~4年程度と言われています。
もし1日10時間以上の勉強を学習開始時から最後までやり抜けるられるのであれば、1年間で受かる可能性がありますが、2年以上の学習期間を設けておくのが一般的です。
税理士
税金のスペシャリストとして、納税のアドバイスや申告書の作成を行う職業・資格です。
税務・会計業務の他に、コンサルティング業務などを通じ、顧問企業の発展に貢献できます。
その専門性の高さから、税金に関する業務については税理士の独占業務(税理士だけに認められた業務)となっています。
税理士試験は試験制度が特殊であり、11科目の中から5科目を選んで受験します。
科目ごとに1つの資格としての価値があり、科目合格者は会計・税務に精通するものとして高い評価を得ることができますが、5科目に合格して、ようやく税理士試験に合格となります。
① 試験の合格率
税理士試験の合格率は、以下のようになっています。
参照:国税庁 HP
過去8年間の合格率の平均は、約15%、およそ7人に1人しか合格できない試験となっています。
こちらも中小企業診断士よりも高い合格率となっていますが、税理士試験は中小企業診断士試験よりも難易度が上の、最難関資格の1つと言われています。
② 合格までに必要な勉強時間
税理士試験で5科目合格(官報合格)するまでに必要な勉強時間は、およそ3000時間と言われています。
これは中小企業診断士試験の約3倍の勉強量です。
勉強時間の大まかな内訳としては、必須科目2つでそれぞれ500時間ほど、選択必須科目が1つ600~700時間、選択科目が1つ200~500時間ほどです。
もちろん全ての科目で一発合格できる人は少ないので、このうちどれか1つは複数年チャレンジすることになる場合が多いです。
③ 合格までにかかる学習期間
国税庁が官報合格者のデータを発表しており、税理士試験合格者が、最初の科目合格から5科目合格(官報合格)までにかかった年数が公表されています。
このデータによると、3年以内に税理士試験に合格できる方は非常に少なく、10年以上かけて合格した人も3割以上いるということでした。
税理士試験には科目合格制度があり、一度合格した科目の合格は生涯有効です。
そのためもちろん、もともと長期的な計画で受験をしている方や、官報合格(5科目合格)までに期間があいてしまった方も大勢いるでしょう。
とはいえ、税理士の試験は数年の勉強で合格するのは極めて難しい試験であるということがお分かりいただけるでしょうか。
社会保険労務士(社労士)
社会保険や労働関連の法律の専門家として人事や労務管理を行う人のことを指します。
社労士は誰でも就ける職業ではなく、国家資格である社労士資格を取得している人のみが就ける仕事です。
雇用や社会保険、労働問題、公的年金の分野では唯一の国家資格となっているため、需要の高い仕事です。
① 試験の合格率
社労士試験の合格率は、以下のようになっています。
参照:厚生労働省 報道発表資料
過去8年間の合格率の平均は、約6%、およそ17人に1人しか合格できない試験となっています。
こちらも中小企業診断士より若干高い合格率となっています。
一般的にも中小企業診断士試験の方が少し難易度が高いといわれています。
これは、中小企業診断士試験には口述試験が設けられているからです。
② 合格までに必要な勉強時間
社労士試験合格のために要する勉強時間は、1,000時間以上だとされています。
もちろん、実際にどれほどの時間を必要とするかは人それぞれですが、勉強量的には中小企業診断士の試験とほぼ同程度だと考えてよいでしょう。
③ 合格までにかかる学習期間
社労士の試験は、合格まで1,000時間を要するとは言っても、合格まで決して3年も5年もかかる試験ではありません。
想定される勉強期間は約1年です。
合格まで数年かける試験ではなく、短期決戦を目指す試験です。
宅建士
宅建は「宅地建物取引士」の略称で、毎年20万人もの人が受験をする、最大規模の国家資格です。
宅建とは、不動産取引の専門家(宅建士)だと示す資格。
宅建士の資格を取得すると、不動産の売買や賃貸物件のあっせんをする際に、その土地や建物について専門知識を有していないお客様に詳しい説明をすることができるようになります。
① 試験の合格率
宅建試験の合格率は、以下のようになっています。
過去8年間の合格率の平均は、約16%、およそ6人に1人しか合格できない試験となっています。
こちらも中小企業診断士よりも合格率が高くなっています。
② 合格までに必要な勉強時間
宅建の試験に合格するまでには、平均で300時間ほどかかるといわれています。
これは中小企業診断士試験の約10分の1の勉強量です。
もともと基礎知識のある人ならば、最短で100時間ほどの勉強で合格しているケースもありますが、初心者の場合500時間ほどかかります。
③ 合格までにかかる学習期間
宅建士の試験当日までの総勉強時間を仮に300時間とした場合、1日2時間取り組むのならばおよそ5か月かかります。
最短でも、3~5か月ほどの勉強期間が必要だということです。
不動産鑑定士
「不動産の鑑定評価」を行う専門家で国家資格です。
不動産の鑑定評価とは、土地、建物等の経済価値を判定しその結果と価額を表示することです。
① 試験の合格率
不動産鑑定士試験の合格率は、以下のようになっています。
参照:国土交通省 HP
過去8年間の合格率の平均は、約5%、およそ20人に1人しか合格できない試験となっています。
こちらは中小企業診断士試験と同程度の合格率となっていますが、司法試験・公認会計士と並ぶ3大国家資格と言われており、非常に難易度の高い試験となっています。
② 合格までに必要な勉強時間
不動産鑑定士の試験は2段階試験となっていますが、合格するには合わせて3,000時間程度の勉強時間が必要です。
これは中小企業診断士試験の約2~3倍の勉強量です。
不動産鑑定士という資格の難しさがお分かりいただけるでしょう。
③ 合格までにかかる学習期間
前述したように、不動産鑑定士の試験に合格するには、合わせて3,000時間程度の勉強時間が必要です。
一般的には1年~2年かけて勉強をする人が多く、1日あたり4~5時間程度勉強するペースで進めていくようです。
行政書士
行政書士は、官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成、そしてその内容に関する相談や、これらを官公署に提出する手続について代理する士業です。
その書類のほとんどは許可認可等に関わるもので、その数は1万種類を超えるとも言われます。
① 試験の合格率
行政書士試験の合格率は、以下のようになっています。
過去8年間の合格率の平均は、約12%、およそ2人に1人しか合格できない試験となっています。
こちらは中小企業診断士試験より合格率は高くなっており、中小企業診断士よりかは易しい試験となっています。
② 合格までに必要な勉強時間
法律を勉強した経験がなく、独学で勉強する場合には800~1000時間程度は見ておくのがいいでしょう。
そのため、計画を立てて勉強を進めることが肝心です。
③ 合格までにかかる学習期間
行政書士に合格するまでの平均受験回数は2回前後と言われています。
そのため行政書士は2~3年かけて合格を目指すべき資格であると言えます。
ただし平均受験回数が2回前後なのであって、1発で合格する人もいれば4年程かかる人もいます。
5年以上かかる人は滅多にいませんが、1~3回受験して合格する人が多いのが現状です。
難易度比較まとめ
この項目では、中小企業診断士と様々な資格を以下の同じ指標で比較してきました。
① 中小企業診断士試験の合格率
② 合格までに必要な勉強時間
③ 合格までにかかる学習期間
これまでの内容をまとめると以下のようになります。
今回は合格までにかかる勉強時間の順で、資格の難易度を並べ替えてみました。
必ずしもこれらの指標で資格試験の難易度が比較しきれるわけではないですが、あくまでも目安として、こちらを参考にしてみてください。
中小企業診断士は、難関資格と言われる資格のなかではおよそ中間層。
決して簡単な資格ではないですが、このような難易度だと把握しておくのが大切です。
中小企業診断士を取得するメリット
ここまで、中小企業診断士の難易度について詳しく見てきましたが、なかには「こんな大変そうな資格なら取らなくてもいいのでは…?」と思ってしまっている方も多いのではないでしょうか?
しかし、実際中小企業診断士の資格というのは、取ることによって様々なメリットがある資格です。
ここでは、「中小企業診断士を取得するメリット」について、詳しく見ていきましょう!
「中小企業診断士」の資格を取得することによるメリットは以下の3つです。
中小企業診断士を取得するメリット 3つ
① 経営に関する幅広い知識が身に付き、社内でのスキルアップに役立つ
② 取得前・取得後のコミュニティーで、幅広い人脈を形成できる
③ 転職・独立開業で活かせる
これらの内容について、詳しく見ていきましょう。
① 経営に関する幅広い知識が身に付き、社内でのスキルアップに役立つ
中小企業診断士の試験に合格するためには、組織経営に関する分野を様々な観点から学習します。
なぜなら、組織経営の問題に対処するためには、幅広いアプローチからの対応力が求められるからです。
経営戦略、組織・人事、マーケティング、財務・会計、生産管理、店舗運営、物流、経済学、IT、法務と非常に幅広い分野の知識の他、問題解決力や説得力の基礎となるロジカルシンキングなど、コンサルティングに必要なスキルまでもを習得します。
このように、組織経営に関する知識を「横断的に」身に着けるのです。
すなわち、「中小企業診断士」はどういう資格かというと、専門分野を極める「スペシャリスト」ではなく、様々な問題に対応できる多面的な教養を身に着けた「ゼネラリスト」になれる資格なのです。
公認会計士や弁護士のような「スペシャリスト」ではないため、直接的な利益につながる仕事をするための資格ではありません。
また就職活動などで役立つ直接的な武器になるわけでもありません。
しかしながら、ビジネスパーソンとして仕事をしていくにおいて様々な場面で役立つ、経営における横断的かつ汎用性のある知識を身に着けることができます。
だからこそ、「社内でのスキルアップにつながる!」と言われているのです。
②取得前・取得後のコミュニティーで、幅広い人脈を形成できる
中小企業診断士の資格を取ることのもう1つのメリットは、資格取得の過程、そしてその後の繋がりによって、自分が今いるコミュニティ以外に、ビジネス面で役立つネットワークを形成できることです。
中小企業診断士資格取得に向けて勉強をする際、もちろん独学で学習することも可能です。
しかし、中小企業診断士は合格率約5%の難関資格試験。
試験範囲も幅広く、1人で何とか学習しきれる資格ではないでしょう。
そのため、多くの人が予備校に通い、中小企業診断士の資格取得を目指します。
この試験の受験者層は30代~40代が多く、中小企業のみならず、なかには大企業に勤めている方も受験します。
今所属しているコミュニティの外に、そのような人々と予備校などで知り合うことができるため、より広い人脈のネットワークを築けるというわけです。
また、中小企業診断士の資格合格後も、中小企業診断協会や研究会・勉強会での活動などによって、引き続き様々な立場にいる社会人と繋がることができます。
そのように、中小企業診断士の資格を取ることは、ビジネスにおける人脈ネットワークを広げることに繋がるのです。
③転職・独立開業で活かせる
3つ目のメリットは、様々なキャリアに生かせるという点です。
「中小企業診断士」という資格は、経営に関する分野を横断的に学びます。
そのため、持っているだけで直接的な利益に繋がる資格ではありません。
しかし、中小企業診断士はビジネスパーソンにとっては有名な資格。
取得しているだけで、組織経営に関する幅広い知識を持った人材であるとして、転職などの際に採用担当者から評価してもらえるでしょう。
また、いざとなれば独立開業に活かすこともできます。
中小企業診断士にはつの2種類があり、「企業内診断士」と「独立診断士」に分かれます。
「企業内診断士」と「独立診断士」
企業内診断士:一般企業の会社員や公務員、団体に属する中小企業診断士のことで、自分が属する組織の中で、中小企業診断士として活躍する
独立診断士:その名の通り独立して企業などの組織には属さず、自ら企業とコンサルタント契約を締結して経営コンサルティング等の業務を行う人のこと
中小企業診断士の資格を取得すれば、これら2つのどちらかで活躍できる可能性が生まれるのですが、後者「独立診断士」として「独立して」働くことができるかもしれないというのは、自分のキャリアの選択肢を広げるうえで大きなアドバンテージになるでしょう。
このように、中小企業診断士の資格は、現在のキャリアアップ、そして後々のキャリアに大きく変化をもたらす資格といえるでしょう。
社会人として周りと差をつけられるこの資格、是非皆さんもとってみてはいかがですか?
中小企業診断士試験は独学合格できる難易度?
最後に、多くの人が抱えているだろう疑問についてお答えします。
「中小企業診断士は独学できる?」ということです。
中小企業診断士は独学できる?
結論から言うと、中小企業診断士の試験は、独学でできないこともありません。
しかしながら、科目数が多いといえる中小企業診断士の試験。
独学での勉強はかなり難しいといえるでしょう。
社会人が働きながら勉強に励むならば、スケジュール管理が大変なので挫折してしまう可能性もあるでしょう。
また試験内容も、「経営」にかかわる幅広い分野から出題されます。
この分野に馴染みのある方ならごく額も可能かもしれませんが、初学者の方はそうもうまくいきません。
中小企業診断士の資格を独学で取得することは、不可能ではないですが、極めて難しいです。
中小企業診断士の確実な合格を目指すなら?
中小企業診断士の試験合格までに1年以上の勉強が必要ならば、計画的に勉強を行わなければなりません。
科目合格制度が設けられているとはいえ、科目合格の有効期限は3年です。
しっかりと3年以内に決着をつけるのが望ましいでしょう。そのためにはどうすればよいのでしょうか?
中小企業診断士の勉強は通信講座・通学講座がおすすめ
中小企業診断士の試験は、独学で勉強し合格することも可能です。
しかし、期間を定めて勉強したいならば、計画的に勉強を進められる通信講座・通学講座の受講がおすすめです。独学より費用はかかってしましますが、通信講座・予備校の講師陣によるサポート・解説のもと試験対策をおこなう方が、より計画的に、より効率的に勉強することができます。
中小企業診断士おすすめ通信講座
中小企業診断士おすすめ通信講座3選を紹介したいと思います。
資格の大原
資格の大原の強みは、テキストの質、授業(講師)の質の高さです。
資格取得に特化した予備校の通信講座であるため、実際に予備校で使われている質の高いテキストを使用し、通学コースを教えている優秀な講師陣の授業を受講することができます。
そのため口コミでも授業の満足度が高く、より分かりやすい教材による、効率のよい中小企業診断士試験の勉強ができるでしょう。
また二次試験対策においても、手厚い添削指導サービスを行っており、優秀な講師陣のサポートのもと、しっかりとした二次試験対策が行えるでしょう。
費用はかかってしまうものの、「ハズれない通信講座」といえば、この講座でしょう。
\詳細を見る/
KECビジネススクール
KECビジネススクールの特長は、二次試験に強いという点です。
この講座では、「少人数双方向授業」というコンセプトのもと、リアルタイム授業での少人数による講師と生徒の意見交換に重きが置かれています。
これが、授業の集中力・理解度のアップに繋がり、多面的な考え方を要求される二次試験に活きるというわけです。
少人数授業のため質問もその場でしやすく、さらに電話(予約制)・メールで質問できる(無制限)ようになっています。
個別カウンセリングで学習指導も実施しており、サポートの手厚さも大きなポイントです。
詳しくはこちら!
診断士ゼミナール
診断士ゼミナールの強みは何といっても、講座のリーズナブルさです。
最もベーシックな「1次2次試験プレミアムフルコース」の値段は54,780円(税込)。
中小企業診断士の通信講座のなかではかなり低価格の層に属しています。
さらに「3年間延長無料制度」が設けられており、この制度を利用すれば、1年分の料金で最新の講座を3年間受けることができます。
また「不合格者返金制度」もあり、条件を満たせば2万円の返金が行われます。
あまり勉強に費用をかけたくない方や、一発合格できるか不安な方、とりあえず試しで中小企業診断士の勉強に着手しようとしている方には、とっておきの講座となっているのではないでしょうか。
詳しくはこちら!
このほかにも、中小企業診断士の通信講座には様々なものがあります。
中小企業診断士の通信講座を検討したい方は、こちら!
中小企業診断士の難易度まとめ
今回は「中小企業診断士試験の難易度」についてあらゆる角度から解説してきました。
これまでの内容をまとめると
- 中小企業診断士試験の合格率は約5%
- 合格するまでに約1000時間の勉強・1年以上の勉強期間が必要
- 他の国家資格と比べると難易度が低めとはいえ「難関資格」
以上の内容が分かりました。
難易度が高いとはいえ、社会人のスキルアップ・キャリアアップに大いに役立つ資格「中小企業診断士」。
ぜひあなたも受験してみてはいかがですか?