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診療情報管理士の年収は?資格取得後、待遇を上げるために取り組みたいことを解説

診療情報管理士

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投稿日:2024年6月11日 | 更新日:2024年06月13日

診療情報管理士とはどのような資格でしょうか。診療情報管理士は、医療機関で重宝されるカルテを管理する資格です。特に医師・職員の多い大学病院や総合病院に勤務するときに活用できることの多い資格です。

昨今は医療機関のデジタル化やDXが進み、以前にも増して診療情報管理士の有資格者は重宝されるようになっています。並行して年収・待遇の向上も期待できます。診療情報管理士の想定年収と、資格認定後や実務開始後にどのようなキャリアを積めば年収や待遇がより上がるのかを考えていきましょう。

診療情報管理士の仕事内容とは?医療事務との職種の違い

診療情報管理士 医療事務 違い

診療情報管理士は今日の医療業界にてとても注目されている資格です。医療機関を受診した際に、医療機関ではカルテを作成します。このカルテの情報を記録し、管理するのが医療情報管理士です。カルテというと手書きで書かれているものを想像する方が多いと思いますが、時代は大きく動いています。

まず病院の事務業務という視点から、診療情報管理士の仕事は医療事務との違いが注目されることが多いです。医療機関にて事務的な仕事を遂行し、医師のサポートをする内容の仕事が医療事務です。医療事務は診療報酬明細書の作成や受付業務が主な仕事です。一方、診療情報管理士はカルテ管理に特化した仕事です。方向性として接客寄りであり、広範的な業務を担当する医療事務と、カルテ管理を中心にスペシャリストとしての力を発揮する診療情報管理士という違いがあるでしょう。

1つはカルテの大切さです。医療機関にとって治療の継続性は重要です。入院する患者も、通院により診療に間が空く患者においても、前回の治療はカルテを見て対応します。カルテを通じた複数回の受診内容から大きな病気が発見される可能性もあります。

また、診療情報管理士の仕事を説明するうえで、コーディング(ICDコーディング)という業務の理解は不可欠です。

コーディングはICD(国際疾病分類)という基準に従ってカルテに記載された病名を整理していくもので、専門性が必要とされます。たとえば2020年に発生した新型コロナウイルスは、日本のみならず世界中に感染が拡大しました。〇〇株という時期ごとの特徴も報告されるなかで、日本の感染状況がどうなっているのか、世界の医療専門家はもとより国内において国は地方自治体とも連携しなければなりません。そこでICDにもとづいたカルテを作成することで、現場の状況を報告することができます。

2023年時点、中小病院やクリニックにはコーディングが浸透していないところも多く、手書きでのカルテ作成・管理が進んでいます。この状況は代替が必須で、今後はスピードに差こそあれど、コーディングが浸透していきます。診療情報管理士の活躍できるフィールドも、いま以上に広がっていくのは間違いないでしょう。

また、がん登録を行うことも診療情報管理士の大切な仕事です。がんは各医療機関にて対応する病気ではありますが、国や地方自治体で協力して対策を立てていくべき病気でもあります。がんの診断をすると、カルテに以下の情報を入力し保存します。

〇がんに罹患した人の氏名や性別、生年月日

〇届出を行った医療機関名・治療内容

〇がんと診断された日

〇がんの発見経緯

〇がんの種類および進行度

〇診断日における居住地

〇生存確認情報

「引用:がん情報サービス

これらの入力項目を見ると、医療機関単体ではなく、都道府県ごとに管理され、全国的なデータベースに登録されていることがわかります。全国的なデータベースに登録された情報は、がんの実態を把握したり、医療政策を立案したりする目的で活用されます。

合格後の年収は低いが、今後の給料相場は時代への対応力で決まる?

診療情報管理士 年収

2023年現在、求人サイトの情報から推測される診療情報管理士の平均給料相場の推定値は約320万円から380万円ほどです。注目の資格にしては低いことを否定できません。ただ、診療情報管理士の給料相場は勤続年数や勤務場所、医療機関の規模によって報酬は異なるため、あくまで平均データといえるでしょう。また、診療情報管理の仕事のみが課せられるわけではなく、医療事務との兼務や医師のサポートなども含めて仕事があり、そのなかに専門職としての診療情報管理士があります。その兼ね合いによっても給料の待遇などが決まってくると考えられます。

ここまでの仕事の現状を踏まえたうえで、いまは低い年収環境の際立つ診療情報管理士の将来性を考えてみましょう。

2003年から日本では、DPC(1日あたりの包括医療制度)という医療費の仕組みが導入されました。それまでは出来高払い方式で、医療行為の1つ1つに料金が発生していました。診療をすると〇〇点、注射をすると〇〇点といった領収書を見たことがある方も多いのではないでしょうか。点数制の資料報酬に対して、DPCは病名や手術の内容、経過処置などの内容に応じて医療費が定められます。診療報酬のデメリットといえる、手数の多さで医療費が高くなる状況を防止する取り組みといえます。この仕組みが最近、大学病院や総合病院を中心に大きく変化しています。

DPC関連の波及で管理士がより人気の資格になる期待も

診療情報管理士 人気

DPCは病気の種類によって1日あたりの医療費を計算するというものです。この算定方法には、診療情報管理士の行うコーディングが関係します。国内の医療機関に少しずつ浸透しており、2016年4月には全一般病棟の約55%が導入、今後も更なる拡大が予想されます。2023年現在は大学病院・総合病院寄りですが、今後は中規模病院、更に先は診療所やクリニックなどほかの医療機関にも段階的に浸透していくことでしょう。この導入過程には診療情報管理士の仕事は欠かせないものであり、高い給料でスカウトされる事例も増えてくるでしょう。

給料相場としては医療事務と同等相場とされることも多いですが、診療情報管理士を所有しており、かつ実務的な経験がある場合は、より給料のアップする待遇を受けることも多いです。診療情報管理士+αとして自分の評価を高めていきましょう。これは給料基準のみならず、魅力的な求人情報が自分に入ってくることにも関連します。

更に高い給料を獲得するため考えたいのはオンライン医療への対応です。今後の病院は必要技術の発展やオンライン診療への参入が大きな課題です。医療機関の経営的な体力もより必要となるため、医療機関の統廃合が進んでいくのではと予測されています。医療機関の大規模化が進むと、比例して診療情報管理士の必要性は高まっていくでしょう。給料ベース上昇や、医療機関による好待遇の求人も増えていくでしょう。

より診療情報管理士としての給料を上げるには、試験合格後にも実務的な講習などを受けることをお勧めします。認定試験を実施する一般社団法人 日本病院会ではDPCコースを開設し、よりDPCに即した通信教育を実施しています。

試験合格後の想定キャリアは管理者・経営者コース?

診療情報管理士 キャリア 管理者

実は診療情報管理士の仕事内容は資格取得を必須条件としているものではありません。診療情報管理士を名乗るには資格の合格が必要ですが、前項でお伝えしたカルテの管理やIT関連の専門業務は、資格が無くても担当することができます。

ただ、病院の視点としては専門知識はもちろん、きちんと関連口座の受講、資格を取得している職員に仕事をお願いしたいものです。病院の方針として、関連業務には診療情報管理士の有資格者に限定しているケースも多くあります。実務で診療情報管理を希望するならば無資格で実務経験を重ねるのではなく、正攻法として資格取得を進めることをお勧めします。

次に診療情報管理士試験に合格したあとの想定キャリアを考えていきましょう。

まずは勤務する医療機関内で重要度の高い仕事を任されるキャリアです。コーディングの技術からカルテの管理力を磨き、ひとりの職員からプレイングマネージャー、管理職を目指します。病院のなかで立場を上げる方向です。この段階で低い待遇はまず考えられません。

大学病院から飛び出す方法も?女性にもおすすめな資格

診療情報管理士 女性

もうひとつは、病院を飛び出す考え方です。中小の医療機関はクリニックにおいても、今後コーディングの導入や診療情報管理士の配置が拡大することは間違いありません。いわゆる対応部署の設立人材のような仕事内容で、ステップアップをするキャリア想定です。もう少し診療情報管理士やICDの考え方が一般的になれば、診療情報管理士を斡旋する紹介ビジネスなど斬新な仕事内容が登場する可能性もあります。

すこし極端かもしれませんが、診療情報管理士のスキルを軸とした経営者コースも想定できるでしょう。個別の病院ではなく、医療機関にまたがった広範囲の働き方が可能です。

また外国語を勉強することで、日本を飛び出して高い需要のなかで診療情報管理士として活躍する道もあります。日本の医療機関はレベルが高いことで知られています。外国において管理士の資格と、日本の医療機関で腕を磨いたキャリアを発揮し、外国の医療機関で働く方法です。諸外国における現地医療の対応もあれば、いわゆる日本人街における医療機関のニーズも考えられるでしょう。

少し時代錯誤が書き方をしますが、医療事務と同じく診療情報管理士は女性の取得が特におすすめです。時代は変われど妊娠・出産でキャリア変更の可能性が残る社会のなかで、一度診療情報管理士を女性が取得すれば、仕事復帰の際に強力な武器になるためです。女性が出産・育児を追えて職場復帰する数年後にはコーディングを可能な診療情報管理士の待遇はよりアップしている可能性が高い可能性も期待できます。

今後は更に高い魅力の資格活用や年収のアップする環境整備が期待できる

診療情報管理士 年収

診療情報管理士を配置することで、病院は患者一人あたりに診療報酬点数のつく制度があります。そのため患者数の多い大学病院などでは施設の経営方針の評価に繋げるため、診療情報管理士を好待遇で迎える傾向が強いです。

また診療情報管理士はIT知識を必要とするため、病院など医療機関で進むテクノロジーの導入や、経営のDX化と連携した仕事内容を担うことが可能です。診療情報管理士に加え、ITやテクノロジーまわりの資格や専門知識を有することで、更に将来性が期待できる仕事内容といえるでしょう。

診療情報管理士になるためには大学・専門学校か通信講座を受験

診療情報管理士 通信講座

診療情報管理士になるための試験概要を見ていきましょう。

診療情報管理士 認定試験の内容

【実施日程】

年1回2月中旬

【受験料】

受験料10,000円

【受験資格】

・日本病院会診療情報管理士通信教育(2年制)を受講し、修了した者

・日本病院会指定大学および指定専門学校で指定単位を修得し、卒業した者

「引用:日本病院会 診療報酬監視士 通信教育

診療情報管理士になるには大別して指定の大学や専門学校に通うか、通信講座を受講するかに分かれます。2023年4月1日現在、18の大学に42の専門学校が対象です。なお2020年6月時点は23の大学、54の専門学校が対象だったため、傾向としては大学・専門学校など学校に通っての取得から通信講座を受講することによっての取得に転換していることが読み取れます。今後も専門学校から通信受講へシフトしていくのではないでしょうか。資格取得にあたってはスケジュールの違いなどを参考に判断します。

通信講座受講では職場や自宅に教材が届くため、病院勤務と並行して受験対策を進めることが可能です。医療機関におけるデジタル化は急速に広がっているため、早めに資格合格をしたうえで、実務的な経験値を増やしていくことが待遇向上への近道といえるでしょう。

ピンポイントで診療情報管理士の資格取得をしたいなら通信講座の受講、資格取得も含めて包括的に周囲の知識や経験を積みたいのなら大学や専門学校という分け方も1つの考え方です。もちろん専門学校に通うことで資格取得を目指す仲間づくりを期待できるほか、モチベーションの維持という視点でも専門学校に優位性があります。自分にどちらが合っているかで判断しましょう。

【認定試験の合格率】

令和2年2月に実施された第13回診療情報管理士認定試験の合格率は、以下の通りです。

・受験者総数 3,169名

・合格者数 1,961名

・合格率 61.9%

「引用:日本病院会 診療報酬監視士 通信教育

最新の試験以外の合格率も約50%から約60%を推移しています。実務性の強い資格のなかでは、難易度は高いに入るといえるでしょう。

診療情報管理士に向いているのは、バックグラウンドの業務遂行力が高い方です。新情報管理士の実務はあまり目立ちませんが、医師による診療品質の均等化など、病院の経営を裏から支える大事な仕事です。

おすすめの問題集・参考書

診療情報管理士 教科書

おすすめの参考書を紹介します。

『診療報酬請求事務能力認定試験』受験対策と予想問題集 2023年【前期版】:その他各種医療事務試験にも役立つ(医学通信社)

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