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投稿日:2024年5月8日 | 更新日:2024年05月08日
診療情報管理士は今日の医療業界で注目されている、カルテを作成し管理する資格です。最新の医療知識とITスキルを活用できることから、総合病院や大学病院において重要視され、待遇が向上しています。
医療補助関連の資格のなかで診療情報管理士は難易度が高いため、計画性のある勉強方法が求められます。資格取得の方法や試験内容、難易度を抑え、ステップアップのための試験合格に近づいていきましょう。合格率についても解説します。またどのような勉強方法が診療情報管理士の合格に近いのかを分析します。実務と両立することで、難易度を抑えられる側面もあるため、多角的に分析していきましょう。
※この記事は2024年5月現在の情報となっております。
診療情報管理士とは?
診療情報管理士は今日の医療業界にて注目されている資格です。受診をした際に、医療機関ではカルテを作成します。
このカルテの情報を記録し、管理するのが医療情報管理士です。
診療情報管理士の仕事は医療事務と重ねられることが多いです。医療機関にて事務的な仕事を遂行し、医師のサポートをする仕事が医療事務です。
医療事務は診療報酬明細書の作成や受付業務が主な仕事です。一方、診療情報管理士はカルテ管理に特化した仕事です。方向性として接客寄りであり、広範的な業務を担当する医療事務と、カルテ管理を中心にスペシャリストとしての力を発揮する診療情報管理士という違いがあるでしょう。
ところでカルテを精緻に管理することには、どのような意味があるのでしょうか。
カルテに記録する内容は、医師の医療内容や検査記録、看護記録などです。これらは法律によって一定期間保存する義務があり、定期的な情報の点検や保管も必要となります。
次項では、診療情報管理士という専門職を置いてまでカルテを管理することが、どのような意味を持つのか詳細に分析していきます。
これからはカルテ管理は複雑化し、診療情報管理士の仕事もより専門性が高まると予想されます。詳しく見ていきましょう。
診療情報管理士の仕事内容と給料相場、向いている人
診療情報管理士を配置することで、病院は患者一人あたりに診療報酬点数のつく制度があります。
そのため患者数の多い大学病院などでは施設の経営方針の評価に繋げるため、診療情報管理士を好待遇で迎える傾向があります。
診療情報管理士が重要視される大きな理由は、カルテ管理の大切さです。医療機関にとって治療の継続性は患者フォローの視点から重要です。
入院する患者も、通院により診療に間が空く患者においても、前回の治療はカルテを見て対応します。
複数回の受診内容から大きな病気が発見される可能性もあります。
また、診療情報管理士の仕事内容を説明するうえで、コーディング(ICDコーディング)という業務は欠かせません。
コーディングはICD(国際疾病分類)という基準に従ってカルテに記載された病名を整理していくもので、専門性が必要とされます。
たとえば2020年に発生した新型コロナウイルスは、日本のみならず世界中に感染が拡大しました。〇〇株という時期ごとの特徴も報告されるなかで、日本の感染状況がどうなっているのか、世界の医療専門家はもとより国内において国は地方自治体とも連携しなければなりません。
そこでICDにもとづいたカルテを作成することで、現場の状況を報告することができます。
診療情報管理士が働く場は、大きな病院が多いです。
給与ベースは医療事務の仕事と同等レベルですが正社員での求人が多く、キャリアとしては安定的です。看護師のような夜間勤務や、患者さんとのコミュニケーションが必要ないことも、診療情報管理士の特徴として挙げられる点です。
子育て中や、定年後のキャリアとしても十分に活用することが出来る専門分野といえるでしょう。
もうひとつの診療情報管理士の仕事は、サマリーと点検報告書の作成です。
サマリーとは退院時、または1カ月に1回のペースで作成する病歴などの記録を意味します。医師ごとの状況を定期的に調査し、サマリー作成率を計算したり、未記入の提出を促したりすることも診療情報管理士の仕事です。
また診療情報管理士はIT知識を必要とするため、病院など医療機関で進むテクノロジーの導入や、経営のDX化と連携した仕事内容を担うことが可能です。
診療情報管理士に加え、ITやテクノロジーまわりの資格や専門知識を有することで、更に将来性が期待できるといえるでしょう。
2023年現在、求人サイトの情報から推測される診療情報管理士の平均年収の推定値は約320万円から380万円ほどです。
ただ、診療情報管理士の給料相場は勤続年数や勤務場所、医療機関の規模によって報酬は異なるため、あくまで参考データといえるでしょう。
また、診療情報管理の仕事内容のみが課せられるわけではなく、医療事務との兼務や医師のサポートなども含めて仕事があり、そのなかに専門職としての診療情報管理士があります。
その兼ね合いによっても給料の待遇などが決まってくると考えられます。
ここまでの現状を踏まえたうえで、診療情報管理士の仕事内容の将来性を考えてみましょう。
2003年から日本では、DPC(1日あたりの包括医療制度)という医療費の仕組みが導入されました。それまでは出来高払い方式で、医療行為の1つ1つに料金が発生していました。
診療をすると〇〇点、注射をすると〇〇点といった領収書を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
点数制の資料報酬に対して、DPCは病名や手術の内容、経過処置などの内容に応じて医療費が定められます。診療報酬のデメリットといえる、手数の多さで医療費が高くなる状況を防止する取り組みといえます。
この仕組みが最近、大学病院や総合病院を中心に大きく変化しています。
DPCは病気の種類によって1日あたりの医療費を計算するというものです。この算定方法には、診療情報管理士の行うコーディングが関係します。
国内の医療機関に少しずつ浸透しており、2016年4月には全一般病棟の約55%が導入、今後も更なる拡大が予想されます。
2023年現在は大学病院・総合病院寄りですが、今後は中規模病院、更に先は診療所やクリニックにも管理士の仕事内容が段階的に浸透していくことでしょう。
給料相場としては医療事務と同基準とされることも多いですが、診療情報管理士を所有しており、かつ実務的な経験がある場合は、より給料の良い待遇を受けることも多いです。
診療情報管理士+αとして自分の評価を高めていきましょう。これは給料基準のみならず、魅力的な求人情報が自分に入ってくることにも関連します。
今後の病院は必要技術の発展やオンライン診療への参入が大きな課題です。医療機関の経営的な体力もより必要となるため、病院の統廃合が進んでいくのではと予測されています。IT知識に関心のある方も、管理士に向いてる人といえるでしょう。
医療機関の大規模化が進むと、比例して診療情報管理士の必要性は高まっていくでしょう。給料ベース上昇や、好待遇の求人も増えていくでしょう。
より診療情報管理士としての待遇を上げるには、試験合格後にも実務的な勉強を継続することをお勧めします。
認定試験を実施する一般社団法人 日本病院会ではDPCコースを開設し、よりDPCに即した通信教育を実施しているなど、希望すれば勉強機会は数多くあります。
働きながら診療情報管理士を資格取得するための試験情報および勉強方法
実は診療情報管理士の業務は資格取得を必須条件としているものではありません。
診療情報管理士を名乗るには資格の合格が必要ですが、前項でお伝えしたカルテの管理やIT関連の専門業務は、資格が無くても担当することができます。
ただ、病院の視点としては専門知識はもちろん、きちんと関連口座の受講、資格取得をしている職員、かつ最新の勉強を継続している職員に仕事をお願いしたいものです。働きながらの合格を目指しましょう。
病院の方針として、関連業務には診療情報管理士の有資格者に限定しているケースも多くあります。実務で診療情報管理を希望するならば無資格で実務経験を重ねるのではなく、正攻法として資格取得を進めることをお勧めします。
ではそのうえで、診療情報管理士になるための試験概要を見ていきましょう。
診療情報管理士 認定試験の内容
【実施日程】
年1回2月中旬
【受験料】
受験料10,000円
【受験資格】
・日本病院会診療情報管理士通信教育(2年制)を受講し、修了した者
・日本病院会指定大学および指定専門学校で指定単位を修得し、卒業した者
「引用:日本病院会 診療情報管理士 通信教育」
診療情報管理士になるには大別して指定の大学や専門学校に通うか、通信講座を受講するかに分かれます。
2023年4月1日現在、18の大学に42の専門学校が対象です。なお2020年6月時点は23の大学、54の専門学校が対象だったため、傾向としては大学・専門学校など学校に通っての取得から通信講座を受講することによっての取得に転換していることが読み取れます。
今後も専門学校から通信受講へシフトしていくのではないでしょうか。
通信講座受講では職場や自宅に教材が届くため、病院勤務と並行して受験対策を進めることが可能です。
医療機関におけるデジタル化は急速に広がっているため、早めに資格合格をしたうえで、実務的な経験値を増やしていくことが待遇向上への近道といえるでしょう。今後実務評価が変わるにあたり、合格率が下がる可能性は十分に考えられます。
ピンポイントで診療情報管理士の資格取得をしたいなら通信講座の受講、資格取得も含めて包括的に周囲の知識や経験を積みたいのなら大学や専門学校という分け方も1つの考え方です。
もちろん専門学校に通うことで資格取得を目指す仲間づくりを期待できるほか、モチベーションの維持という視点でも専門学校に優位性があります。自分にどちらが合っているかで判断しましょう。
【認定試験の合格率】
令和2年2月に実施された第13回診療情報管理士認定試験の合格率は、以下の通りです。
・受験者総数 3,169名
・合格者数 1,961名
・合格率 61.9%
「引用:日本病院会 診療情報管理士 通信教育」
合格率に関しては通信講座か、教材で勉強するかによって異なることに注意しましょう。もし取得時期で迷っているのであれば、合格率が下がらないうちに取り組むことが大切です。
試験の合格率や難易度、合格するためのポイントは過去問
最新の試験以外の合格率も約50%から約60%を推移しています。実務性の強い資格のなかでは、合格率は低い部類に入るといえるでしょう。
診療情報管理士の取得を目指す方は、実務上資格取得の必要が生まれた方が多いです。このような実務と近い試験は、合格率が抑えられる傾向があります。実務の内容が試験対策になる部分もあるのでしょうか。
診療情報管理士は実務に即した試験のため、病院や職場で学んだ内容がそのまま試験対策になる部分はあります。
ただ、試験はあくまで試験です。実務とは少し離れた問題傾向や、実務の知識を優先していると逆に試験対策においてネックとなってしまう点も存在します。合格率の低い試験と割り切って、過去問を中心に対策を進めるようにしましょう。
合格率の低いどのような資格でもそうですが、資格取得後に実務において、「これ試験対策で勉強した」という点は必ずプラスになるはずです。
次に診療情報管理士に向いているタイプの分析です。バックグラウンドの業務遂行力が高い方です。
カルテやDPCは正確性を求められる一方、日々刷新される医療周辺技術や知識をキャッチアップする積極的な姿勢が歓迎されます。試験合格に合わせて実務知識の吸収にもどん欲になっていくことで、自分のキャリアアップや待遇増加に繋げていきましょう。
診療情報管理士になるためのおすすめの問題集・参考書
診療情報管理士になるための問題集・参考書をご案内します。Amazonなどで検索すると出てくる、以下の本がおすすめです。
診療情報管理士の試験対策をするうえで注意したいのは、試験対策に特化した問題集や参考書を選ぶことです。試験合格後や実務就労後の実務のノウハウに特化した書籍も多いため、必ず「試験対策」と銘打たれているものを購入するようにしましょう。
また過去問の多さも良書を選ぶポイントです。診療情報管理士は過去問重視ながらも、新しい傾向の問題も出題されます。特定年度ではなく複数年度の過去問を満遍なく抑えることで、試験対策を進めていきましょう。
今後の日本が高齢化社会を迎えるにあたって、カルテ管理を専門とした診療情報管理士は必要とされる職種です。この記事を読んで気になった方は、ぜひステップアップの選択肢として検討してみましょう。
まとめ
診療情報管理士の難易度について分析しました。医療機関におけるカルテの電子化や複雑化によって、今後は更に診療情報管理士の資格取得者が重宝されていくものと考えられます。決して合格率の低い資格ではありませんが、今後のカルテ管理は重宝されていく医療技術です。資格取得と実務経験を兼ねることで、待遇の向上も期待できます。今後合格率が下がらないうちに、通信講座を活用して、診療情報管理士を取得しましょう。