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投稿日:2024年1月31日 | 更新日:2024年01月31日
テレビでおなじみの気象予報士ですが、活躍の場はテレビだけではありません。
気象会社はもちろん、一般企業や自治体でもリスク管理のために必要とされます。
予報士試験は難易度が高いですが、適切な教材と学習プラン、そして強い意志によって、独学でも合格することが可能です。
本記事では、試験概要(科目、合格率、日程等)を始め、おすすめ教材、日程にあわせた学習計画の立て方等について解説します。
気象予報士試験とは?(科目・日程・合格率等)
本章では、気象予報士試験の全体像をお伝えします。
ここに記載しているのは、一般財団法人 気象業務支援センター(JMBSC)の試験に関するページや令和 5 年度 第 2 回 (通算第61 回)気象予報⼠試験 試験案内からの転載、または、その内容を編集(要約・注釈の追記など)したものです。
試験概要(科目・日程・受験料など)
試験の⽬的
気象業務法の規定によって、気象庁長官の許可を受けた予報業務許可事業者は、現象の予想を気象予報士に行なわせなければなりません。
本試験は、合格者が、気象予報士として現象の予想を的確に行える者であることを認定するために行われます。
受験資格
(気象業務法による処分を受けた場合を除き)受験資格の制限はありません。
試験の⽅法
学科試験と実技試験からなり、いずれも筆記試験により行われます。
学科試験はマークシートによる多肢選択式、実技試験は記述式です。
試験科目
科目 | 内容 | |
学科 | 予報業務に関する一般知識 | 大気の構造、大気の熱力学、降水過程、大気における放射、大気の力学、気象現象、気候の変動、気象業務法その他の気象業務に関する法規 |
予報業務に関する専門知識 | 観測の成果の利用、数値予報、短期予報・中期予報、長期予報、局地予報、短時間予報、気象災害、予想の精度の評価、気象の予想の応用 | |
実技 | 1.気象概況及びその変動の把握 | |
2.局地的な気象の予報 | ||
3.台風等緊急時における対応 |
試験時間と合格基準
試験の種類 | 時間 | 合格基準(難易度により調整が入る場合があります。) |
学科試験(予報業務に関する一般知識) | 60分 | 15問中正解が11問以上 |
学科試験(予報業務に関する専門知識) | 60分 | 15問中正解が11問以上 |
実技試験1(上記実技試験の科目1~3) | 75分 | 総得点が満点の70%以上 |
実技試験2(上記実技試験の科目1~3) | 75分 |
科⽬免除
学科試験の全部または一部の合格者は、申請すれば、合格発表日から一年以内の試験であれば、合格した科目の試験が免除されます。
また、一定年数以上の気象業務経歴や資格等、所定の条件を満たす場合は、申請によって学科試験の全部または一部が免除されます。
例えば、「気象事業者上級職員特別講習を修了+3年以上の予報業務に従事」「技術士(応用理学部門)登録+3年以上の予報業務に従事」「7年以上、国の⾏政機関で気象庁⻑官が定める予報業務に従事」など、いくつかあります。
詳細は試験案内でご確認ください。
試験地
以下の6都道府県で行われます。
北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県、沖縄県
実際の会場は、試験案内でご確認ください。
日程
ここでは、令和 5 年度 第 1 回 (通算第60回)及び第 2 回 (通算第61 回)気象予報⼠試験を例にとります。
令和 5 年度 第 1 回 (通算第60回)気象予報⼠試験日程 | |
受験資料配布開始 | 2023年 5月19日(金) |
受験申請期間 | 2023年 6月19日(月) ~ 7月7日(金) |
受験票到着期間 | 22023年 8月7日(月) ~ 8月10日(木) |
試験日 | 2023年 8月27日(日) |
合格発表日 | 2023年10月6日(金) |
令和 5 年度 第 2 回 (通算第61回)気象予報⼠試験日程 | |
受験資料配布開始 | 2023年10月13日(金) |
受験申請期間 | 2023年11月13日(月) ~ 12月 1日(金) |
受験票到着期間 | 2024年 1月 9日(火) ~ 1月12日(金) |
試験日 | 2024年 1月28日(日) |
合格発表日 | 2024年 3月 8日(金) |
8月と1月、年2回試験が行われるのが通例です。
受験資料配布によって試験の詳細が判明してから、14~15週先に試験が行われます。
受験料
科目免除の有無 | 受験料 |
科目免除なし | 11,400円 |
学科1科目免除 | 10,400円 |
学科2科目免除 | 9,400円 |
合格率の推移
平成元年以降の合格率は次の通りです。
(一般財団法人気象業務支援センター「気象予報⼠試験実施状況」からの転載です。)
年度(回) | 通算回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和1(2019) | 1 | 52 | 2,957 | 132 | 4.5% |
2 | 53 | 2,969 | 172 | 5.8% | |
令和2(2020) | 1 | 54 | 2,848 | 166 | 5.8% |
2 | 55 | 2,616 | 146 | 5.6% | |
令和3(2021) | 1 | 56 | 2,920 | 124 | 4.2% |
2 | 57 | 3,629 | 177 | 4.9% | |
令和4(2022) | 1 | 58 | 4,173 | 251 | 6.0% |
2 | 59 | 4,166 | 198 | 4.8% | |
令和5(2023) | 1 | 60 | 4,290 | 206 | 4.8% |
合計 | 30,568 | 1,572 | 5.1% |
なお、平成6年(1994年)の通算第1回からの全受験者数、全合格者数、平均合格率は、 223,730人、12,281人、5.5%です。
この初年度だけは3回試験が行われていて、18.0%、11.6%、10.0%と合格率が高かった年でした。
こんな時代もあったのですね。
気象予報士は独学で合格できるか?
気象予報士の難易度は独学で合格できるレベルか?
気象予報士の合格率は平均5%ですから、難易度の高い試験といえます。
独学での合格は不可能ではありませんが、相応の覚悟と計画が必要です。
この記事における独学の定義
独学とは、「誰に師事することもなく、自ら必要なものを調達して勉強すること」と、捉えています。
必要な書籍・情報を購入して勉強する独学もあるでしょうし、ネットの情報だけでやりくりする無料の独学もあるでしょう。
通信教育やオンラインコースなどの場合は、基本的には(回数制限はあるにしても)質問応対等で個別にお世話を焼いてくれますので、独学には入れないこととします。
気象予報士講座でいうと、ユーキャン、藤田真司の気象予報士塾、TeamSABOTEN気象予報士スクール、気象予報士アカデミーなど、優れた有名講座(有料)はたくさんありますが、本記事では解説から外します。
資格の偏差値?
世間には、「資格ランキング(人気順・難易度順など)」や「資格の偏差値」という言葉が出回っています。
ランキングの方は、アンケート結果を基にすることもできますし、独自の基準を設けて順位付けをする場合もあるでしょう。
一方、偏差値のほうは「根拠はないが、言葉を借りた」だけだろうと思います。
偏差値とは、「評価対象が全体の中で相対的にどの位置にいるか」を数値で示すものです。
全ての資格試験に対し、同じ条件下で何かを試行した結果があるとは思えないので、難易度を何とか伝えるために、良く知られた「偏差値」という語を引っ張ってきたのでしょう。
こうしたランキングサイトや「偏差値」サイトはたくさんあります。
いろいろ見てきましたが、気象予報士に対する評価は、全体の中では”中の上“というところでした。
”中の上”というのは、「同等以上に難しい資格が他にもたくさんある」という意味であって、「”中の上”程度の努力で受かる」ということではありません。
”上の中”程度の努力をしないと、気象予報士合格は難しいと思います。
独学用おすすめ教材
Webサイト
気象予報士試験の独学には、以下2つのウェブサイト+1つのアプリをおすすめします。
めざてんサイト:一部有料サービスもありますが、基本的には無料です。
- 科目ごと、さらに単元ごとに整理された動画が計70本以上もUPされています。ごく一部を除き無料で視聴できます。
- 試験に対応して半年ごとにメール講座(めざメール)が開講されます。その試験回に特化した内容です。
- 登録すれば、過去10年分の気象予報士試験の解説記事が読めます。
- 受験生同士の交流の場として、ほんわかした雰囲気の掲示板が稼働しています。
- なかなか秀逸な約40個の語呂合わせが紹介されているコーナーがあります。解説も丁寧です。
tenki.jp:日本気象協会が運営するサイトです。
- 全国の天気の移り変わりを1時間単位で細かく知ることができます。
- PM2.5分布予測、花粉、紫外線、熱中症、スキー積雪などの季節特集など、気象に関するあらゆる情報に加え、地震・津波などの防災情報も提供しています。
- 毎日更新される日直予報士の解説や、季節・暮らしの話題に関する記事も人気です。
ユーキャン資格本アプリ:資格ごとに一問一答集を購入して使うアプリです。
- 気象予報士は、2023年11月時点で1,200円となっています。
- 過去問の出題傾向に基づいて、重要なポイントが網羅された○×式の問題集です。
- いつでもどこでも手軽に利用でき、学科の知識定着・確認にピッタリです。
書籍
Amazonで、カスタマーレビューの評価が非常に高く、専門知識編や実技編などシリーズ化されているものを2つ紹介します。
- 気象予報士かんたん合格テキスト(らくらく突破)シリーズ/気象予報士試験受験支援会
- イラスト図解 よくわかる気象学シリーズ/中島俊夫
上記2シリーズは、受験生からバイブル的な評価を受けている本です。
書店等で実際に手に取って、自分に合いそうな方を選ぶとよいでしょう。
なお、問題集は掲載していません。
気象予報士に限った話ではなく、過去問に勝る問題集はないです。
過去問の丁寧な解説は、上のWebサイトで紹介した「めざてんサイト」で入手できます。
気象予報士合格へのスケジューリングは?
試験日程を見据えた効率的な学習プラン
本記事でのプランはあくまでも一例です。
人によって合うやり方というのは異なります。
他の体験サイトや学習サイト等も参考にして、ご自身に合う計画をお立てください。
本記事における学習プラン例の前提条件
2ヶ年計画、3ヶ年計画で合格を目指す人もいらっしゃいますが、ここで例としてあげるのは、1年計画での学習プランです。
この場合、高校での数学・地学・物理の知識が少しは残っている(少なくとも拒否反応はない)状況であると仮定し、総学習時間は900時間とします。
また、過去問はめざてんサイトさんのものを活用し、10回分あるとします。
学習スケジュール(前半)
最初の半年はテキスト中心です。
まず、各テキスト(一般知識、専門知識、実技)の内容を、大ざっぱに50分割して1日の学習量を把握します。
週ごと、月ごとに設ける復習日とあわせ、各テキストを約2ヶ月(60日)かけて、順に頭に刻み込んでいくのです。
テキストだけでなく、前章で紹介しためざてんサイトさんの動画も活用します。
もちろん、単元によって濃淡があります。
さくさく進む単元もあれば、なかなか理解できずに停滞する箇所もあるでしょうから、その辺りは勉強しながら調整すればよいのです。
時期 | 1日の学習時間 | 内容 |
2ヶ月まで | 最低2時間 | 学科・一般知識 |
4ヶ月まで | 最低2時間 | 学科・専門知識 |
6ヶ月まで | 最低2時間 | 実技 |
学習スケジュール(後半)
残りの半年は過去問中心です。
また、勉強時間も増やし、最低3時間は確保したいところです。
過去問は、一日に1科目ずつ、つまり4日で1回分を終えるペースで進めます。
(ある日:一般知識⇒翌日:専門知識⇒その翌日:実技1⇒その翌日:実技2⇒…)
実際の時間(学科60分、実技75分)と同じ時間をかけて解き、同じ時間をかけて見直します(解説をしっかり理解すること)。
3時間のうち、残った時間は、テキストの復習にあてましょう。
復習の詳細は、次節で説明します。
時期 | 1日の学習時間 | 内容 |
8ヶ月まで | 最低3時間 | 過去問、テキスト復習 |
10ヶ月まで | 最低3時間 | 過去問、テキスト復習 |
12ヶ月まで | 最低3時間 | 過去問、テキスト復習 |
(仮に過去問が10回分あるとして)40日で一通り終わったら、最初に戻って繰り返します。
最低4回は解ける計算です。
また、適宜時間を作って、tenki.jpさんの気象データを分析し、短期・長期予報の作成練習もしておくことをおすすめします。
力試しのために、模擬試験を受けるのもアリです。
TeamSABOTEN気象予報士スクールさんなどでは、模擬試験のみの販売もしておられます。
試験日程に合わせた復習サイクル
別の単元の知識を仕入れた後でテキストを見直すと、新たな気づきがあって理解が深まることが多いものです。
学科の場合は、テキストの見直しに加えて、前章で紹介したユーキャン資格本アプリを活用するのもいいでしょう。
前半期・週ごとの復習
その週で学習した内容の復習日を作り(日曜日など)、記憶の定着を図ります。
特に重要なポイントや苦手な部分に焦点をあてます。
前半期・月ごとの復習
ひと月に1回、過去1ヶ月間の学習内容を全体的に復習しましょう。
理解度を確認し、必要に応じて学習計画を調整します。
後半期・毎日の復習
後半は過去問対策が中心ですが、勉強時間の1/3程度はテキストの復習にあてます。
1日の勉強時間を3時間とし、その日に解く過去問との組み合わせを考慮すると、例えば次のような感じです。
日付 | 回 | 過去問の範囲(時間) | 復習する範囲(時間) |
8月1日 | 52 | 一般知識(解く:60分、見直す:60分) | 実技(1時間) |
8月2日 | 専門知識(解く:60分、見直す:60分) | 実技(1時間) | |
8月3日 | 実技1(解く:75分、見直す:75分) | 学科・一般知識(30分) | |
8月4日 | 実技2(解く:75分、見直す:75分) | 学科・専門知識(30分) | |
8月5日 | 53 | 一般知識(解く:60分、見直す:60分) | 実技(1時間) |
~ | ~ | ~ | ~ |
まとめ
ここまで、独学で気象予報士を目指す人のために、試験の全体像から、おすすめ教材、効率的な学習プランまで、具体的なガイドラインを提示してきました。
気象予報士試験は、適切な教材と学習プラン、そして強い意志によって、独学でも十分に合格することが可能です。
とはいえ、もともと難易度の高い試験ですから、1度ならず2度、3度と悔しい思いをすることになるかもしれません。
でも、諦めないでください。
自分を信じて、自分のペースで、焦らず一歩一歩前へ進みましょう。
頑張ってください!